皆の奮戦。島民の意識改革

 「美幸様!これを見てください!」


 「美幸様!こんな感じでいかがですか!?」


 「美幸様!」「美幸様!」「美幸様!」



 こんな感じで毎日毎日私は至る所に呼ばれる。真白や艶、リズ、リンさん、彦太郎も入れて各方面に各々が領民達に色々技術を教えている。


 真白率いるリンさん含め、元倭寇の人達・・・主に漁業を教えてもらっている。真白が錬成炉で作った船に乗り、近場では海苔の養殖をしたり、鮑やサザエを獲ったり、私が出した漁船・・・ゲームではハズレだった船なんかは操船方法を教えて、領民と一緒に少し沖合に出てトビウオや白イカなんかを獲ってきてもらっている。


 次に林業の方は彦太郎にほぼほぼお任せしている。主に男性の仕事だが、木を切り皮を剥いたりとハーベスタがかなり活躍している。


 切り拓いた場所は艶が場所によりけりだが、アスファルトを敷き平らな道を作ったり、砕石を敷き詰めて耐久性をあげたマカダム舗装を作ったりとここだけ20世紀ですか!?というような作りになっている。


 そして、その切った木なんかは彦太郎は杉の化身からか加工なんかも上手で机やテーブル、ベッドなんかも作ってくれたりしている。


 それら作った物、獲った物、私が作った畑で倍速肥料を使いこの土地の土と水で作った、トマトや白菜、イモ類やイチゴ、とうもろこし他にも色々あるがこれらを南の知夫里島や中ノ島、本島の方に出荷してる感じだ。


 もっと貨幣制度を取り入れたいが、暁君がどの貨幣を採用しているか分からないので勝手に自分達で作るのもどうかな?と思うのでとりあえずは当たり障りのない明銭をみんな持っているのでそれで対応している。


 正直私はお金は欲していないけど、中には無償で貰うのが申し訳ないという人も居るからくれる人からは貰うようにしている。


 この島の人達は余裕なんかあるわけないないはずだが、みんな人柄が優しいのだ。


 助け合わなくては生きていけないこの時代・・・私は勝手に島に来た外部の人間だが島民の人達は私が来た事で格段に生活のレベルが上がっている。まず飢える事はなくなった。


 次は真白による学校や病院なんかも作っている。ちなみに、島民の深芳野さんって女性と吉乃さんって女性が真白の側仕えのような事をしている。


 真白は口こそ悪いがやる事は無駄がなくこの時代の人にも分かりやすく色々教えている。特に男性からの支持も高い。


 一方私の方は・・・


 「美幸様?そろそろこの島を一つにされてはいかがですか?」


 「いや一つに纏めるって言っても・・・前に似た事を由良姫神社の上人にも言われたし、橋乃里や高田に居るお坊さんにも言われたけど・・・」


 「俺はこの島で生まれてずっと細々と生きてきましたが毎日がこんなに楽しくなるのは初めての事です!美幸様は本当に神のようなお方ですよ」


 「そんなお世辞でも四郎君に言われると嬉しいよ!けど、私はいつかやらなくちゃいけない事があるの。それまでに島を一つに纏められればいいかな?とは思っている」


 「やらなくてはいけないことですか?」


 「うん。今はまず第一に島の発展を目指している。食べ物を余剰に作れるくらいにし、最低限の四則演算、読み書きくらいはみんなできるようにね?」


 「確かに・・・真白先生は厳しいですが俺も徐々に足し算はできるようになりました!けど余剰するくらい作っても腐らせてしまうだけではないですか?」


 「そっか!よかったね!食べ物を作り余裕ができると本土の人達に売れると思わない?この島は元は流罪で流れて来た人が多いと聞いているけど島の外に出たいと思わない?」


 「それは・・・何回も考えてはいました。ですが・・・」


 「私は島民の人が好きに生活できるようにしたいの。まだまだそれは程遠い事だけど後、1年・・・1年後には本土に色々な物を売ったり、隠岐島ここにあり!と思わせれるようにしたいと思ってるんだよ」


 「そうだったのですね!俺ももっともっと頑張ります!!」


 こう意気込んでいる四郎君はこの島で生まれ育った16歳の快活な男の子だ。なんでも新しい事に、挑戦し私を慕ってくれ色々学ぼうとしてくれている子だ。


 「美幸様?今日の夜ご飯はなににしましょうか?」


 「リズ!今日は海産物を使った何かが食べたい!」


 「(クスッ)畏まりました!」


 私的には技術発展途上中の今が1番楽しいかもと思う。違う島の人達とも仲が悪くもならず、むしろ結束感すらある感じだ。


 確か本土の中国地方は今は毛利がイケイケなはず。尼子は確か毛利の下に名目上は居るはずだけど尼子家臣の山中幸盛や立原久綱らが尼子一族の尼子勝久を擁立して、織田信長の援助を受けながら各地で抵抗して尼子家を再興しようと頑張るんだったかな?


