家政婦型アンドロイド リズ
「こんにちわ!美琴さん!」
「あ!如月様!私如きがお呼びしてすいません」
「いいですよ。私はそんな身分ではございませんので!」
美琴さんが汁粉を奢ってくれるとの事でご馳走になる。まぁ、遠矢さんのお金だから気兼ねなく食べれるけど。
私の出身がここではないため、泊まるところなどあるのかと純粋に心配しての事だったみたいで私は三の丸城下を貰ったと伝えた。
「え!?もう領地持ちになられたのですか!?」
「え?まあそうですね。義弘様に書状まで書いてもらい、約10町程の大きさだったかな?まぁそれをいただきました。後で家を出すので正次郎さんと遊びに来ます?」
「いや・・・私達の村は遠いですので昼には経たないととても夜半までに帰れません」
いったいどこの村なのだろう。なんなら10町もあるなら私の領地に住んでくれてもいいんだけど・・・。
「おーい!美琴!そろそろ帰るぞ〜!」
「あ!正次郎さんこんにちわ!」
「はっ!申し訳ありません!如月様も一緒とは知らずに・・・」
「いいからいいから!そんな敬語やめてください!」
私は言おうか言わまいか迷った挙句言う事にした。
「よければ私の領地に住みませんか?家はこだわりがなければすぐにお出ししますよ?」
ここから説明が大変だった。何で出せるのかやお兄さんも構わないのかとか色々聞かれた。
そして妙なタイミングで共に死戦を潜り抜けた皆がこの汁粉屋で邂逅する事になった。
「おや?如月様ではございませんか!?」
「お!誠だ!如月様!俺です!俺!」
「おーい!正次郎!そろそろ帰ろ・・・如月様!!!」
「如月様!!こちらにおられましたか!?この助六残りの生は如月様に捧げますぞ!!」
皆がそう言うもんだから軽く注目を浴びてしまった。
「よろしければこれは私共の差し入れでございます。さぞかし名のあるお武家様でしょう」
「え!?店主さん!?それはいけません!美琴さん!お代を!」
「いえいえ。そういうわけにはいけません。話を聞くつもりはありませんでしたが、殿より領地を貰ったそうですね?しかも10町も・・・立派な召物、皆に慕われている・・・今後もお守りいただきますよう・・・」
店主がそうやって言うと何故か全然関係ない知らない人まで私に頭を下げだした。
なによこれは!?新手の罰ゲーム!?恥ずかしいよ・・・。
正次郎さんと奥さんの美琴さんを除き、他の人達は住んでいいのなら是非お願いしたい!との事。
住むなら仕事もあげないといけないし、食べ物も永久に私が出すわけにもいけないからね〜。
「では、とりあえずは皆さん!引っ越しお願いします!飢える事は絶対にないように致します!三の丸城下ですのですぐに分かると思います!」
「はっ!ありがとうございます!ではこの助六、皆より先に戻ってくることを・・・」
助六さんはそう言うと、全速力で走り消えていった。
太郎さん、権六さん、一郎さん達も必ず来る!と言い残し消えていった。まあこの時代の引っ越しなんかは簡単にできる事じゃないしな〜。家族居るなら連れて来てもいいと言ったし。
まぁ、気長に待とうかな。
私は正次郎さんと美琴さんを連れて、三の丸城下までやって来た。
「如月様?ここから木を切り倒して開墾するので?」
「う〜ん。開墾?は違うけど似たようなものかな?まぁ少し下がって見ててください!出でよ!!私の【ドクターハウス】!!」
うん。別に発声はしなくていいんだけどなんとなく叫んだ方がかっこいいじゃん?と思ってしまう。
バァァァァァァーーーーーーーン
「おぉぉ!!」「キャァ〜!!」
出たよ!出た!愛しの我が家!!ゲームではさんざんお世話になったよね〜!この世界に来てからずっとゲームと同じだから・・・あるよね!?暁君の物資の数々・・・。
「如月様?この家は・・・」
「正次郎さん!いい質問です!私の情熱とお金と暁君の苦労で出来上がった家です!」
正次郎さんに私がどれだけこれを作るのに苦労したか話していると、家の中から私の唯一のアンドロイド、リズちゃんが現れた。
「美幸様!お久しぶりです!やっとドクターハウスを出したのですね!!!リズは感激しております!!!」
「遅れてごめんね?中々出せる場所がなかったんだよ。インベントリーで事情は聞こえたよね?」
「はい。島津様に与して旅をするのですか?」
「いやまあ、旅は分からないけど暁君を探しに行くかな?屋久島に行き、世界樹の涙の材料も欲しい。実際にあるかは分からないけど。ってか、リズはここが現実?リアル?みたいな場所と分かる?」
「はい。何故だか分かりませんが自由に話ができる。自由に行動ができるので不思議に思っております」
そりゃな・・・ゲームでは決められた行動があるしね。運営は自分で考えるAI アンドロイドとか謳っていたけど、強ち嘘ではないのね。このリズは見た目は女子高校生のようなギャルだ。
リアルで私は喪女だったから、せめて憧れの姿をと思い金髪、高身長、色白とヨーロッパの女性のようにした。アンドロイドの容姿を弄るのに、リアルマネー1万円も掛かったけど後悔はしていない!
