一筋縄ではいかない!?

 あの倭寇の人達の事は一先ずおいといて、その倭寇の人の船の隣に幽霊船を出してカモフラージュネットを掛けておいた。


 「消えたダト!?」


 「まあその事は置いといて・・・まず、本当に私の下に付くなら金輪際明の言葉は禁止。あなた達の事を知れば許してあげるけどまだ信用してないから」


 「ソレハ当たり前です。おい!オマエラ!これから日の本の言葉だけを喋れ!いいな?もし約束を破ればフカの餌にしてやる!」


 「「「はっ!!」」」


 「ところで何で私の下に付きたいのかな?」


 リン頭領?が言うには徐海って人の後を継いだはいいが、全盛期には2万をも超える人員が居たが今やそれは散り散りとなり、どこに何人居るかが把握できないらしい。


 聞いた地理的に、現在の台湾辺りを拠点に少数が残っているかもとの事。日陰暮らしはもう嫌だという事らしい。


 まぁ倭寇の事はどうでもいい。私自身も早く自立したいのだ。


 「今すぐ何かしなさいとかは言うつもりない。それに・・・」


 私は完全回復スプレーを3人に振りかけてあげた。呻き声が可哀想だからだ。


 「治った!?」「腕が生えてきた!?」


 「これは私の貴重な薬。まずはこれで様子を見ましょう。私は一度家に帰るけどあなた達も来る?私は汚いのが嫌いなの。それにリンさんは女でしょう?お風呂を紹介してあげるよ」


 「フロ?私はこれより貴方様の下僕です。よろしくお願いします」


 「そんな下僕なんて言わないでね?私はこんな姿だけど女よ」


 「うん?見たまま女だとは思ウガ?」


 嘘!?この世界に来てやっと女と認識してくれる人が居たんだけど!?嬉しいよ!!!


 「リンさん!あなたは見る目があります!リズに言ってとっておきのご飯をお出ししましょう!では行きましょう!!」



 家まで帰るのに少し時間が掛かった。私は天翔に乗っているが他の人達は徒歩だからだ。下っ端と言えば言葉悪いが、下っ端の乗組員の人達は私が船を沈めたと勘違いしているようで説明が大変だったが歩きながらなんとか説明をして納得してもらった。


 そして家に帰ると時刻は19時を過ぎていた。あまりに遅いため艶がそろそろ探しに行こうとしていたところだった。しかも・・・


 「どこをほっつき歩いているのですか!?」


 「おっおぅ!リズちゃんや!?どうしたの!?」


 「どうしたもこうしたもありません!遠矢様からの先触れにて島津家、当主 島津義久様がお見えでずっとお待ちしております!!早く!!!」


 「嘘!?なんでこんな時間に!?」


 私はビックリしながら服を着替えようかと思ったが待たせている事もありすぐに部屋に行く事にした。ちなみにこの倭寇の人達は簡単にリズに説明して地下の部屋ででもご飯を食べさせてあげるようにと言ってあげた。


 まぁみんな私のドクターハウスに驚きっぱなしだけど。


 そして、義久さんを案内していた場所は晩餐室だ。真白が応対してるとの事で少し不安を感じる。


 

 「すいませんっ!!!お待たせ致しました!!如月三左衛門です!!」


 「うむ!帰ったか!あぁ〜良い良い!おいが勝手に押し掛け邪魔してるだけだ!それにここは其方の家なのだろう?義弘に聞いたぞ?先の戦では1番功だったらしいな?」


 「私はそんな大した事はしてませんが・・・」


 「はは。そう謙遜するな。義弘が手放しで他人を褒めるのは珍しい。その義弘が其方を絶賛しておった」


 「ありがとうございます」


 「うむ。遅れたが、おいどんが島津16代当主 島津三郎左衛門尉義久である!」


 「ははぁ〜!!」


 威厳のある自己紹介だ。義弘さんと違う威圧を感じる。


 「美幸様!!おっかえりなさいませ!!」


 「真白!!?どどどどうしたの!?」


 真白は口調が更にフランクになっていた。しかもかなり上機嫌だ。


 「あぁ〜!その者と少し語らっていてな?女だし、南蛮の者のような出立ちだが中々面白い者だな?皆をおいが欲しいくらいだ。しかもおいは実は酒が飲めないのだが、この黒い甘い水を出してくれてな?これは実に美味い」


