エピローグ

エピローグ 俺のフレンド

 ……夢を見ていた。


 長い、長い夢を見ていた。

 本当に長い夢だった。


 知らない土地をバスに乗って探検する夢。


 仲間がいて――顔も名前も思い出せないけれど、皆と一緒に、色んなところへ行ったのを覚えている。


 壮大な大自然に、見たことの無い遺跡。

 困難もあったけれど、俺達は泣いたり笑ったりしながら、助け合ってそれらを乗り越えた。


『ねぇ、ヒュウマ。まだ動物が嫌い?』


 ある日、俺に顔が似ているヒトがそう言った。


『嫌いだよ。あいつらなんて、大嫌いだ』

『本当に?』


 その人は首をかしげて、笑った。


『本当に? 心からそう思ってるの?』


 顔が変わる。

 誰なのかは思い出せないけれど、そいつは『でぽっ』と、にこやかに笑った。


『本当に、そう?』

『……好きだよ』


 俺は泣いた。


『全部、嘘なんだ。本当はみんなのこと、大好きだよ。大好きだったんだ』


 もっと、素直になれば良かった。

 そうすれば、もっと、ずっと仲良くなれたはずだった。


『みんな、同じ星に生まれた大切な仲間だから』


 短い寿命。

 身近な生き物たち。


 かけがえのない。俺と似た、大切な仲間たち。

 もし、また会えたなら、次はもっと素直になりたいと、そう思う。


 ……ふと、遠くで物音がした気がした。


 ドンドンと叩く音。

 それから声。


『やっと、開いたー! みんな、もうすぐだよ』


 目の前の人がニコニコと笑う。


『ヒュウマちゃん。きっと私ともまた会えるよ。元気でね』


 ――――――――――


 景色が変わる。


 そこは暗い部屋で、開かれた部屋のドアの外から、光が差し込んでいた。


 頭はぼんやりとしている。

 いきなり内容の変わった夢に、少し混乱しているらしい。


 もしかして、目を覚ましたのかもしれないとも思う。


 まだ夢の中にいる気もするけれど、でも、どっちでも良い。


 やがて、がやがやドタドタとした足音と共に、聞きなれた歌が近づいて来た。


 そして、俺は懐かしい声を再び聴く。


「ヒュウマちゃん。迎えに来たよ。一緒に冒険に行こう」








 みぢかのけものフレンズ END

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