脳筋乙女の異世界花道 Ⅱ

藤沢正文

脳筋乙女の異世界花道 Ⅱ

第5章 救世主様は青二才!? 〜我は汝を主とは認めぬ〜

プロローグ



 気が付いた私は、暗闇の中に横たわっていた。



 ああ、死んでもたんか……



 頭に過ったのは、最後に見た光景だ。


 私は街で暴れまわり、冒険者に抑え込まれ巨大な火の玉の魔法を喰らった。



「地獄……行きかぁ……」



 サンディスイケメンの言葉を思い出し、私はポツリと呟いた。


 そして最後の最後まで爽やかな美男子イケメンだった彼の身を案じた。


 そんなことを考えながら私は立ち上がろうと腕を動かした。



「ん? 何やこれ?」



 何かに固定され、背中から腕が動かせない。


 更に言えば、両足も同じように固定されており、歩くどころか動かす事すらままならない。



「おいコラッ! どないなってんねんッ!」



 私は取り敢えず暗闇の中、大声で叫んだ。


 すると、次第に辺りが薄暗く照らされ、暗闇でわからなかった周囲の状況がわかるようになった。


 どうやら私が横たわっていたのは、四方を石壁で覆われた真っ暗な部屋だった。


 そこに窓はなく、唯一私の目の前に鉄製の扉があり、灯りはそこから漏れてきていた。



「うるさいぞ! 静かにしていろ」



 扉の向こうで何者かがそう述べると、徐々に灯りは遠ざかり再び辺りを暗闇が支配した。



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