第36話 アンコールは鳴り止まない
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今日はルミナススターズの単独ドーム公演の日。
僕はミカさんの助手という立場で一スタッフとして、ステージ裏からライブの様子を眺めていた。
ドーム内の照明が暗転し、一瞬の静寂の後、ステージが鮮やかに光り輝く。
その瞬間、観客の歓声が爆発し、巨大な空間全体が振動するような音の波に包まれた。
数万人の観客が手に持つペンライトが揺れ、まるで光の海のように広がっていく。
ステージの上には、まばゆいライトを浴びて輝くルミナススターズのメンバーの姿があった。その中で白崎さんはセンターに立ち、ひときわ強く輝いている。
ステージ中央に立つ彼女が放つキラキラとしたオーラに、僕はただただ圧倒された。
彼女が観客を煽りながら手を空に掲げると、ステージの照明が彼女の周り光り輝き、観客は一斉に歓声で応える。
やっぱり、彼女は凄い……。
僕がそんな事を考えながら、傍で見守っていると、ライブは数時間にわたりあっという間に最後の曲を終えてしまった。
これでライブは終了である。
だけれど、予定調和を覆すようにアンコールが鳴り響いたのだ。
「アンコール! アンコール!」
観客の要望に応えるように、急遽もう一曲お披露目することが決まった矢先、問題が発生した。
「あれ、奏ちゃんが居ない。何処に行ったんだろ」
天音さんが辺りを見渡しながらそう言った。
「僕、探してきます」
どうやら白崎さんが居なくなったらしい。
僕は天音さんとすれ違うようにして、急いで人気のないステージ裏に向かった。
しばらく探していると、裏口の影にひっそりとたたずむ彼女を見つけた。
どうやら彼女は息を整えながら休憩しているようだった。
「白崎さん」
僕がそう呼ぶと、小さな声で彼女が返事をしてきた。
「今は周りに誰もいないから平気だよ、そーくん。二人きりの時はさん付け禁止でしょ?」
微笑しながら奏が僕に対してそう言った。
僕の呼び方が変わったのは、まさに僕たちの関係性がそのもの変わった事を示していた。
恋人になった僕たちは、互いの呼び方が変化した。
奏は僕のことを愛称で呼んでくれるようになったのだ。
「そうだったね。にしても探したよ、最後にアンコールに応えて、もう一曲やるみたいだよ」
僕がそう言うと、奏がふと甘えるように僕の目をじっと見つめてくる。
「んー。もう疲れちゃったんだけど、そーくんが私のお願い聞いてくれたら最後も頑張れるかも」
「……僕に出来る事なら何でもするよ」
「本当に? じゃあ目を瞑って欲しいな」
「え、そんなことでいいの?」
もっと無理難題を言われると思ったので、僕は拍子抜けしながらも言われるがままに従った。
目を閉じ、何が起こるのかと待ち構える。
……。
しばらく静寂が続いたかと思うと、突然、唇に柔らかい何かが触れた感触がした。
僕が反射的に驚きながら目を開けると、そこにはほんの少し頬を紅潮させている奏がいた。
「い、今のって……」
僕がそう呟くと、奏が僕の唇に指を当てながらこう言った。
「私がキスしたと思った? 指で唇に触れただけだよ?」
小悪魔めいた笑みを浮かべながら奏がそう説明をする。
「じゃあ私、行ってくるね」
奏は照れくさそうに微笑み、その場から小走りに去っていく。
その後ろ姿を見送りながら、僕は自分の唇に残る温もりを感じていた。
さっきのは、どう考えても唇同士が触れ合っていたと思う。
何故ならほのかに甘い味と湿った感覚があるからだ。
僕は本当にキスされたのだという確信して、身体が熱くなるのを感じた。
彼女は意外と掴みどころがなくて、時々大胆な事をしてくる。
奏は皆のアイドルであると同時に、僕が世界で一番魅了されているアイドルだ。
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ステージ裏にも未だにアンコールが鳴り響いている。
きっとこのコールと同じ様に、僕と彼女の関係も続いていく。
そうあったら良いなって、僕はふと思うのだった。
FIN
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ここまでお読みいただきありがとうございました!
一旦はこの物語は完結となります!
とはいえ、10万字にギリギリ行かなかったので、いつか間男や元カノのその後の話とか外伝で書けたらいいなって思ってます。一応、本編の続きの構想自体(今後は白崎さんとのイチャイチャや本格的なアイドルものになる予定)はあるのですが、ストックが切れてからは睡眠時間削って書いていたりと大変だったので、本編の更新を一旦は休憩したいって感じです。
とまぁ、そんな感じで最後に少しでも気に入って頂けたなら「★で称える」にある【+】ボタンを3回押して頂けると大変うれしいです!
改めて、ありがとうございました!
幼馴染の彼女をNTRれたけど、国民的アイドルの美少女と甘々なラブコメが始まった ユニコーン @Akatukikunn
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