偽物
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リビングアーマーを倒してから、迷路のような遺跡を進んでいた。
しばらく何も見つけられないまま進んでいたが、運よくボス部屋を見つけることができた。
遺跡エリアのボス部屋は入ると入口が閉ざされ、ボスが召喚され戦うことになる。逃げることができないからわりと危険ではあるが、まぁいけるだろう。
「ここ強いやつ出るから気合い入れて行くぞ」
「おう!」
ボス部屋に足を踏み入れると、来た道に壁が降りてきて退路が無くなった。そして部屋の中央に魔法陣が現れる。
「来るぞ…」
部屋の中心に現れたのは、ゴブリンぐらいの体格で翼と角を生やし、黒い肌を持ったレッサーデーモンだ。目がぎょろりとこちらを見据え、醜悪な顔に笑みを浮かべている。
「お、レッサーデーモンじゃん」
「おい太陽!俺をあれと勘違いしてたのか!?」
「だってちょっと似てるじゃん」
「似てないぞ!絶対に似てない!」
ザベルがプンスカ怒りながら言ってくる、顔以外わりと似てると思うんだけどなぁ。
そんなことを話していると、レッサーデーモンが動き出した。
「ウキャキャ!!」
レッサーデーモンは高笑いしながら俺に向かって炎の玉を放ってきた。
俺はそれを避け、すぐにスケルトンたちに「殺せ」と命令を出す。
スケルトンたちはレッサーデーモンに向かって走り出すが、レッサーデーモンは笑いながら羽を広げ、ふわりと宙に舞い上がった。空中から次々と炎の玉を放ってくる。スケルトンじゃ触れないな。
「すーごい魔法使ってくるな!」
次々と降り注ぐ炎の玉をかわしつつ、反撃で氷のトゲを放った。しかし空を自由に飛び回るレッサーデーモンはすぐにそれを避けてしまうが、すぐにザベルが炎の玉を放ち、見事にレッサーデーモンに直撃させた。
「おい、偽物のくせに調子乗ってんじゃねーぞ!」
ザベルが怒りながら次々と炎の玉を放つ。一応本物だろ、あいつも。
「ウキャキャー!!」
レッサーデーモンも直撃させられたからか、怒りながら応戦し、ザベルと激しい撃ち合いが始まった。
ザベルに夢中になっているレッサーデーモンに、俺は一気に間合いを詰め、空中にいるレッサーデーモンに跳びかかった。
羽ばたきながら炎の玉を放つ悪魔に接近し、俺はそのまま黒剣を振り下ろし、レッサーデーモンの体を斬り裂く。
レッサーデーモンは悲鳴を上げながら地面に落ち、そのまま光の粒子に包まれて消えた。
「やるなー!太陽!」
「まぁザベルが気を引いてたからな、やりやすかったよ」
パチパチと手を叩きながら言うザベルに、俺は少し笑いながら答える。すると部屋の中央にまた魔法陣が出現し、そこから宝箱が出てきた。
「宝箱だ!財宝か!?」
「何が入ってるかね〜」
俺は宝箱の方に行き、開けると中にはスキルオーブが入っていた。
「お、久々に見たな」
「なんだこれ?」
ザベルが不思議そうにスキルオーブを見る。
「これはスキルオーブってやつだ。握って壊すと新しい魔法とか特殊な技とか、色々使えるようになる」
「へぇ、そりゃすごいな!」
ザベルが目を輝かせてスキルオーブを見つめる。
スキルオーブを手に持つとスキルの内容が頭に流れ込んでくる。
どうやらこのスキルオーブは、自分の手を鬼の手に変化させて強力な攻撃を繰り出せるスキルのようだ。
「手を鬼の手に変えて攻撃できるスキルだってよ」
「おお!なんか凄そうだな!」
俺はスキルオーブを手の中で転がしながら、少し考える。ザベルに使わせてみるのも面白いかもしれないな。使えればザベルは近接も対応できるようになるし。
「これ、ザベルが使うか?」
「え、俺スキルオーブ使えるのか?」
「分かんないけど、まぁ試してみてもいいんじゃないか?もし使えなくても、一つぐらい無くなったって問題ないし。これからも手に入るだろうしな」
そう言って、スキルオーブをザベルに渡した。
ザベルは恐る恐るスキルオーブを握りしめると、パリンと音を立てて割れ、破片が光に変わり、ザベルの体へと吸収されていく。
「おお!鬼の手、使えるようになったぞ!」
その言葉と同時に、ザベルの両手が赤黒く変化し、ゴツゴツとした鬼の手になった。
「次の戦闘で試してみようぜ」
「ああ!楽しみだな!」
ザベルは鬼の手を握りしめながら嬉しそうに笑った。小柄なザベルにゴツゴツとした赤黒い手が生えていて違和感は物凄いが、そこそこ当たりスキルのような気がするな。
しばらくザベルの手を眺めていたが、少し時間が経つとその手は元の姿に戻った。さすがに時間制限があるみたいだ。
すると、部屋の壁の一部が動き出した。
ギギギ…と重々しい音を立てながら、次の階層へと続く階段が現れる。
「そんじゃ行くぞ、ザベル」
「おー!!」
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