第二章 星川胡桃編

第37話 プロローグ とある少女の独白

 ステージの上で、ライトが眩しい。前の方で輝いているセンターの彼女を視界に入れながら、あたしは少し後ろでアイドルとして、ステージに立っていた。この位置が私の居場所。

 ここからセンターで輝く彼女がどれほど眩しいか、その全てを捉えられる。彼女の背中は近いようで遠く、あたしの手が届かない場所にあるように感じる。それでもあたしは、その光を一心に追い続けていた。

 ステージのセンターは光り輝くスポットライトが一番強く当たる場所で、観客の注目が集中する。そこで踊るアイドルは、このステージ主役だ。

 でも、そこは誰もが立てる場所じゃない。

 センターに立つには条件がある。

 そこに立つためには、何よりもアイドルとしての魅力を最大限に発揮し、ファンの心を掴み、自然と観客を惹きつけてしまうカリスマやスター性が必要だ。


 いつかあたしがその場所に立つことを夢見て、毎日を過ごしている。あたしも彼女たちのように、誰よりも輝けるアイドルになりたい。


 今はまだ後ろの方で踊っているけれど、いつの日か、その場所に辿り着けるように……。

 そこに立たないといけない、理由があるから。

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