岐阜城と目と鼻の先
「美幸様!正気に戻りました」
「リディアありがとう。大丈夫?」
「え!?ここは!?あなたは!?」
「安心して。ここは柳ヶ瀬の関所。この関所の男に組み敷かれそう?された?かは、分からないけどあなたを助けてあげたの」
「ありがとうございます・・・ありがとうございます・・・」
「よかったね。毒盛られたみたいだから私が天誅してあげたからもう大丈夫だよ。どこに行くつもりだったのかな?」
「は、はい!お婆ちゃんがここは織田に攻められるから逃げなさいと言われ・・・。織田に捕まれば酷い事されるって・・・」
だから金ヶ崎城下だと言うのに人が少なかったのか。そもそもどこに行く予定だったのかな?
「それで目的地はどこだったの?」
「とりあえず・・・ここを出ないと戦乱に巻き込まれると思い・・・けど荷物も路銀もなくなってしまいました・・・」
バタバタバタバタ
「あんた!その男の懐からお金を取りなさい!リディア!糸を解いてくれる?」
「了解」
ゴソゴソ ドサン
「へぇ〜。よくもまぁこんなに入ってるわね。相当バカな事してたみたいね。死んで当然の男だ」
「キャァ〜〜!!!」
「大丈夫だよ。安心してね」
死体を見ての悲鳴かな・・・。私も少し前までそうだったけど今じゃなんとも思わなくなってしまったな〜。
「お、俺をどうする気だ!?殺すなら殺せ!」
「どうしよっか。こんなに長居してるのに全然人は通らないし見回りにも来ないのね。しかも柳ヶ瀬って国境いの要所でしょ?越前も風前の灯火かな?」
「そ、そんな事はない!甲斐から武田が攻めた報が入ればお前達織田は逃げ場はないぞ!!」
「残念。私は織田じゃないの。むしろどこにも属していないから」
と、いうことはまだ三方ヶ原の前かな?なら何で逃げたしたりする人が居たのかな?自分で見れば早いかな。暁君が攻めあぐねる事はないだろうけど苦戦してるなら手を貸してあげようかな?
それで隠岐島だけじゃなく、島根くらい貰って大好きな魚ばかり毎日食べて過ごそうかな?
「ならどこの者なのだ!?もう一人の女は南蛮の女みたいだが・・・まさか!?誠に南蛮の女か!?」
「いやいやどう見ても私は日の本の人間でしょう!リディアは見た目は南蛮だけどちゃんと日の本の女です!まぁもういいかな。あなたそういえば名前は・・」
「はい!てるといいます!」
「オッケー!てるちゃんね!私は如月三左・・・如月美幸!こっちは私の家臣のリディアよ!それでこの男の人には乱暴されてない?」
「おっけー!?」
「あっ、ごめんごめん!なんでもない!それでどうなの?」
「はい!そのおいちゃんに少し良くしてもらいました!」
「どういう意味?」
「いえ、その横に居る・・・死んだ方に上に覆い被さられた時に・・・その死んだ人がそこから出て行った時に食べ物を貰いました」
「ふぅ〜ん。あなたの言った事は本当のようね。なら生かしてあげる。けど、善意で言ってあげるけど朝倉から離脱した方がいいと思うわよ?あなたの志が何かは知らないけど私の知ってる人が織田方に居ると思うけど甘くないわよ?」
「そんな事はない!武田と共闘する事になっていると聞いた!しかも将軍からもーー」
「古い考えね。甘い。将軍なんて古い。そもそも他所の家を信じ自分達で戦いもしない朝倉を信じるなんてどうかしてるわよ?自分で考え何をし、誰に味方するか考えればどうです?まぁ所詮は他人事だけど。じゃあ私達は通るわよ。文句あるかしら?」
「い、いえ・・・」
「てるちゃんはどうする?着いて来る?着いて来るなら私の知り合いにお願いしてあげるけど?ここから東に少し行ったところに居るからもしかすれば戦争が終わればお婆ちゃんとも会えるかもしれないよ?」
「よろしくお願いします・・・でもお返しすることも路銀も・・・」
「いいからいいから!もし知り合いがお金要求してくるなら私が1発ギャフンと言わせるから!」
本土に入りさっそく一悶着を起こしてしまったがとりあえず切り抜けたね。やっぱ隠岐島が平和で良かったかな。ってかそもそも暁君は何をしているのよ!
さっさと攻め上がればいいのに。まさか本当に攻めあぐねているの!?武田に!?
てるちゃんは私の前に乗せて走る事にした。リディアは並走している。
「わぁ〜!馬ってこんなに速いのですか!?初めて乗りました!!」
「良かったね!この子は天翔っていう子なの」
"ふがぁぁぁぁぁ!!!今わてを褒めてくれましたね!!!もっと速く走るでがんすよ!!!"
「ヒヒィィィィーーーーン!!!」
確かに体力があり速く走る天翔・・・ただもう少し性格が普通になればもっと凄い馬になれるのに・・・。
天翔のおかげか予定では不破の関所・・・関ヶ原のところで夕方になるかと思っていたが、隠岐島で無理矢理作った私基準の時間で14時だ。ここで休憩はもったいない。さっさと岐阜に入りたいところだけど・・・。
「やっぱ、関所は廃止してるみたいね。リディア!このまま岐阜城に向かおう!」
「はい!」
私達は不破を抜けて、現在の大垣市辺りを走っている。さすがにこの頃になると夕日が顔を出してきた。ただ一つ思った事は、浅井領や朝倉領から人が入って来ると思うし、なんなら間者まで入りやすいようにしてるのはなぜだろうか?
キャンプしようかと思ったが意外にも・・・いや失礼。かなり発展している。むしろ現代建物に近い家々が並んでいたりする。
「美幸様?ここは、全然違いますね?」
「そうだね・・・リディアも知らないと思うけど多分私の知り合いのせいだと思う」
「おや?見かけないお嬢さん方だね?小雪様の配下ですか?」
「え?誰?小雪様?」
「ぬぅぁ!?まさか織田様の者じゃないのか!?ここら辺で小雪様を知らない者はいないのだぞ!?」
「小雪様ってまさか暁く・・・大橋様の配下の小雪様の事?」
「なんでぃ!知ってるならそう言ってくれよな!?焦ってしまったじゃねーか!そうだよ!だが・・・ここだけの話・・・小雪様は大橋の旦那が好きで好きで仕方がなくどこか遠征に行くって話だったが隠れて着いて行ってしまったらしい」
「は!?遠征!?どこに!?」
「馬鹿!声が大きい!船で出払ったそうだ!まぁ俺みたいな下々の飛脚には詳しく教えてはくれなんだ。だが用事なら大宮の方まで行ってみな!大橋の旦那の家にセバスチャン様が居る!言伝てしてくれるぞ!おっ!そうだそうだ!家に向かうならこれを渡しておいてくれるか?桶は今度俺が取りに行くからってな?頼んだぞ!!」
いやなんなのさっきの人は!?
「美幸様?その桶に入ってる物は?」
「見てみようか・・・え!?氷!?それに・・・これって・・・」
「鯉・・・川魚の鯉ですね・・・その暁様という方は鯉が好きなのですか?」
「いやそれは分からない・・・でもあの飛脚の男性も暁君の事知ってるようだったし多分この鯉が好きなのかな?まぁ情報も手に入ったし大宮に行こうか」
「はい。ですがその暁様という方は凄いですね。大宮と言えば城の真下・・・本当の城下です。そこに家を構えるなんて織田様に相当信頼されているみたいですね」
「う〜ん。多分相当遠慮なくやってるぽいよね」
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