ワクワクしていた毎日
私は今リズと艶と真白とで話している。今後の事についてだ。ちなみに明の人達は正次郎さん夫婦に言って面倒を見てもらっている。なんせ先輩だからだ。
慣れたもので、シャワーやサウナなんかの入り方を教えている。
「はぁ〜・・・・」
「美幸様どうされましたか?」
「う〜ん・・・ここで、島津義弘さんの下で内政でもしようかと思ったけどそうもいきそうもないみたい。せっかくみんなに挨拶したし、一緒に戦った人達を呼び寄せてしまったしどうしようかなって・・・」
「そんな事は気にせず美幸様の好きにすればいいのではありませんか?」
「はぁ〜・・・見捨てるように見えるでしょ」
「あーしも美幸っちの好きにしていいと思うぜ?世は乱世!力こそ正義!ゲーム時代にあーしは居なかったけどリズ様に聞いたぜ?相当無茶してたんだって?」
「無茶って・・・私はそんな無茶してないよ!?」
「どうだか・・・常陸でブイブイ言わせてたんだろ?アンプソール家とかロスチャイルド家とかほうじ茶家とか上位者に攻められてたって聞いたぜ?」
「リズはよく上位のプレイヤーの名前なんてよく覚えてたね?」
「(クスッ)私は戦う専門ではありませんがあの時は色々楽しかったですよ?大橋様の護衛の小雪様や佐助、喜助様とよくドクターハウスで遊んでいましたね」
あれはゲームでパラメーターにある疲れを癒すために色々遊んでいた事だ。リズは現実の事のように思っているんだろうね。私もこの世界に来てしまったからか現実の事のように思う。
確かにあの時は楽しかったね。ゲームに熱が入っていた時だからかな?それでも上位プレイヤーが四方八方から攻めてきてからの防衛・・・さすがに無理ゲーだったけど確かにワクワクしていた。
「とりあえず明日の論功行賞に出てから決めるよ。もしどんな形になっても3人は私に着いて来てくれるかな?」
「「「もちろん!」」」
私は3人の言葉に安心した。多分、古参の人達が新参の私を気に入らないのだろうと思う。しかも地元でもないしね。よそ者の辛いところだね。
カンッ カンッ
「殿様の・・・おな〜り〜」
今私は飯野城本丸にある大広間に居る。論功行賞のためだ。しかも席も貴久さんに近い3番目のところだ。
昨日は皆と初顔合わせをして親睦を深めた。明の人達にはリズが腕によりをかけて作った中華オードブル・・・まあ時代的にまだ出てきていない物もあっただろうがエビチリやチャーハン、水餃子、肉まん、油淋鶏や春巻きなどだ。
みんな涙流しながら食べていた。倭寇として活動していた癖に碌な物食べていなかったのかと疑問に思う。リンさんに関しては少し余裕があるのか、あの家の外観やら装備品の虜だ。特に風呂には何回も入っていたそうだ。
ちなみに正次郎さん達夫婦には、もしかすればこの地を離れる事になるかもしれない事を伝えた。その場合は悪いが連れて行けないとも言った。
本当は連れて行ってあげたいが領民を私が攫った事になってしまい、義弘さんと禍根が残ってしまう恐れがあるからだと懇々と伝えた。もしそのような残念な結果になったとしても住む家と銭は渡すと言っても中々首を縦に振ってくれなかった。
どうしたものかと考えたが答えは出ず今に至る感じだ。
「うむ!皆の者よう参った!!これより論功賞を始める!義弘!前へ!」
「はっ!」
さすが兄弟と言ってもみんなの前だからかちゃんと敬語なんだなと思う。
少し耳打ちして2人は話している。私はこの場に相応しくないと分かっている。後方に座ってる見た目猛者の髭もじゃの人達・・・私なんか居るのはつまらないよね。目で分かる。多分後方に居る人達はみんな私の事妬んでいるように思う。
「第一功ッッ!!!如月三左衛門!!」
「は、はいっ!!」
やはり変わらないか・・・。私はあれほど手柄は要らないと伝えたのに・・・。引っ越し確定か・・・。
「先の戦にて見事な陣地構築及び捨て奸を成功させた!しかも義弘が加久藤城の兵と合流する時間をよくぞ稼いでくれた!」