 けど、どうなろうが暁君の居る織田軍の手が中国地方まで伸びてくるだろうな・・・。そろそろ会ってみようか?暁君に・・・。

 



 〜岐阜城 信長私室〜


 「ほう?九州に面白き者が居るとな?」


 「はい。なんでも10人足らずで5000人の敵を足止めしたと配下の者から聞きました」


 「噂とは尾ヒレが付いて流布していくものだ。だが人数差の比率がおかしい。ワシの桶狭間でも大概だったがその話は常軌を逸している」


 「はい。ですので小雪と佐助、喜助と色々話し合った結果、誰か短期で九州に派遣しようかと思っております」


 「大橋は島津何某とやらに傾倒しておったな?」


 「えぇ。まぁ・・・仲間になってくれればいいかな?と思ってる程度ですが・・・」


 「その島津何某と友好関係を築くとして利はあるのか?」


 「確か薩摩は米の栽培に適した地が少なく主食に困っていると覚えがあります。ですが、南蛮や明の船がよく来航する地ですので早くから肉食を解禁していたとの覚えもありますのでーー」


 「肉かッッ!!!もちろんそれは牛の肉よのう?」


 最近では滅法牛肉の虜になっているな。焼き肉なんか覚えさせるべきではなかったか!?


 「詳しくは分かりませんが美濃ほど畜産は進んでないかと思いますが、美濃や岐阜の次に日の本で畜産が行われていると思います!」


 「ふん。余剰の米や野菜、果物があるであろう?遠藤に言っておく。手土産に持っていけ。深入りはするな。うん?そもそも大橋は何故その者が気になる?ちと距離が離れておるから頭の片隅に留め置くだけでもよいのではないか?」


 「いえ。配下の者と話し合ったところもしかすると旧友の線もありまして・・・」


 「ほう?お主の旧友か?どんなやつだ?」


 「名前は・・・あれですが・・・オレと同じ技や物をそれなりに持っています。戦術はオレより詳しいかと思います。後、内政も上手ですね」


 「戦はワシや小雪、佐助やらが居るから構わん。内政か・・・。例えばどんな感じの者だ?」


 「ほとんど税の見込みのない100人規模の村があるとします。1年その知り合いに任せると1万人規模の税収を見込めるようになると言えば分かりますかね?」


 「なんだと!?どんな手を使うのだ!?」


 いやあまり覚えてないけど如月は確か、浪費するNPCとかすぐに、放逐したりしてたよな!?いやそれだけじゃないけどなんで如月の治めるところは税収が良かったんだ!?分からん!


 「すいません・・・分かりません・・・」


 「欲しいな・・・これからは戦の上手い者ではなく国作りの上手い者が重要となる。武官と文官が逆転致す。そこで両者に軋轢が生まれるな・・・」


 確かにそうだけど、確か如月は文官には官位を渡し、武官には土地を治めさせたりして上手く両立させてたような・・・思い出せん!ってか如月の確率の方が低いのに何故か期待している自分が居る・・・。


 「とりあえず、誰か派遣させてもよろしいですか?」


 「うむ。そう致せ。時に安土に城を建てる件だが日の本随一の・・・」




 〜隠岐島 如月三左衛門美幸邸〜


 「みんな揃ったね!」


 「どうした?」


 「まぁ簡単に言うとね・・・真白は知らないと思うけどこの世界に1人知り合いが居るの。大橋暁君って人。今美濃とか尾張とかに居ると思うんだけど会いに行こうかなってね」


 「ほうほう。男だね!?」


 「真白は何を期待してるか分からないけどそんなんじゃないからね?リズは知ってると思うけど」


 「はい。懐かしいですね。けどこのメンバーで行けば織田家はーー」


 「私だけで行こうかなって思ってるの。みんなは引き続き島の発展をしてほしい」


 「美幸様!?それはいけませんですわ!私が護衛にーー」


 「艶?あなたは名目上は防衛隊の隊長だよ?そのあなたが私に着いてくるのは御法度!それと彦太郎もだめだからね?彦太郎は建築班の要なんだから彦太郎も引き続き中ノ島や知夫里なんかにも建築技術を教えるように!」


 「賛成できませんね。道中何かあればどうされるのですか?」


 「大丈夫。1人だけ連れて行くから」


 「「「「誰を!?」」」」


 「リディアよ!」

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