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次の日、朝起きるとザベルと一緒に朝飯を食べることにした。今日の朝飯は目玉焼き丼だ。

目玉焼きをご飯に乗せ、醤油を垂らして食べるだけだが、シンプルで美味しい。2人で黙々と食べていると、テレビからニュースが流れてきた。


『迷宮学園付近で出現した発生型ダンジョンですが、聖女率いる自衛隊と探索者たちによって攻略されました。聖女の尽力により被害は抑えられましたが、民間の犠牲者数は20人を超える見込みです』


「もう攻略されたのか」


俺はニュースを見ながらつぶやいた。まさかこんなに早く終わるとは。


「凄いんだな〜、聖女ってやつは」


ザベルが感心した様子で言う。聖女だけじゃなく自衛隊と探索者も実力者揃いだったのかもしれないな。


朝飯を食べ終わり、ザベルに黒剣の中に入ってもらい、俺は迷宮学園に向かうことにした。

いつも通りの道を歩いていると、ところどころで復旧作業が行われているのが目に入る。どうやらこの辺りまで魔物が来たらしく、道路や家屋が荒れているようだ。


「随分やられてんなぁ…」


軽く呟きながら、俺は復旧作業の様子を横目に迷宮学園へと歩き続けた。

学園に着き、いつも通り授業を受けて一日が過ぎる。だが、授業が終わるとサユリ先生に呼び止められた。


「黒木くん、この後、学園長室に行きなさい」


「あ、はい。分かりました」


俺は言われた通り、学園長室へ向かう。何回も呼び出されすぎて、なんだか問題児みたいになってないか俺。

学園長室の扉の前に立ち、軽くノックして「黒木です」と声をかけると、すぐに中から学園長の声が返ってきた。


「入りなさい」


扉を開けると、いつも通り立派な椅子に座った学園長が俺を待っていた。俺は少し緊張しながら学園長の前に進み出る。


「昨日、自衛隊に保護されたようだが、怪我は無いかね?」


「はい、聖女様の力で完全に治りました」


学園長は俺の言葉に頷き、ふと真剣な顔になった。


「そうか。なら良かった。しかし、ひとつ聞かせてくれ。なぜ君は危険な場所にいたんだ?」


「ああ…実は、あの辺りが帰り道の近くでして。悲鳴が聞こえたものだから助けようと思って行ったんですけど、思ったより数が多く、強いのもいて、結局あの場所まで追い込まれたって感じです」


俺が事情を説明すると、学園長は少し考え込むように顎に手を当てた。


「ふむ、君はまだ弱い。今回はまだ溢れ出た魔物たちが弱かったから良かったが、次からは無理をせず逃げなさい」


「分かりました。すみません…」


俺は少し反省しながら頭を下げた。確かに無茶だったな。次回からはもう少し慎重に行動しよう。

学園長は俺の反応に満足したのか、にっこりと笑みを浮かべて、机の下からドローンを取り出した。


「さて、つまらない話はここまでにして、本題だ。実は君に頼み事がある」


「頼み事ですか?」


「そうだ。このドローンを使って配信をして欲しいんだ」


「配信…ですか?」


俺は思わず首を傾げる。配信なんてやったこともないし、なんでそんなことを頼まれるんだ?


「上のやつらが悪魔と契約をした君の様子と悪魔を見たがっていてね。君達の探索の様子をダンジョンLiveで配信してほしいんだよ」


「俺の探索の様子を?」


「そうだ。そして、これを依頼として君に頼む。どうだろう?一回の配信で10000Dポイントでどうだ?」


学園長が言った額に俺は即座に反応した。


「やります」


迷うまでもなく答えた。10000Dポイントだぞ?それを配信するだけで貰えるなんて、断る理由なんてない。


学園長は笑顔を浮かべて頷いた。


「それでは決まりだな。これがドローンだ。君の動きについてきて、魔物との戦闘や探索の様子を自動で撮影してくれる。スマホからアカウントを作ってドローンと接続してくれ」


俺はドローンを受け取って手に取り、少しだけ観察する。見た目は大きいが、思ったよりも軽い。確かにこれなら邪魔にはならなそうだ。


「なるほど、分かりました。じゃあ早速次回の探索で使ってみます」


「そうしてくれると助かるよ。それでは、頑張ってくれたまえ」


俺はドローンを片手に持ち、学園長に軽く会釈して学園長室を後にした。

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