暁の数々のアイテム使い放題!?

 私のドクターハウスは外観はそこまで大きく見えないと思う。高さが高いだけだ。だが、特筆すべきは見えないところだ。


 地下室がある。むしろドクターハウスは地下室こそ本領を発揮するとこだろう。ゲームではなんの役にも立たないと思っていた、ビリヤードやシアタールーム。図書室からプールまで地下室にあるのだ。


 ちなみにゲストルームは20部屋くらいあるのじゃないかな?これをリズ1人に任せていた。地上の部屋は、本館の方に晩餐室、休憩室、玉座の間、なんとなく私がカッコイイと思い取り付けた噴水がある。


 とにかく一つの部屋の間取りを大きくしているのが特徴だ。そして玉座の間の後ろに暁君の護衛アンドロイド 佐助君の部屋と倉庫がそこにある。


 ドクターハウスと名前がある通り、色々な物の修理が一手にここでできると自負している。


 「如月様!?何故家の中に森があるのでしょうか!?」


 「やっと聞いてくれましたね?そこは身体をリフレッシュするところです!」


 「え!?りふれっしゅとは!?」


 「美琴さん?その場所では考える事すら忘れるのです!考えるな!感じろ!ですよ!」


 今、正次郎さんと美琴さんを案内している場所は本館の1番端にある、外と繋がり部屋の中にまで私が植えた木や草、花を飾ってある部屋だ。本当は使う事のない部屋だったのを余らせるのはもったいないため適当にマイナスイオンルームとして作っただけだった。


 もちろん、ゲームですら意味のない部屋だ。だが今は本当に心が清らかになるような気はする。


 「リズ?本館を少し改造してくれる?2階3階の居住スペースを1階に持って来て、晩餐室と玉座の間を2階3階にしようと思う」


 「畏まりました。すぐに致します」


 このドクターハウスのいいところ・・・配置替えがすぐにできるのだ。マスター権限のある、私、リズなら玉座の間の階段上にある椅子にボタンがあり、そのボタンを押すとエディターが出てきて移動できるのだ。


 そして、1階を正次郎さん達の居住スペースにして、倉庫も3階に移動。色々なインゴットまであるから盗まれると大変だしね!まぁ、私も暁君から色々貰うつもりだけどね!!私の錬成炉では限界があるけど、それでもこの世界ではオーパーツ的な物くらい作れるよね!


 ゴォォォォォォーーーーー


 「あぁぁぁ・・・地揺れか!?」「キャッ!」


 「あぁ!2人とも落ち着いてください!今から少し部屋が変わりますので!」


 私はさっさとエディターを終えてエンターボタンを押した。私が玉座の間の最後の階段を降りたところで・・・


 ピンポーン


 「はぁーい!お二人様配置替え終わりまし・・・うん?もしもーし!?リズ!?2人固まってるよ!?」


 「(クスッ)あまりの驚きにフリーズってところですかね?さっそく、このお二人様に似合う作務衣と生活必需品を錬成炉にて作ろうと思います。材料をいただいてもよろしいですか?」


 「リズ?あなたにも権限与えたから大丈夫だと思う。暁君の倉庫分かるでしょう?」


 「3階の1番奥の部屋にしたところですよね?」


 「うん。その通り・・・その倉庫から使える資源は使って良し。暁君に会えば私が責任とるから!そもそも暁君もこのくらいじゃ怒らないと思うから」


 「いえ、さすがに怒るとは思いますが・・・構わないのですか?」


 「大丈夫!暁君とは会いたくてもすぐに会えないし、向こうは向こうで尾張でやりたいようにしてるでしょうし!ただ、絶対に出してはダメな物資は分かるわよね?」


 「ヒヒイロカネやカリホルニウム、ミスリルは無闇に出すつもりはありません。ただ・・・ヒヒイロカネとカリホルニウムとアダマント、エーテルを使って良いならば12時間あれば私がレベルの高い錬成炉を作りますが?」


 「え!?リズ!?あなた錬成炉作れるの!?」


 「ゲームでは決められた行動以外できない'身体'でしたが今は自分で考えて行動ができます。頭も冴えております。私の理論が正しければ倉庫にしまってある、美幸様のフレンド、暁様所有のパンデモニウム機構を使い作ります」


 「パンデモニウム機構ってあのパンデモニウム!?」


 「はい。常陸でのルートでは大変役に立っていましたがここは日向国・・・押し込まれる程敵は来ないでしょう」


 パンデモニウム機構とは、防衛設備を予め登録しておけば全ての管理をこのパンデモニウム機構と呼ばれる丸いボールが行ってくれる。攻撃から防衛、保守や点検まで全てをだ。確か暁君は『ログアウト時に攻められて物資を奪われるのは御免だからな!』と言って、かなり課金してたような記憶がある。


 けど、早々に弱体化され錬成炉にて弾を作るまではできなくなり予め弾も用意しておかないとそれ以上の働きはしなくなったのよね。


 「私は使わないし、暁君は居ないから大丈夫でしょう!何かあっても私が上手いこと言うから!」


 「畏まりました。2時間で作ります。そして、晩餐室にて、本日の夜食会の準備をします。島津様はお泊まり予定ですか?」


 「う〜ん。聞いてないけどさすがに泊まりはないかな?一応、泊まれる用意を。1番装備の良いゲストルームにね?あっ!後、かなりお酒好きだと思うからよろしくね?」


 「畏まりました!」


 やっぱリズも変わってる気がする。ゲームの時の本当の性格なんかは分からないが本当にしっかりした女性のように思う。


 なにかリズにプレゼントしてあげようかな。


 私はフリーズしてる正次郎さんと美琴さんを居住スペース・・・3LDKの部屋に連れて行き、ベッドに寝かせて部屋を後にした。


 

 私はリズの邪魔をしてはいけないと思い、敢えて近寄らない事にした。既存の錬成炉にて2人の作務衣・・・まぁジャージだけど。そのジャージを出して2人が目を覚ますのを待つ。下着類もとりあえず4セットは作ってあげた。


 夕方前・・・家の時計には15時30分だったがこの時間でやっと2人は目を覚ました。起きた瞬間にまた驚きまくっていたがなんとか宥めながら服の着方や下着の付け方、風呂の入り方、ご飯はどこで食べるなど当たり前の事を説明するのに時間がかかった。


 ちょうど2人に説明が終わる頃にリズも疲れた顔して一階に降りてきた。


 「あ、リズ!?終わった!?」


 「はい!出来上がりました。恐らく、暁様が持っていたレベル10の練成炉と同じかと思います」


 「レベル10!?ならなんでも作れるちゃうし、自動で有機物無機物判別し物資を吸い込んでくれるの!?」


 「はい。ですので、倉庫にあった鉄のインゴットや錫、銅、ニッケル、窒素、メタンなどある程度は機械に'食わせ'ました」


 私は耳を疑った。食わせました?食わせるって?どういう意味!?


 すると知らない女の人が降りて来た。しかも私の憎っくき敵の黒ギャルのようだ。


 「あなたが私の主様でしょうか!?」


 「え!?誰!?リズ!?どういう事!?」


 「はぁ〜・・・私は正次郎様と美琴様の相手をしますので本人からお聞きください。では失礼します」


 そういうとリズは部屋から出ていった。いやいや本当に誰なのよ!?

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