性格は温厚、家事、育児、雑用のパラメータはマックスだ。戦闘はできないけど、それでも人間よりかは遥かに強いはず。一応ゲームと同じなら武器なんかも多少は弄れるはずだ。
「き、如月様!?このお方は・・・」
「綺麗だなぁ・・・・」
「ちょ!正次郎さん!美琴さんの方が綺麗でしょ!?美琴さん?この女の子はリズって名前で私の・・・妹です!」
側仕えとか下女と言えば分かりやすかったとは思ったがどうしてもこの言葉には抵抗がある。相手を下に見てるように感じるからだ。リズは私の相棒。暁君の戦闘アンドロイドの佐助君ありきだったけど幾度となくプレイヤーを撃退したしね。
「如月様は南蛮の方ではないのですよね!?」
「え?違う違う!三河って言ったでしょう?」
まぁ、リズは金髪だからそう思うんだろうな。
「如月リズと申します。この家の事ならばお任せください。案内致しますね?まずはお身体の健康を調べます。こちらへ・・・」
美琴さん達にそう言うとリズは私の方に向き直したので頷いた。とりあえず医療ポッドだろう。そして私は綺麗好きだ。自慢の風呂に入ってもらいたい。
さて・・・・木もたくさん生えているし雑草も大概ヤバイけどやるしかないよね・・・。まずは倉庫チェックしてみようか。
「殿?あの如月殿ですが三の丸城下と言えば10町以上はありまするが構わないのですか?」
「構わないもへったくれもない!おいは約束を守る!あんな荒れ地しか渡せぬおい自身が憎いくらいだ。兄者はいくら活躍があったとはいえ、他国の者の重用をあまり良しと思っていない。おいの目が届く範囲で1番大きい場所はあそこしかなかった」
「はい。ですが銭を持ってないそうです。それにあの場所を開墾したり切り拓いたりするのは些か人が足りないのでは?」
「分かっておる。おいもその事を思っておるから明日にでも話に行くつもりだ。側仕えと下働きの者30人程居れば良いか?」
「直臣はそれくらいで良いでしょう。切り拓いていけば自ずと人は集まりましょうや。ただ、よからぬ輩も来てしまう恐れもございましょう」
「そのための遠矢ぞ。彼奴は中々短気だが意外にも面倒見の良い男だ。黒木も偶には目を掛けてやってはくれぬか?」
「御意。実は、某の嫁が如月殿を大変気に入っておるのです。仲良くしておきます」
「うむ。良きに計らえ。それにしてもこの琥珀色の酒は如何ともし難い」
「え!?」
「いやな?これを魚醤職人に作り方を聞いてみたのだがどのように作ったかまるで見当がつかんと申しておってな?おいは、シャムの酒やラオ酒も飲んできたが間違いなくこれが1番だ。深い味・・・実に良い・・・」
「殿ッッッ!!!!御報告にございます!!」
「なんだ!?」
「さ、三の丸城下に・・・」
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