ソード
ボブゴブリンを倒し、階段を降りて次の階層へ向かうと、再びセーフエリアにたどり着いた。
「この辺でやめとくかな、どうせいつでも来れるんだし」
俺はセーフエリアの中央にある魔法陣の上に乗った。
光が包み込み、気づけば再びダンジョンの入口に立っていた。
学園内の地図を開き、魔石をDポイントに変えるためにドロップ買取所へ向かうことにした。
買取所は学園内の商業エリアにあった。中には探索者たちが次々とアイテムを持ち込んでいる。俺もカウンターへ向かい、手に入れた魔石を差し出した。
「魔石の買い取りお願いします」
店員は笑顔で対応し、丁寧に魔石の価値を査定してくれた。探索者カードにDポイントが加算されたことを確認し、俺は買取所を後にした。
そして空になったリュックとマチェットを返しに行った。
「次はどうすっかな、そういやまだちゃんと学園内探索してないか………いや、めんどくせ。帰ろう」
翌朝、神崎先生の授業が始まった。教室に集まった俺たちは、迷宮学園の基本的なルールや、探索者としての心得について学んでいた。
授業が一通り終わった後、俺は先生に質問してみることにした。
「先生、軽量武器って具体的にはどれを指すんでしょうか?」
俺のジョブ「道化師」は、軽量武器に補正がかかるという特性があるが、いまいちどの武器がそれに該当するのかがわからなかった。
サユリ先生は少し考える素振りを見せてから、答えてくれた。
「軽量武器とは、簡単に言えば重量武器以外のものですかね。大剣やハンマー、大型斧のような重たい武器以外は基本的に軽量武器に分類される。
まぁ重量武器以外のものを手に持って確かめるのが一番手っ取り早いでしょう」
「なるほど…ありがとうございます」
授業が終わった後、俺はすぐにダンジョンの入口付近にある道具貸出所へ向かった。
中に入らせてもらい、ずらりと並べられた武器を見ながら、どれを選ぶべきか考える。
ふと目に留まったのは、刀身が細く長い両刃の剣だった。ブロードソードって言うんだったかな。
大きすぎず、重量もそれほど重くない。手に取るとしっかり手に馴染む感覚があった。
今日のとこはこれを試してみよう。
「これ、借ります」
俺はその剣と、魔法のリュックを再び借りることにした。
ダンジョンの入口に行くと、昨日と同じ魔法陣が目の前に広がっている。俺は迷わずその上に立ち、半透明のウィンドウが表示されるのを待った。
ウィンドウには、昨日到達した2階層がしっかりと表示されている。
「2階層」の部分をタップすると、目の前がふわりと揺れ、一瞬にして再びダンジョンの内部へと転送された。
周囲を見回すと、見覚えのある洞窟が広がっている。
「さて、行くか」
2階層も洞窟を抜けると、昨日と同じように草原が広がっていた。
風が柔らかく吹き、草がそよそよと揺れている。その景色に一瞬見とれたが、俺はすぐに気を引き締めた。
少し歩き出すと、前方に小さな影が見えた。目を凝らして見ると、ゴブリンが三匹、こちらに背を向けて何かを探している様子だった。
ゴブリンたちはまだ俺に気づいていない。チャンスだ。
「数が多いな、とりあえず減らすか」
俺は手を前に差し出し、魔力を集中させた。冷たい力が指先に集まり、氷のトゲを生み出す。
俺はしっかりと狙いを定め、手前にいるゴブリンに向かって氷のトゲを放った。
シュッと鋭い音を立て、トゲが空を切り裂く。そして、そのままゴブリンの背中に突き刺さった。
「おぉ、当たるもんだ」
ゴブリンは悲鳴を上げる間もなく、その場に崩れ落ち、光の粒子に包まれて消えていった。
残った二匹のゴブリンはその様子を見て、こちらに気づいた。怒りに満ちた表情を浮かべ、棍棒を振り上げて猛然とこちらに突進してくる。
俺はすぐにもう一度魔法を使うべく、再び手をかざした。
また同じように氷のトゲを生み出し、次のゴブリンに向かって放った。
今度は腹部に深々と突き刺さり、ゴブリンは苦しげに呻きながらその場に倒れ込んだ。数秒後には光の粒子に変わり、消えていく。
最後のゴブリンは距離を詰め、目の前まで迫ってきていた。魔法を使うには間合いが近すぎるため剣を使う。
ゴブリンが棍棒を振り下ろすよりも先に剣を振り抜く、刃がゴブリンの腹を深く切り裂いた。
ゴブリンは一瞬驚いたような表情を浮かべたが、やがて力なく倒れ込んだ。
「ふぅ…なんとかなったな」
魔法の威力も十分で素晴らしく、剣のリーチが長いからマチェットよりも断然戦いやすい。
てかなんでマチェットにしたんだろうな俺。
「さて、魔石拾うか」
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