距離を繋ぐ電話
「うむ。そうだ。残念だがお主の同郷の者は横に居る。ほう?だが男のような女だぞ?ほう?」
私は失念していた。そう。電話があったのだ。しかも平然と信長さんは電話を使いこなしている。
「代われとの事だ。ゆるりと話すがよい」
念願の暁君・・・久しぶりだ。
「すぅ〜〜〜・・・・もしもし?」
『うん?如月!?じゃないな!?お前は誰だ!?』
「え!?私だよ!?あっ、ゲームの時は隠してたしVCの声も変えてたから分からないかと思うけど正真正銘の私だよ!実は女なの」
『嘘!?マジか!?いや信じられない!」
「もぉ〜!!常陸のシナリオの時、超課金アイテム【ソアラ】を使って負けた!これで分かるでしょ!?」
『それは・・・その事を知ってるのならまさか・・・』
「何回も言ってるでしょ!如月三左衛門だって!」
『あれ?前右府は?』
「あれは辞めたの!暁君も分かるでしょ!?」
『ふっ。冗談だ!ってか如月は凄いな?島津兄弟・・・義弘と会ったけど木崎原でやりあげたらしいな?』
「な、なにを聞いたの!?」
『ふん!秘密にしておく!帰ってから色々話そうぜ!俺の家分かるだろ!?セバスチャンや佐助に伝えておくから家でゆっくりしててくれ!すぐに帰るから!』
「いや、宿屋も楽しいからどこか泊まるよ!私も仲間が居るの」
『そうか。分かった!まぁ明日、明後日には戻るから待っててくれ!じゃあな!』
ゲームの時と変わらない・・・もし織田と争う事になれば暁君と争う事となる・・・。
「ふむ。終わったか?」
「あ、はい!終わりました。ありがとうございました」
「ワシは優秀だからワシが思うように事を運ぶ。誰と誰が誼を結ぶか。敵か味方か。もう一度聞く。其方はワシの敵か?」
こういうところが殺してしまえホトトギスと例えられるところだったのかな?私はこの人が嫌いだ。恐怖や畏怖で上から目線の人はリアルでも嫌いな部類の人だ。けど、あの暁君がこの人の下で働いている意味が少し分かる気もする。
争うにしても今はまだ・・・。
「いえ。同盟というには私が弱小すぎますが、大橋様に負けないくらいの事は織田様に齎せますと断言致します」
「ふん。越後を使え。隠岐から毎度毎度那古屋に来るのは無駄が多い。大橋は佐渡に金が眠っていると言った。隠岐の者はどうやって生活している?」
うん?関係ない人達の事も気になるのかな?
「と言いますと?」
「全て言わぬと分からぬか?少なくともここよりは貧しいであろう?魚は分からぬが肉は育てておらぬであろう?融通してやる。信用ある者を雇ってやる。佐渡の金山開発を其方と大橋に任せる」
嘘!?いきなりの大仕事!?新参の私がいいの!?
「構わないのですか?」
「其方を遊ばせておくのは危険だ。口ではどうとでも言えよう。敵ではないと言うたが家臣になるとは言わなんだ。それが本心であろう?どんな事があろうが隠岐には手を出さん。今の約束はここまでじゃ。ワシはやる事が多い」
「あ、ありがとうございます!」
「やっと表情を変えたな?タヌキのような者は嫌われるぞ?」
冷酷な人かと思いきや意外と相手の事も考えられる人なのかな?
「気をつけます・・・あのう・・・」
「なんじゃ?」
「敦賀や近江はいかがするつもりですか?」
「ふん。知れた事よ。東の両巨頭はワシの元へ屈した。彼奴等は最早風前の灯であろう。ここで頭(こうべ)を垂れれば生かしてやってもよいがそうはせぬであろう」
やはり優しい人だ。私ならここまで何回も何回も戦って来たならすぐに斬首にすると思う。けどこの信長さんはそれでも生かそうとする。少し強引で合理的過ぎる考えの持ち主だけど暁君には堪らない人なんだろうね。
私はやはり少し苦手だけど。
「もしよろしければ・・・敦賀だけ私に取らせていただけませんか?敦賀と言っても一部分でかまいません。金ヶ崎城もいりません」
「うん?何故じゃ?」
「隠岐にまだ味方が居ます。呼び寄せるためにまず近道をと・・・それに多分浅井、朝倉を干上がらせる作戦かと思いますが私が敦賀を奪取すれば完全に浅井、朝倉を分断できます」
「ふん。最早その2家なぞ恐るるに足らぬ。まぁだが其方の言う事も一理ある。やってみるが良い。だが織田からは何もせんぞ?貴様のお手並み拝見といこうではないか」
「畏まりました」
「あらぁ?それは良かったじゃない?それに暁ちゃんも明日に帰ってくるのね?金山開発するなら少し融通してよね?如月ちゃん・・・ごめんごめん!美幸ちゃんにも金とヒヒイロカネを使った剛剣を作ってあげるわよ?」
「セバスチャン!?金とヒヒイロカネを使った剛剣って使う場面ないよ!?」
「そんな事ないのじゃないかしら?佐渡と言えば謙信ちゃんの領土でしょう?多分あの変態を乗せて行くんでしょう?本間氏が素直に聞き分けのいい人とは分からないわよ?」
真白に言えば作ってはくれるだろうけどここはセバスチャンとの誼もあるし、金が取れれば少し融通してあげよう。
「確かに・・・。それと私は敦賀に攻め込む事になったから」
「敦賀!?なんで!?そこは今、織田の殿様が大いなる作戦を実行中じゃなかったか?」
「佐助君?私は隠岐に住んでるのよ?越後を使えって言われたけど距離が遠過ぎる!鉄道でもあればそれでもいいかと思ったけどレールも敷いてないでしょ?」
「それはまだだ。暁様も考えてはいたけどまだそこまで人も教育も行き届いていない」
「ほらね?私の帰港地として敦賀がちょうどいいの。それに隠岐の人達も外に出られるチャンスなの」
「チャンス?」
「罪人の子孫と呼ばれ静かに貧しく暮らしている。今は私が多少援助してるから変わってきてると思うけど最初は酷かったんだよ?その酷い生活の中で、私達が上陸した最初なにされたか分かる?」
「「「・・・・・・」」」
「籾殻がいっぱい付いたままのお米とも呼べるか分からない物をくれたの。こんな物しかないからすいませんってね。私は隠岐の人に外の世界を見せてあげたい。隠岐の人を表舞台に出してあげたい。そう思ってるの」
「そうか。隠岐の住人は良い人ばかりなんだな。俺にもできる事あれば言ってくれ。また如月様の護衛でも喜んで引き受けるぜ?」
「佐助君ありがとう。けど今はもう大丈夫だよ!近々私の仲間も紹介するよ!」
とりあえず、明日暁君に会ってからかな?その後、静かに敦賀に向かい、隠岐に戻る。真白や彦太郎、リズも連れて再び敦賀に戻り・・・金ヶ崎を隠密で落とそう。
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