岐阜城 城下 大宮町4軒目
いったいこの二人はどうなってるのよ!?
「よぉ〜し!美幸ちゃん!次は丼屋さんに入ろう!!てる嬢!まだ食べれるよな!?」
「はい!食べれます!!」
てるちゃんもそんな小さな体のどこに入ってるの!?ってくらい食べてるんだけど!?もう4軒目だよ!?ラーメン屋から始まり、カレー屋、鰻屋そしてこの丼屋・・・私はもう無理・・・
「いらっしゃぁぁい!まぁ!?可愛いお客さんだね?」
私達は来るところ間違えたのだろうか・・・時刻は20時手前なのに普通にお客さんが多い。しかも皆、男の人達ばかりでガタイのいい人ばかり・・・
「邪魔するよ!!女店主!!1番人気を三つ!大盛りで頼む!!!」
「はいよ!!!」
「ちょ!リディア!?私そんなに食べられないよ!?」
「なんだ!?美幸ちゃんはもう食べられないの?だからそんな細いんだわさ!もっとわっちみたいに食べないとお尻が小さいままだよ?美幸ちゃんが残してもわっちが食べるから安心していいよ!」
いやあなたは蜘蛛だからお尻大きいんでしょ!?
「見掛けない子達だな?まぁワシの弟子達ばかりでむさ苦しいとは思うが堪えてくれ!」
「え、あ、はい!大丈夫です!」
私は少し火薬の臭いがする事に気付いた。
ゴホッ ゴホッ
「おぅ。嬢ちゃん?すまねーな。これでも石鹸で洗ってきたが臭かったか?許せ」
「だ、だ、大丈夫です!」
「あんたの娘か?」
「え?あ、いや違います!少し面倒見ているだけです!」
「・・・そうか。つまらない事を聞いた。俺は国友善兵衛。ここは俺に払わせてくれ」
バンッッッ
「国友善兵衛!?あなたが!?」
「おっ、おぅ・・・なんでぃ!?俺を知ってるのか!?」
「あ、いえすいません・・・高名な鍛治師と・・・」
「ぎゃははは!親分!やったではないですか!女子にまで名前が売れてるようですよ!」
「黙れ!茶化すんじゃねぇ〜!!!」
「俺を知っているとは銃砲店で俺の作品でも買ってくれたのか?」
「そういうわけではありませんが名前はお聞きしました」
「そうか。護身用に一つ持っていてもおかしくないからな。安くはねぇ〜が大橋様の家の横に工房を構えている。暇があれば寄ってくれ!一つ見繕ってやる!おーい!女将!勘定頼む!この女性3人組も俺が払う!」
「よっ!親分!太っ腹!!」
「しゃらくせー!!黙りやがれ!!馬鹿たれどもが!!」
「あっ、国友さん!?」
私が名前を呼んでも振り向きもせず男の人達は一斉に居なくなった。
「ははは!面白い男だったね!明日工房に見に行こう!」
「もうリディアまで!」
「はいはーい!お待ちどうさん!!尾張牛の牛丼だよ!大盛りにしておいたからね!!」
「わぁ〜!美味しそう!!」
「嬢ちゃん?美味しそうじゃなく美味しいのよ!たんとお食べ!」
クッ・・・お腹はいっぱいだけど何故か食べれてしまう不思議な牛丼だ・・・。こんなグルメが揃っているなら確実に太ってしまいそうだ・・・。
それから更におでんを食べて宿に戻る事にした。そして、宿の風呂・・・完璧と言わざるを得ない。
石作りかと思いきや、檜木の浴槽!?それにヨモギ草も湯船にネットに入れて浮かべているせいか凄くいい匂いがする。備え付けのシャンプーやトリートメント、石鹸、ボディーソープまである。至れり尽くせりとはまさにこの事だと思う。
「てるちゃん!かなり汚れてるね!もう一回シャンプーしよっか!」
「すすすいません!こんな湯浴みは初めてです」
まぁそうだろうね。朝倉にこんな施設があるなら他の店も色々あるはずだろう。けど越前は普通だった。むしろ遅れているとすら思う。
お婆ちゃん残して来たのだよね。連れて来てあげてもよかったけど。
「よぉーし!洗えたよ!浸かろう!!」
バサァーーーーーン
「おぉぉぉ!!!気持ちいい!!!最高!!!」
「リディア!はしゃぎすぎよ!」
「だって気持ちいいから仕方ないじゃん!!美幸ちゃん!隠岐にもこれ作ってよ〜!!」
「ふふふ。そうだね!帰れば作ろうか!暁君もやりたい放題してるみたいだし私達も負けていられないよ!こんな事なら信忠さんと話してる時、海産物だけじゃなくエーテルとかエリクサーを交渉に出せばよかったかもしれないね」
「う〜ん。確かに暁様ってのは希少鉱物や希少植物も平気で育ててそうではあるね」
「まっ、明日セバスチャンの元に行こう!私の事覚えててくれればいいけど・・・」
「あら?な〜に?善兵衛ちゃん?」
「いやな?今いつもの丼を食いに弟子達と行ってたんだが俺の事を知ってる女が居てな?」
「やだわ?女自慢?私、男にしか興味ないのよ?」
「いやちげぇ〜!そういう意味じゃなくてその女は南蛮のような格好している女だったんだ!まぁ、俺を知ってるのは男っぽい女だが・・・」
「それで、あーしにどうしろと?」
「いやいや、多分数日ここいらに居るようだから工房を教えた。もし間違えて女3人組がセバスチャン様の工房に来れば俺の方に案内してくれないかと思ってな?」
「そういうことね!分かったわよ?あーしは刃物しか作らないようにしたから鉄砲は善兵衛ちゃんの部門だもんね」
「いや、セバスチャン様に鉄砲まで作られちゃあ敵わないからな」
「ふふふ。あーしなんか抜いていい物作れるのはあなたしか居ないと思うわよ?」
キュイン
「ふっ・・・うぐっ・・・・セバスチャン様・・・片目閉じは心臓に悪い・・・」
「あら?皆そうやって言って・・・本当はあーしのウィンクが嬉しいんでしょ?黒川きゅんも居ないし・・・寂しいのよ・・・ね?善兵衛ちゃん?」
「か、勘弁してください!」
「信忠様?某の思い過ごしだったようです。たった1日で結論つけるのは良くないですが普通に城下を楽しんでいるようでした」
「うん?誰を探っていたのですか?」
「例の隠岐から来られた女3人です」
「あぁ〜、あの方達ですか。父上も捨ておけと言っていたのでもういいですよ。あっ、まさか河尻殿の好みの女性だったとかですか!?」
「へ!?いやいやまさかそんな事ございません!」
「そうですか。いや失礼。小雪殿にも言われたでしょう?『河尻様はムスっとしているから表情で損している。時に口を開けて笑いなさい』って」
「あ、はい・・・言われました。大殿からもたまに言われます。『不機嫌なのか?』と・・・」
「たまに仕事から外れ休んでみてはいかがですか?父上も暫くは停滞すると言っていましたよ」
「いやそういうわけには部下に示しがつきませぬ」
「大橋殿の言葉を借りれば『上司が休まないと下の者はもっと休めない』って言ってましたよ?」
「・・・・分かりました。明日は休ませていただきます」
「分かりました。明日は私が案内所を補佐します」
「くぁ〜〜〜!!よく寝た!!」
「スーッ スーッ」
「グガァァァー」
「てるちゃんはいいとして・・・リディアは男の人みたいなイビキね。まっ、もう少し寝かせてあげよっか。私は・・・朝風呂に行こう!!」
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