「はっ。もったいなき御言葉・・・」
「其方には飯野城三の丸城下の他、日向のーー」
「ちょっとお待ちください!何故、新参の者に第一功を!?第一功は黒川殿の方が相応しく!!」
「いやいや新納様の方がーー」
やっぱこうなるよね・・・。
「黙れッッ!!!貴様等はたかだか10人も居らぬ兵で3000の兵を半刻持ち堪えられるかッ!?言え!持ち堪えられるのか!?如月はそれをやり遂げた!しかも誰1人として脱落者はなしでだ!!」
「義弘様!かえすがえすももし、おいどんに命令されるならばおいどんなら持ち堪えてみせたでしょう」
「おいも同じでごわす!」
強すぎる故の自信だよね・・・。負けるはずかない!と思うから簡単に言えるのかな・・・薩摩の人は強すぎるんだ・・・。
「そもそも義弘様が出張った戦・・・殿は出陣してすらおらぬと言うのにこの場を仕切るのは些かおかしいのではないですか?やはり島津家は義弘様にーー」
それは言ってはダメだよ・・・きな臭くなってきた・・。
シュパッ
誰か知らない人が啖呵切ってそう言うと義弘さんが電光石火の一刀を放った。私にも見えなかった。ただ・・・意外にも恐怖は感じる事がない。残念に思ってしまう。これが素直な感情だった。
「島津家は兄者・・・島津義久が当主ぞ!!何をふざけた事を言うのだ?此奴は島津を否定した。よって、死罪だ!他にも意見のある奴は?」
これはダメだ。みんな畏怖して黙ったけど史実にはない内紛になってしまうだろう。私が居る事によってこんなに変わってしまうのだろうか・・・。暁君のせいかな?島津に悪い印象が私にはない。ここは史実と違うゲームの世界。だけど島津家は残ってほしいと思う。
だからなのか・・・私は自然と自分が悪者になろうと立ち上がった。
「義弘様・・・義久様・・・私が来た事によりすいません」
「何を言っている!おいどんだけではなく兄者も其方をーー」
私は義弘さんが喋り終わる前にインベントリーから【スタンソード】を取り出し、義弘さんに振り抜いた。
このスタンソードとはその名の通り、相手を痺れさせ動かなくさせる剣だ。ただ裏技として相手の首に綺麗に当たると相手を気絶させられるのだ。剣が首に当たれば斬れるじゃん!!?と思うかもだがこの剣は固有技に突出しているだけで殺傷能力は0。斬れたように見えても気絶してるだけなのだ。
そしてこの場は甲冑も着ていない義弘さん。首に当てるのは容易だ。そして100%トマトジュースを一緒にぶちまけた。よく見れば血じゃないと分かるが興奮した今なら勘違いするだろう。
「ぬぉぉぉぁ!!!殿ぉぉぉ!!!!」
「おのれ!!!なにを血迷うたかッッ!?!?」
すかさず私は【スモークグレネード】を撒き散らした。
部屋が煙で見えなくなる前に横に座っていた義久さんに耳打ちした。
「義久様すいません。義弘様は気絶しているだけにございます。こうなる事を予想はしていました。私は島津家を分裂させるつもりはございません。ここに私が捨て奸にて無類の強さを発揮した鉄砲と弾を置いておきます。九州統一頑張ってください」
「ま、待て!!其方は・・・いやすまん。力なき当主で申し訳ない。いつか戻ってこい!必ずだ!」
「義弘様にも謝っておいてください。私は島津様の敵ではありません。鬼石曼子(グイシーマンズ)本当にそのような人に見えました。御免!」
最後の言葉は意味が分からないだろうと思う。史実で秀吉の世になった時の島津義弘さんの明での呼び名だ。
私はベレッタ92を4丁、9×19㎜パラベラム弾10000発を置いてこの場を走って後にした。飯野城は阿鼻叫喚だ。まぁ義久さんが上手く収めてくれると信じている。
そして三の丸城下のドクターハウスに行き、みんなに理由を伝える。
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