第2話 在監者、久々の娑婆へ…



 …………。



 地下牢ここに来て、どれくらい経っただろう?


 少し肌寒さを感じ、私は久々に頭を巡らせた。


 暗闇での生活は身体の感覚を鈍らせる。


 更に私は酷く飢えにていた為、思考は常にぼんやりしている。


 食事は1日一回もしくは2日に一回のパンと水、いつだったか一週間程食事が無かった事もあったと思う。



 …………。



 そう、地獄よりも地下牢ここは酷かった。


 自ら死のうかと試みた事もあったのだが、衰弱し過ぎて自分の舌を噛み切る力すら残っていなかった。


 私を購入するという人間など現れない。つまり、私は一生地下牢ここで過ごすしかないのだ。


 それからは何も考えず、ただひたすらに横になり、目を覚まし気がつけば眠るという日々を過ごしていた。



「ん? 飯か……」



 扉の向こうで物音が聞こえた。


 地下牢ここに人がやって来るのは、食事を運んで来るときだけだ。


 私は扉の前に這って行き、隙間から出される食事を待った。


 しかし隙間から食事は出て来る事は無く、代わりに分厚い鉄の扉が悲鳴を上げながら開いた。



「出ろ、貴様を購入するという方が現れた」



 正規兵おかみは私の脚の拘束具を外すと、自分で立つ様に私に命令した。


 しかし、酷く衰弱していた私は自分で立ち上がる事すらままならず、正規兵おかみ2人に抱えられる形で地下牢の外に連れて行かれた。


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