 「お酒飲めないのですね。それはコーラというジュースですよ。甘くて美味しいですよね」


 なんて事ない雑談が始まる。中々核心に入らない。本題は恐らく私を島津家の家臣として認めるかどうかだろうが・・・。


 そんなこんな話しているとリズがご飯を持ってきてくれた。私の大好きなオムライスだ。


 「義弘の言っていたとおりだ!見た事のない飯を作り、それが全て一級品とな?すまぬ。いただくぞ!」


 義弘さんとは違う豪快な人だ。本当に共も付けず1人で現れたそうな。しかも私達の事を怪しまず毒味も何もなしに食べるなんて・・・。


 「美味いッ!!!美味いではないか!!!最近は腹が痛い事が多く食欲もなかったがこれなら食える!!」


 うん?お腹痛い?食欲がない?確かに痩せてはいる人だし、年齢は40歳前後かな?病気かな?


 「真白?ポットで診断してあげたの?」


 「いいえ!しておりません!イエッサー!!」


 「真白・・・あなたお酒飲んだの?」


 「少しだけ・・・島津様にお出ししましたが要らないと言われ私が飲みましたであります!!」


 はぁ〜。真白はお酒に弱いってどういう事よ!?身体は未知の物で作ったんだよね!?


 「真白?少し休みなさい。後は私に任せて!」


 「サー!イエッサー!」



 オムライスを食べて、暫く雑談をした。この義弘さんもイメージでは猛将のイメージだがやはりどうしても義弘さんの方が未来では印象が濃いだろう。


 去年お父さんの貴久さんが亡くなったばかりで色々大変なのだそうな。家臣の纏めから島津家内部では武勇の誉れ高い義弘さんを当主にと推す人も居たが、義弘さんは全て固辞。


 しかも義弘さんは、当主に!と推してきた人達には折檻する勢いで怒ったとの事。


 「考える事が多く、言う事聞かぬ家臣を纏めるのも大変なのだ・・・痛ぇ・・・」


 「大丈夫ですか!?艶!医療ポッドの用意をして!多分何か病気を患ってると思う!」


 話しながら義久さんがお腹を押さえて痛がっているため医療ポッドにて診断しようと思う。


 そして医療ポッドに乗せる前にかなり驚いていたが半ば強制に乗ってもらい診断を待つ。


 診断を待っている間に色々考えた。

 

 確か史実では義久さんも人望厚く采配も上手だったような気がする。多分これから色々学び、薩摩の島津として大きくなっていく人なのだろうと思う。秀吉に恐れられ、家康にも恐れられ、最強と名高い薩摩となるのだろう。


 診断結果はストレス性胃炎だった。胃癌とかじゃなく良かったと思う。一応全身スキャンして他にも何か怪我とかないか調べたが何もなかったので、治してあげた。またストレスを感じる事があれば再発するかもしれないがとりあえずはいいだろう。


 「うん!?痛くない!?治った・・・のか!?何をしたのだ!?」


 「胃炎といって、体の中が荒れている病気です。一応治しましたので養生してください」


 「そんな事まで分かるのか!?これでか!?」


 「はい。これは便利な物ですので私も大切にしております」


 私も病気では死にたくない。これは代えが効かないので大事に使うつもりだ。


 「実に素晴らしい!おいには訳の分からない物ばかりだ。飯野の城より目立つ物を建てる者を重用するとは何事だ!と言っていた輩も居るがおいが抑えてやろう。明日、論功行賞を行う。必ず登城してくれ!世話を掛けた」


 病気を治したらさっさと帰っていった義久さんだが心なしか表情がさっきより硬くなっているように見えたのは気のせいだろうか?それに私を認めたくない人も居るって事かな?


 義弘さんは私を認めない家臣の人を怒りそうな感じがする・・・。そうなれば史実にはない内紛なんかになりそうだし、そうなればせっかくもらった土地はもったいないけど誰も居ないところに引越ししようかな?


 権力者の横に居るってしがらみが多くて大変だよね・・・。

 

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