ゴーレム
セーフエリアの洞窟を抜けると、目の前に広がっていたのは、荒れ果てた大地、荒野だった。
草木はほとんど生えておらず、乾いた風が地面を這うように吹き抜けている。ここは他の階層とはまるで違う、無機質で冷たい雰囲気を持っていた。
「今度は荒野か、どんなモンスターが出てくるんだ?」
俺は慎重に周囲を見回しながら、荒野を進み始めた。
しばらく歩くといくつかの大きな岩が転がっているエリアに着いた、その岩陰からゆっくりと何かが姿を現した。
それは岩の人型、ゴーレムだった。全身がゴツゴツした岩で覆われていて、動きは遅いが、その体格は圧倒的な威圧感を放っている。
「でっかぁ…剣は通りそうにないか、なら魔法だな」
俺は魔力を集中させ、氷の玉を生み出した。ゴーレムはその巨体を揺らしながらゆっくりとこちらに向かってくる。動きが鈍いおかげで、避けられる心配はなさそうだ。
俺は氷の玉をゴーレムに向けて放った。
勢いよく放った氷の玉は無事直撃し、鈍い音を立ててゴーレムの体にぶつかり、ゴーレムは大きく仰け反ってそのまま倒れた。
倒れたゴーレムはバラバラになり光の粒子に包まれ、その場に鉱石の塊を残した。
俺は拾い上げた鉱石の塊をリュックにしまい、さらに奥へと進んだ。
荒野は広く、足元には時折小さな砂嵐が巻き起こっている。
しばらく歩いていると、再びゴーレムが姿を現した。だが、このゴーレムは先ほどのものとは少し違った。こちらに気づくと、突然自分の腕をを大きく振りかぶり、手の部分を投げ飛ばしてきた。
「馬鹿かよッッ!!」
予想外の攻撃に慌てて飛び避けた、ゴーレムの投げた手は地面に衝突し、軽くクレーターを残し大きな音を出して崩れた。
危うく直撃を避けたものの、その威力に冷や汗が流れる。だが、まだ終わりではなかった。ゴーレムは再び腕を地面に当て、岩を集めて自分の手を再生させていた。
「させるかよ!」
次に投げ飛ばされれば危険だと感じた俺は、すぐに氷の玉を生み出し、ゴーレムが次の攻撃を仕掛ける前に放った。氷の玉は再びゴーレムに直撃し、今度は体全体が崩れ落ちた。
「思ったよりも脆いが…攻撃力はバカだな」
崩れたゴーレムの残骸は光の粒子となり、再び鉱石の塊が地面に残された。俺はそれを拾い上げ、息を整える。
「こいつらよりも頑丈なのが来たら、少しキツイな」
鉱石の塊を拾い上げてリュックにしまおうとしたが、そこで予想外の事態が発生した。リュックがパンパンで新たなアイテムが入らない。
ゴブリンや角イノシシから得たアイテムに加えて、ゴーレムのドロップ品まで詰め込んだ結果、限界に達していたらしい。
「仕方ない、ここで一旦引き返すか…」
俺は荒野を後にし、来た道を戻りながらセーフエリアへ戻った。そして再び魔法陣に足を踏み入れた。瞬く間にダンジョンの入口に戻ってくる。
俺はすぐにドロップ品買取所へ向かう。、買取所に着くと、俺はリュックを下ろし、角イノシシの肉と角、ゴブリンとボブゴブリンの魔石、そしてゴーレムの鉱石の塊をカウンターに並べた。店員が一つ一つ丁寧に査定していく。しばらく待った後、最終的に合計12000ポイントになった。
そこそこ良いポイントになったなと俺は探索者カードをしまった。
そしてリュックと剣を返しに行った俺は、地図を頼りにステータス鑑定所へ向かった。レベルが4になっていたはずなのでステータスを確認してみたくなった。
鑑定所に着くとすでに数名の生徒が並んでいて、俺もその列に並んでしばらく順番を待った。
俺の番が来ると、入学式の時と似たような装置があった。中央にある水晶の上に手を乗せると、すぐに淡い光が広がり、ステータスが解析されていく。そして機械が紙を吐き出し、俺はそれを手に取った。
紙には、こう書かれていた。
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名前: 黒木太陽
種族: 人間
ジョブ: 道化師 Lv.4
ステータス
生命:63
魔力:41
筋力:38
頑丈:35
俊敏:76
ジョブスキル
『火吹き』Lv.1
スキル 1/10
『氷魔法』Lv.1
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俺はその紙を見て少し驚いた。スキルにもレベルがあるとは知らなかった。これまで何度も使っていたが、スキルそのものにも成長の余地があるということか。
「なるほど、なら積極的に使ったほうがいいのか?明日聞いてみるか」
そう考えると、これからの戦闘でのスキルの使い方がますます楽しみになってきた。
「ふぅ~、疲れたし帰るかね」
紙をリュックにしまい、俺は一つ大きく伸びをした。
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