2人の再会

 「如月!!」

 

 「暁君・・・それに・・小雪ちゃん!?」


 「お久しぶりです。如月様!」


 

 私が高級?ホテルに泊まっていると、早朝に暁君と小雪ちゃんがホテルにやって来た。私はリディアと朝食の柔らかいバターパンを食べようとしていた時の事だ。


 「大橋殿。お帰りなさいませ」


 「おっ!六角さん!頑張ってますね!」


 「いやはやこの歳になって、何もかも無くなり一歩踏み出すまで時間が掛かりましたがいざ踏み出すと意外に慣れるもんですな!」


 「ははは!まぁ好きな事するのがいいですよ!」


 何も変わらない暁君。小雪ちゃん。本当に久しぶりだ。


 「六角さん!俺にもパンお願いします!いや〜、それにしても如月、久しぶりだな!ってか、本当にいざこうやって見ると女っぽいな?」


 「ぽいじゃなくて、本当に女なの!!本名は美幸!暁君の本名は?」


 「美幸って言うのか!ならこれから名前で呼ぶぞ?オレはこれが本名なんだ」


 「嘘!?てっきりゲーム名かと思ったよ!」


 「いや、本当なんだ。だから今までと同じで構わないぞ!」


 それから、色々話をした。私が来た時の事、日向に落ちた事、木崎原での事、薩摩を飛び出した事、隠岐島での事、そして・・・


 「なに!?屋久島の杉の木の化身だと!?それにその横の蜘蛛が・・・いや、悪い。横の女がアラクネだと!?」


 「そうだよん♪わっちがアラクネのリディアだよん♪特別に1着ずつ仕立ててあげよっか?」


 ピシュンピシュンピシュンピシュンピシュンピシュンピシュンピシュンピシュン


 「見えないところから糸が・・・まさか・・・」


 「はーい♪できたよん!少し大きめに作った和装だよん♪」


 「暁様!本物のようです!この素材・・・間違いなく・・・」


 「さすが!小雪ちゃんって名前だったよね?護衛ロボット・・・いや、今は人間の女かな?素材は粉末にしたミスリルを生地に入れてるから早々にやられる事はないと思うよ!」


 「嘘だろ!?セバスチャンと俺、小雪がどうやってミスリルを作るかと考えていたのをいとも簡単に・・・」


 「暁君?私思うの。今はここが現実のようだけど、やはりゲームの中。リディアや彦太郎が居るように時々ゲームのようなイベント的な事が起こると思うの」


 「うん?彦太郎?」


 「ごめんごめん。屋久島 龍神杉の化身の彦太郎よ。仲間になってくれたの。まぁ、それは今度紹介するとして、絶対とは言い切れないと思うけど、他にも居ると思うの」


 「いや待ってくれよ!?そんな屋久島のイベントなんかあったか!?龍神杉と言えばボスだろ!?」


 「そう!そこよ!戦うのが普通だったでしょ?私は戦わなかったの。そしたら仲間になったの」


 「そうだったのか・・・確かに戦わなかった事はなかったから知らないイベントだったのかも・・・いや、そんな事より金ヶ崎を・・・敦賀を攻めるんだって?」


 「うん。暁君の殿は佐渡を使えと言ってくれたけど遠いじゃん?列車も走らせてないんだからまずは近場に拠点が欲しいからね。悪いけど敦賀は使わせてもらうよ」


 「そうか。ならオレも手伝おうか。小雪?佐助と喜助、望月さん達に知らせーー」


 「暁君?これは私達だけでするよ!織田信長にもそう言われたの。織田は手伝わない。お前のお手並み拝見しようってね」


 明らかにあの時は挑戦的な目だった。私を見定めているかのような・・・。


 私は私のやりたいようにする。私の力をあの人に見せる。そして、一目も二目も置かせてみせる!


 「マジか・・・大丈夫・・・だな。まぁあまりやりすぎないようにな?一応、何かあればすぐに動けるようにしておくから連絡しろよ?」


 「オッケー!それでなんだけど、ドクターハウス覚えてる?」


 「うん?美幸の家だろう?」


 「そう。そう。あそこの地下室の色々倉庫にしてあるところの物なんだけど使わせてもらってるけど大丈夫だよね?」


 「いやそれくらい気にしてないというか忘れていたくらいだけどそんな大した物なかったろ?」


 「変なアイテムがいっぱいあったけど、素材に使わせてもらったりしてるよ!その中にソ連の潜水艦が入ってるの覚えてる?ウィスキー型の龍神イベントの時のやつ!青色に塗装され龍のオブジェクトがあるやつ!」


 「あぁ〜!あれか!懐かしいな!まったくもって使えなかったゴミだろ?あんなのも入ってたんだ」


 「またそうやってゴミゴミ言って・・・まぁあれ使うよ!」


 「まぁ何に使うかは知らないけどなんでも使っていいぞ!とりあえず今日は俺の家に泊まってくれ!なっ!色々岐阜のみんなに紹介するぞ!」



 「それにしても・・・リディアでしたっけ?あなたよく食べるのね?」


 「そりゃもちろん!美味しい物いっぱい食べてお腹の中に思い出として残しておくの♪」


 「そ、そう・・・まぁこれからもよろしくね?」


 「アイアイサー!あっ!小雪ちゃんのそれ!食べないならちょうだい!」


 「え!?まぁいいけど・・・」


 「ふふふ!ありがとっ!!美味ちぃ〜!!」




 「権蔵さん!俺の親友の美幸だぜ!美幸?この権蔵さんは酒造りのスペシャリストだ!」


 

 「皐月さん!久しぶり!かなり人気なんだって?」


 「まぁ!?大橋様ったら!今度我が桃源郷にお越しください!こんにちわ?美幸様!」


 「こ、こんにちわ!暁君・・・ここって・・・」


 「お武家様はこんな穢れたところは嫌ですか?そう。ここは春町ですよ?あちきのような女郎を大橋様が面倒見てくれてるのですよ」


 「美幸?勘違いしないでくれよ?これも歴とした仕事だよ」


 別に差別意識はない。むしろ尊敬するくらいだけどこんなところ私に紹介しなくてもいいと思うけど・・・。


 「ここは、岐阜の町・・・その中でも少し外と隔絶してあるところだ。セバスチャンに聞いたけど、隠岐の人を表に出したいんだろう?暫くここに住まわせるといい」


 暁君が言ったのは、ここは仕事こそ風俗関係や怪しい飲み屋だがちゃんと許可された人、店しかないらしく差別もなく、その上仕事も多い。男は酒を運んだり、道案内したり、ボーイ的な事をしたり・・・


 女は女で女郎となったり、掃除婦となったり、肉体関係はなくただお酌するだけの仕事など色々、幅があるらしい。


 そして、ここで外の世界を学び、字を習い、生活していいと言ってくれた。


 「ここは俺が作った場所と言ってもいいところなんだ。だから給料も他のところと比べて多い。むしろ、織田領土の仕事の中で1番良いと言ってもいいくらいだ」


 「そうなんだ。けど、そこまで面倒見てくれるの?」


 「あぁ。俺は如月が・・・美幸がこの世界に来てくれて嬉しい。これから一緒に頑張ろうぜ!」


 「ありがとう!なら明日さっそく隠岐に帰って選抜して人を連れてくるよ!」


 

 隠岐の人達で、外に出たい人を連れて・・・みんな喜んでくれればいいな。とにもかくにも、私はちゃっちゃっと金ヶ崎を落としてルートを見つけないといけないな!

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