リザードマン

リザードマン

セーフエリアを抜けて、洞窟を通り過ぎるとそこには広大な草原が広がっていた。

浮遊を使いながらスケルトンを2体召喚して進むと、柔らかな風が顔に当たり穏やかな空気が漂っていた。


「気持ちいい場所だなぁ〜」


ザベルは雲一つ無い空を見上げながら言う。


「そうだな。ここがダンジョンじゃなかったら昼寝でもしたいところだが」


しばらく進むと、前方に人型のトカゲ、リザードマンが2体見えた。鉄の剣を持っている。


「お、早速敵か!」

 

ザベルはそう言うと、小さな炎の玉を生み出し放った。炎の玉はリザードマンの体に当たり、軽く焼き焦がす。

ザベルは絶え間なく次々と炎の玉を放っていく。リザードマンたちはこちらに気づき、今度は剣を振りかざして突進してきた。


「迎え撃て!」


俺が命令すると、2体のスケルトンは剣を構え、リザードマンに向かっていった。

リザードマンたちはスケルトンたちと剣で打ち合い、甲高い金属音が響き渡る。後方からザベルの炎の玉がリザードマンたちに次々と命中し、リザードマンたちにダメージがじわじわと積み重なっていく。


やがて、1体目のリザードマンがスケルトンに斬られて倒れ、光の粒子に包まれながら消えた。

残るもう1体も2体のスケルトンとザベルの猛攻に耐えきれず、同じように消滅してしまった。

俺は特に何もせずに終わった、これからはだいぶ戦闘が楽になりそうだな。


リザードマンたちが光の粒子に包まれて消えた後、地面には魔石と鱗がついた皮が残されていた。それをリュックに詰め込みながら、俺はザベルに声をかけた。


「炎の魔法を使えるんだな」


「まあな!というかまだこれしか使えないだけなんだけどな」


ザベルは肩をすくめて答えた。


「それよりも魔石出ただろ?くれよ!」

 

そうザベルが目を輝かせながら言った。

俺は少し戸惑いながらも、リザードマンがドロップした魔石をザベルに渡した。ザベルはその魔石を手に取り、すぐに口に放り込んでボリボリと咀嚼し始めた。


「美味いのか、それ?」


「いや、別に美味くない。でもこれを食べると強くなれるんだ!」


「なるほど、じゃあこれから魔石を見つけたらザベルにやるよ」


俺はそう言うと、ザベルは嬉しそうに笑いながら頷いた。

しばらく進んでいると、遠くに闘牛のような魔物が見えてきた。体格は普通の牛の倍ほどあり、鋭い角が目立っている。闘牛は俺たちに気づくと、すぐに突進してきた。


「近付かれたら危ないな」


俺は氷のトゲを生み出し放つ。氷のトゲは闘牛の頭に突き刺さり、倒れた。

闘牛が光の粒子に包まれ消滅すると、その場に肉のブロックをドロップした。


「肉か、帰ったらこれ食べようぜ」


「良いなそれ!楽しみにしてるぞ!」



その後も闘牛やリザードマンを倒しながら進むと、視界の先に一際目立つリザードマンが現れた。そいつは二本の角が生えていて、体格がガッチリしている。普通のリザードマンとは明らかに違う。剣を手にしてこちらを睨みつけている。


「ボスっぽいな」


俺はそうつぶやき、さらにスケルトンをもう1体召喚した。


「ザベル、少し距離を取って魔法で援護してくれ」


「任せとけ!」


ザベルは素早く距離を取り、後方から炎の玉を生み出し始めた。

俺はスケルトンに「リザードマンを殺せ」と命令し、スケルトンたちは一斉にリザードマンに向かって突進していき、そして戦闘が始まった。

リザードマンの剣捌きは見事で、スケルトンたちの攻撃を上手くいなしながら戦っている。

俺は氷のトゲを放ち、ザベルも炎の玉を放って援護するが、リザードマンはそれを巧みに避け、スケルトンを1体斬り倒した。もう1体もほどなくして倒されてしまった。


「やるな」


俺は急いで新たに2体のスケルトンを召喚し、自分もリザードマンの元へ向かいスケルトンたちと共に戦う。

俺が加わったことでリザードマンは切り傷を増やしていく、そしてザベルの放った炎の玉がリザードマンに直撃した。

その瞬間、リザードマンの注意がザベルに向いた。


「アッハハハハ!!」


俺は口角を上げて声を出して笑いステータスを上昇させ、リザードマンの肩から腹にかけて黒剣を一気に振り下ろし、深く斬り裂いた。


「ぐギャアアア!!」


リザードマンは苦しげな叫び声を上げ、その場に崩れ落ちた。光の粒子に包まれ、消えていく。そしてリザードマンは大剣をドロップした、俺には使えないが高く売れそうだ。

するとザベルが駆け寄ってきた。


「やったな太陽!」


「ああ、程々に強かったな」


息を整えていると階段が出現した。


「そんじゃ下りるか」


「おー!」

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