第19話 間男、ユーチューバーにネタにされる

 赤木side----。


 この俺様を前半で下げる? 正気か、このジジイ。


「浅野、後半から赤木の代わりに入ってくれ」


 浅野は驚いた様子で一瞬固まっていたが、すぐに立ち上がり力強く返事をした。

 俺と同じポジションで年下の期待されている選手だ。

 このままでは、序列が変わってしまうかもしれない。

 クソクソクソクソクソクソ……。

 前半戦が終わった後のミーティングの内容は何も覚えていない。

 怨嗟と苛立ちが頂点に達して居たのだから無理もない。

 やがて、選手たちは後半戦に向けてロッカールームを後にした。

 俺がベンチに座ったまま動かないでいると、やがて一人になった。


「クソが!」


 俺は目の前にあったボトルを本気で蹴り上げた。



 ----。

 試合後、ホテルの部屋に戻ると、ふとした疲労感が全身を覆った。シャワーを浴びた後、ベッドに倒れ込むと、そのままうなだれた。

 あの後の試合は代わりに入った浅野2点決めたおかげで、チームはアメリカ代表に勝利した。

 俺は試合を直視出来ず、結果だけが後からチームメイトから聞こえてくる中、複雑な心境しかなかった。

 この俺様が主役ではない試合など興味はない。

 ベッドに横たわりながら、天井を見つめていると自分の非力さや、感情のコントロールができなかったことを思い出す。


 俺は悪くねぇ……。


 おもむろにベッドに横たわりながらスマホをいじっていると、YouTubeのおすすめ欄に目が留まった。そこには今日の試合の同時視聴をサッカー系ユーチューバーが行っていたらしく、その切り抜き動画がアップロードされていた。

俺が画面をタップすると、動画が流れ出した。

 丁度、後半戦が始まる時のコメントだった。


「え、FWの赤木変えんの? 見限るの早いな~。でも、今日は完全に空回りしてたもんな~」


 誰が空回りしていただと?

 ユーチューバー如きが舐めやがって……。

 動画を見ていると、ユーチューバーが動画内に流れたとあるコメントを拾った。


「『そういえば赤木って最近、アイドルのヤリモクDM晒されて炎上してたよ』あー、そんなことありましたね。やっぱり人間性もプレーに出ますからね。下半身だらしない奴はプレーもだらしないですよ」


 コメント欄に便乗したように、ユーチューバーが俺を叩き始めた。

 クソクソクソクソ。

 文句があるなら俺の前で言いやがれ。

 最も目の前に居たらボコボコにぶん殴ってやるがな……。


「結局、早熟だったんでしょうね。アスリートにはよくありがちですからね」


 最終的にユーチューバーをそう締めくくって動画は終わった。

 素人ユーチューバーが調子に乗りやがって……。

 こんな雑なコメントしか出来ない癖に生意気にも切り抜き動画にも関わらず登録者は三万を超えていた。そうなると本家は十万を遥かに超えているのは想像に難くない。

 俺は盛り上がっている動画のコメント欄を覗いた。


「浅野が神過ぎた」

「これもう浅野が最強のストライカーだろW」

 俺の代わりに入った浅野のは称賛コメントでいっぱいだった。

 一方で俺に対するコメントも一部書かれていた。


「赤木がダメすぎる」

「こんなのが代表なのか?」

「オワコン、サッカーやめたほうがいい」


 という批判コメントが連なっている。

 この俺様が年下の浅野より実力が下だと言いたいのか!?


「ふざけんな!」


 俺はベットに向かってスマホを本気で叩きつけた。

 クソ、ふざけやがって……。

 やはりリハビリ期間に、女をハメてなかったから力が出なかったのか。

 まぁ、いい。

 この借りは必ず返させてもらう……。

 今に見てろよ、節穴共め。

————————————————

皆様、いつもありがとうございます!


思っていたよりも反響があり、作者的にも嬉しい限りです。

さてさて、今後の更新ですがそろそろ5万字のストックが無くなりそうで、投稿頻度が怪しくなってくる頃合いです。


プロット自体は最後まで完成しているので、何とか書けそうなのですが社畜の身分の為、ここから先の投稿頻度はモチベ次第となりそうです。


そんな訳でもし、続き早く読みたいとか、おらさっさと書きたまえ!と喝を入れて下さる方は、「おすすめレビュー」の「★で称える」にある【+】ボタンを3回押して頂ければ幸いです。何卒宜しくお願い致します!(^^)!

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