ドクターハウスモデル、ノイシュバンシュタイン城

 「さぁ!さぁ!美琴さん!正次郎さん!リズと一緒に入ってください!夜は歓迎会でもしましょうか!御二人の家は近くに出しますので!」


 私は2人をリズに任して少し離れた場所に【3号家屋】を出した。


 ちなみに私のドクターハウスは300坪程の西洋のお城のような外観だ。本当は日本家屋のような外観にしたかったけど暁君が『俺の素材入れる場所だから目立たせようぜ!プレイヤーが襲ってくれば逆に撃退してやろうぜ!佐助を護衛に配置しておけばいいだろ!』と言ってこのような外観になったのだ。


 西洋の城と言っても色々あると思うが何故か『ノイシュバンシュタイン城と同じにする』と暁君が言って作ってもらったのだ。多分だけど、名前がカッコイイからそうしてるだけだと思うけど。暁君の【誠のホーム】も確かノイシュバンシュタイン城のモデルだったような気がする。


 そして【3号家屋】だけど、この3号家屋はまあ普通の家だ。平屋の現代風の家だ。と言うか、運営がなにを意図したのかは分からないが某住宅メーカーとコラボして、そのガチャで出てくる家だ。


 住宅メーカーはゲームとコラボして何か利益があるのだろうかと疑問に思う。私はこの3号家屋を山程持っている。自分でガチャを回してハズレたからってのもあるが、暁君が要らないと言ったものを貰ってたからだ。


 ちなみに何故3号家屋って名前なのかは知らない。2号家屋や1号家屋があるのかと聞かれるとない。当たりと言われていた敷地面積5000平米のビルも名目上は3号家屋だった。効能としては雇っていたAIのパラメータがアップし、収入が上がると謳ってはいたが実際は分からない。暁君も私も当たらなかったからだ。


 

 バァァァァーーーーン!!


 「よーし!とりあえずここでいいかな?適度な距離は必要よね!でも、本当に助かるなぁ〜!家を出せば木や雑草が瞬時になくなるんだもんなぁ〜。これを見て義弘さんがやっぱ返せ!とか言わなければいいんだけど」


 「ほ〜う?おいが返せと言うと思ってか?」


 「え!?義弘様!?すいませんすいません!独り言のつもりでした!!!!!」


 「いや、良い。おいは細かい事は気にしない。だがこれはなんだ!?なんならおいの城より目立っているではないか!?」


 「すいません。これが私の家なのです!南蛮の城を真似して作ったのです!!」


 「作ったとな!?数刻でか!?」


 説明が大変だ。細かく言っても分からないだろうから私の技という事にした。言っても分からないだろうし。でも多分ツッコんでくるんだろうな。説明はなんて言おうか・・・・。


 「技か。技ならおいにはできないのも頷けるな」


 いや納得するんかい!!?いやいや普通聞いてくるでしょ!?


 「聞いてこられないのですか?」


 「聞いたところでである!其方の言う事は訛りが酷くて分からない事が多い!だが、あの他人を疑う事しかしなかった黒木が其方を信用しておる!おいを大きくしてくれる者とな。おいは黒木を信用しておる」


 「と、殿!?」 「まさか・・・」


 「うん?あれ?リズ?もう終わったの?」


 「終わりました。何も問題ありません。強いて言うならば少し栄養不足ですので色々食べてもらうとよいかと。島津義弘様とお見受け致します。私は如月前右府三左衛門様の家政婦型アンドロイド、リズと申します」


 「あぁぁぁぁ!!リズ!ストップ!普通に自己紹介するから!!」


 「前右府?」


 「いやぁ〜!!島津様!!憧れで言ってただけですので真に受けないでください!ははは!若気の至りですよ!!」


 「其方は朝廷の右大臣だったのか?」


 「いやいや違います!男装するに至りカッコイイかと思い自称してただけにございます!今後は気をつけますので勘弁してください!」


 これ程名前に後悔した事はない。なんなら朝廷に熱心な武将なら斬られてもしょうがない事だ。


 「そういうことか。まあ誰しも触れられたくない過去はあるからな。だが気をつけよ。薩摩には長寿院殿が居る。確か守護の畠山氏の庶流と言っていたからな」


 おぉ〜怖っ!!気をつけよう。


 「そこもとよ?名はなんと申す?」


 「はは、はい!正次郎と申します!横は妻の美琴にございます!!」


 「正次郎・・・美琴・・・おぉぉ!!!おいとしたことが!相すまぬ!先の戦にて捨て奸に志願した者だったな!?」


 「は、はい!如月様のおかげにて命は拾ってしまいましたが・・・」


 「良きかな!見事な奮戦だった!見た感じでは農民に見えるが、村はどこだ?」


 「田崎村になります。ですが如月様の元で暮らそうかと・・・」


 「おぉ!!それは良い!なんせこの広さだ!家だけでは寂しかろう。如月に、おいが今与えられる褒美がこの地しかないからな。この者にはある程度の裁量を与えようと思っておるのだ!」


 「裁量ですか!?では何をしても良いと!?」


 「どこまで許可を出すかは今宵に決めるつもりだ。だが、そなたの眼(まなこ)は偽りなしと見える。そうだな・・・この南蛮の家に招待してくれ!邪魔者は連れては来ぬ。色々おいに教えてくれ」


 正直胃が痛い。偉そうでもないし、なんなら凄く器の大きい男だと思うけど・・・呑兵衛なんだよね・・・。


 「殿!!こちらにおられましたか!?え!?なんですかこの建物は!?」


 「上井か?どうした?」


 「あっ、いえ。取り乱してしまいました。すいません。それで、薩摩より早馬が参りました。義久様が戦勝祝いに参るとの事です」


 「かぁ〜!兄者は早すぎる!まだ完璧には終わってはおらぬと言うのに・・・。いつだ?」


 「明日の夜に参るそうです」


 「チッ。分かった。如月!夕方には参る!楽しもうぞ!」


 「はい。分かりました。準備しておきます」


 ってか、あの上井って人もなによ!?一言だけで驚きは終わりなの!?もっと褒めてくれてもいいのに!!こうなれば中を見せて驚かせてやる!!運営がなんのためにそこまで凝って再現したのかは分からなかったけど、これほど運営を褒めたいと思ったのは初めてだ!


 現代の装備は一通りあるはず!テレビが映るかは分からないけど皆を驚かせてやる!!!


 「リズ!!正次郎さん達を驚かせてあげて!私の家を紹介してあげて!!」


 「(クスッ)苦労して作りましたもんね。畏まりました!」

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