敦賀超え
「さぁ着いたね。でもさすが敦賀ね。あそこに見えるのが金ヶ崎城よね。その横に見えるのが天筒山城かな?」
「美幸ちゃん!そんな事よりかなりの人に見られてるよ!?縛り上げようか?」
「リディア!友好的によ!織田と朝倉が敵対してるかは分からないけど、少なくとも荒れていないから戦にはなってないはず!」
「オッケー!」
私達は敦賀の港に来ている。かなりの人が居て、かなり注目を浴びたが気にせずカモフラージュネットで船を隠して上陸している。
"ふぁ〜!よく寝たでがんす!"
"天翔!岐阜まで頼むよ!"
"任せてくだせぇ〜!さぁ!叩いてほしいでかんす!"
今回は天翔で移動する事にしている。あまりスピードは出ないが悪路に強いキャタピラ式バイクを出してもよかったが名のある武将風に見せたかったからだ。
ちなみにリディアの馬は真白が作った最早馬とは言えない生き物だ。見た目は馬だが成分はこれまた訳の分からない成分で作られた馬だ。
「美幸っち!危なくなればその馬の鼻の奥にあるスイッチを押して逃げてな!前方180度、前方半径10キロに渡るナパーム爆弾と同じ爆発が起こるから!」
と、かなり危ない装備までされてある馬だ。これにリディアは乗ってもらう事にした。
ルートとすればこのまま現在の北陸道を南に入り、長浜に向かい、そのまま南下。そこから東海道に入り関ヶ原に向かい岐阜城の予定だ。ちなみに関ヶ原付近で一泊する予定でもある。
「まぁとにかく行こっか」
「了解!」
私達が出発しようとしたがすぐに朝倉軍だろうと思う人達に止められた。
「なに!?明の女か!?まぁいい。その女二人が何をしに来た?」
「いや別に何もないですが?通り道ですので道を通らせてもらう予定ですが?それに明ではく日の本の生まれですが?」
「は!?もっとましな嘘を言え!貴様はまだ分かるがもう一人はあり得ないだろうが!とにかく馬から降りろ!」
正直めんどくさい。隠岐島の人達はすぐに私達を気に掛けてくれたよね。自分達が栄養失調ギリギリだったのに食べ物を分けてあげよう。って言って持って来てくれたよね。
けどさすがにアメフラシは食べられなかったな〜。まぁ島の貴重な食料に難癖は付けるつもりはないけど。
「美幸様?私の事を言っているのでしょうか?」
「多分ね。まぁ、私もこの時代の人ならリディアは外国人かと思うかもしれないね。金髪だからね」
さすがに、リディアも含めて日本人とはゴリ押しできなかったか。
「なんだ!?なんだ!?」 「間者か?」「織田方の者ではないのか?」
ほら。往来の人まで注目されだしたじゃない。けど正解だね。織田とは敵対してるって事だね。
「もし・・・私が力ずくでここを突破するとすればあなたは抵抗しますか?」
「は?女二人に遅れなぞーー」
「お黙りなさいッッッ!!!!!」
シュルシュルシュルシュル
「な、なんだこの糸は!?動けぬ・・・ぐぬぬぬ」
「わっち特製の糸で縛らせてもらったよ!動くと肉に食い込むかもね〜!」
リディア・・・私が今クレオパトラ剣で峰打ちしようと思って抜いたのに・・・。
「リディア!頑張れば解けるくらいにしてあげなさい!騒ぎになる前に行くよ!」
「アイアイサー!」
そもそも敵対しているなら何で攻め込まないんだろう?あの状況で他の兵が来ないなんてぬるま湯に浸かりすぎじゃないのかしら?
