5階層

授業が終わると、俺はすぐにダンジョンへ向かった。

ダンジョン入口付近にある道具貸出所でいつものように魔法のリュックを借り、入口にある魔法陣に乗り5階層のセーフエリアへ転移した。

周囲を見渡すと、以前と同じように2人の教師が待機していた。彼らはすぐに俺に気づき、眼鏡の教師が軽く微笑んで声をかけてきた。


「今日から探索かい?」


「はい」


「うんうん、5階層からは広くなるからキツくなったらすぐ戻ってくるんだよ。それとダンジョンマップを自動マッピングモードにしておくのを忘れずに」


「分かりました」

  

俺は軽く頷き、セーフエリアを後にした。自動マッピングモードのこと完全に頭から抜けていた。ダンジョンマップを開き、自動マッピングモードにする。これで俺が歩いてきたとこが線が引かれていき、今まで行ったところが分かるようになる。


セーフエリアを出て洞窟のような通路を抜けると、目の前に広がっていたのは、床や壁が石で出来た遺跡系のエリアだった。石造りの遺跡はどこか不気味で、かすかに冷たい空気が漂っている。

しかし壁に謎の照明があったり、普通に歩きやすかったりと意外と親切だ。


俺は浮遊を発動させ、地面から浮き上がった。そしてスケルトンを2体召喚し、彼らに「着いてこい」と命令をする。

スケルトンたちはカタカタと顎を鳴らしながら、俺の後ろを静かに追いかけてくる。

そして忘れずに火吹きを使い、スキルレベルを上げていく。


「そういえばスケルトンを2体召喚しても、前ほど疲れなくなったな。レベルアップの恩恵はやっぱ大きいな」


そんなことを言いながらしばらく進んでいると、目の前の曲がり角から剣を持った鎧が歩いてきた。


「リビングアーマー…だったっけ?」


その鎧は、生きているかのように動き、俺を見つけると剣を構えてこちらに向かってきた。


「迎え撃て」


俺はスケルトンたちに命令し、リビングアーマーに立ち向かわせた。スケルトンたちはすぐに動き出し、剣を振りかざしてリビングアーマーに攻撃を仕掛けた。だがリビングアーマーは重厚な鎧で守られており、スケルトンの攻撃はあまり効果を与えていないようだった。


「スケルトンこういう系に弱いな、武器が剣だから仕方ないが」


スケルトンたちが奮闘しているが、リビングアーマーはスケルトンたちをじりじりと追い詰めている。

俺は氷の玉を生み出し、リビングアーマーに向けて放った。氷の玉はリビングアーマーに直撃し、その勢いで鎧がバラバラになる。


「やったか?」


次の瞬間、バラバラになった鎧が光り始め、再び元の形に戻り、何事もなかったかのように再びスケルトンたちと戦い始めた。


「再生か」


俺は驚きながらも氷の玉を生成し、もう一度リビングアーマーに放った。再び直撃すると、リビングアーマーはまたしてもバラバラになった。しかし今回は光の粒子に包まれ、完全に消滅した。


「2回バラバラにしたら倒せる…?」


俺は首をかしげながら、その場に立ち尽くした。リビングアーマーが倒れた理由がよく分からない。


「まあ、倒せたならいいか」


そう自分に言い聞かせ、俺は再び歩き出した。


しばらく進んでいると、行き止まりが見えてきた。どうやら別の道が正解だったみたいだ。

だが、壁際には古びた宝箱がぽつんと置かれている。


「罠じゃなければいいけど」


俺は慎重に足を止め、宝箱をじっと見つめた。宝箱に罠が仕掛けられていることは珍しくない。

どうしたものかと考え、スケルトンに開けさせることにした。


「宝箱を開けろ」


俺はスケルトンに命令し、少し離れた場所に移動して様子を伺った。スケルトンはカタカタと顎を鳴らしながら宝箱の前に進んでいく。そしてゆっくりと蓋を開けると、ギシギシと音を立てながら、宝箱がカンゼンに開ききった


「大丈夫そうだな」


特に異常は起こらなかったようだ。俺は宝箱に近付く、すると足元に魔法陣が現れた。


「なんで!?」


気づいた時には既に遅かった。足元の魔法陣が光りだし、反射的に後退しようとしたが、その光は瞬く間に俺を包み込んだ。

意識が一瞬で歪み、周囲の景色が一瞬で変わる

周囲を見渡すと、広大な空間に出たことに気づく。石の壁が高くそびえ、天井は見えないほど高い。何よりも目を引いたのは、周囲にいる無数の魔物たちだった。


「ふむ、さすがに終わったか?」

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