史実でも浅井を倒すついでに朝倉も滅ばされたんだったかな?それにしても織田は浅井、朝倉にどんな作戦をしているのかな?分からないな。
既に騒ぎになりかけてはいたが応援が来る前に私達は長浜に向かい走り出した。だがすぐにまた立ち止まる事になる。関所だ。柳ヶ瀬関所だ。
「止まれ!そんな急いでどこへ行く?なに!?よく見ると女か!?」
「失礼ね。よく見なくても女だから!私達は先を急いでいるの。あまり無茶言うなら押し通るわよ」
「いや女だろうが理由なき者は通すなと言われていてな。いや、相すまぬ」
意外に礼儀正しい人ね。けど今は関係ない。早くここを抜けないと・・・。
「とにかく、荷物は何も持っていない!身一つよ!」
「権三?何をやっている?なに!?女か!?」
私は奥から出て来たもう一人はやっかいな人だと一目で分かった。だって、奥から出てくる前に少し見えた小屋?に裸の女が居たからだ。
「ふむふむ。見かけぬ者だな?手形はあるのか?」
「ないです」
「そうか。なら一晩ワシに付き合えば通さないでもないがどうだ?隣は南蛮の女だな。初めてだ」
「悪いけどそんなに待てません。銭でいいならすぐに払えます!」
「ほう?見せてみろ。金額によっては考えなくもないがな」
私は島のみんなからもらったお金を布袋に入れてインベントリーに入れていたがバレないように少し後ろを向き取り出し、男に渡した。まぁそもそも、こんな男に大事な島のお金を渡すつもりはそもそもない。
これはパフォーマンスだ。この男は絶対に私達を通すつもりがない。これは目を見れば分かる。寧ろ、このお金を懐に入れて難癖つけてくるタイプだ。
「バレるとワシの首も飛ぶでな?これじゃあ少々足りないようだ。だがこれは預かっておく。明日には返してやろう。まぁこっちへ来い。殿から頂いた茶でも出してやろう。茶なんか初めてであろう?」
「美幸様?いつまでこんな茶番を?」
「いや、事実が欲しかっただけよ。何もされていないのにこちらから手を出すのは私は嫌いなの。けどそれもおしまい」
私はクレオパトラ剣を抜き男の首に突き付けた。
本当にこんな事で大丈夫なのかと聞きたくなる。奥から出て来た男は私が剣を突き付け、最初の男はリディアが糸を首に巻き付け動きを封じ込めた。二人はまったく反応していなかった。平和ボケし過ぎてなんじゃないかと思う。もしくは、関所の人間の質が悪いんじゃないかとも思う。
「ま、待て!銭は返す!ここは通っていい!」
「仮にも関所を守る人間がこんな事でどうするのよ。まぁ私には関係ないけど。リディア?二人を縛ってくれる?」
「了解」
リディアに二人を任せている間に私は小屋に入り女の人を見る。これはダメだわ・・・。
「しっかり!大丈夫ですか!?」
「うっ・・・」
呂律が回っていない。何か薬でも飲まされたのだろうか・・・。私は、真白に作ってもらった完全回復スプレー・・・ではないけど、それと『同じ効能を持つ私特製の完全回復スプレーだ!』と自信満々に言っていた紫色の液体を女性に飲ませた。
この成分は私には分からない。そもそも何でスプレーと呼ぶのかすら分からない。だってスプレーになってもいないのに真白は『新しい形の完全回復スプレーだ!』と言い張っていたからだ。
効果は島で立証済みだ。初めて見たアメフラシに私はビックリして磯で転けたのだがちょうどその時真白が作ったこの薬を飲まされ、確かに瞬時に傷が治ったのだ。まぁ、まったく飲みたくない毒々しい色をした薬だけど。
「薬よ!悪くはならないから飲んでちょうだい!」
「うっ・・・ゴグッ・・・」
「良い子ね。少し待っててね」
私はドスドス歩き男の方へ向かう。
「あぁ〜!美幸様!終わったよ!!」
「うん。リディアありがとう。けど少し下がっててくれる?後、小屋の中に12歳くらいの女の子が居るの。服を作ってあげて」
「アイアイサー!」
「な、なんだ!?まだ用があるのか!?」
バチンッ
私はクレオパトラ剣の剣身でビンタした。このまま首を斬ってもよかったが一応弁明を聞こうと思い斬らなかった。
「あなたあそこであの子に何をした!?言え!何をした!?」
「走野老を食わせた・・・」
「は!?意識混濁していた理由は毒を飲ませたの!?最悪!あなたは死罪。死をもって罪を償いなさい!」
「ま、待て!何でワシだけーー」
「問答無用!」
ブシュンッ ポトッ
私は自分が女だからか女の子や女性が軽視されるのが許せない。特に体の弱い女の子を更に毒を持って行動制限させ色欲のために扱うなんて許せない。
「あなたは?」
「お、俺はそんな非道な事はしない!!俺には志があるのだ!!」
「ふ〜ん。別にあなたの志なんかどうでもいいけど。けど嘘吐いていても分かるからね。直に直接あの子に聞くから」
「構わん!俺は断じて毒を使い女を組み敷こうなどとは思わん!」
言葉の語気的に本当のようね。けどこのままこの人を生かしておいていいものだろうか。
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