幼馴染の彼女をNTRれたけど、翌日から国民的アイドルの美少女がグイグイ来るようになり、甘々なラブコメが始まった。元カノは別れたのを後悔し、間男は人生転落して立場が逆転!
第22話 間男、チームメイトに馬鹿にされる
第22話 間男、チームメイトに馬鹿にされる
場所は、サッカーユースチームの事務所内の小さな会議室。
窓の外からは練習場が見え、選手たちが汗を流している様子が窺える。
そこでユースチームの監督とコーチが話をしていた。
監督は眉をひそめながら厳しい表情でコーチに向かってこう言った。
「赤木のことだが、最近の態度とパフォーマンスには正直問題がありすぎる。前の試合でも、自己中心的なプレイが目立った。チームワークを損ねているのは明らかだ」
それに対して、コーチはうなずきながら返答する。
「確かに、彼の振る舞いとプレイスタイルはチームにとってマイナスに働いている部分が多いですね」
監督はしばらくの沈黙の後、深く息を吸い込んだ。
「今のままでは、彼がチームにいること自体が他の選手たちにとっても不利益だ。ここで挫折させて、精神的な成長が必要かもしれん」
コーチが賛同するように頷いた。
「そうですね、赤木を一度AチームからBチームへ降格させましょう。新しい環境で彼自身も反省し、成長する機会を与える意味でも」
「そうだな、私は彼に正しい道を歩んでほしい。Bチームで基本からやり直させよう。ここで挫けるようならいずれにせよ未来はない」
監督とコーチはそんなやり取りをして、決定を下したのだった。
赤木side----。
練習中、俺はボールを足元に転がして調整をしていた。何度も何度もトライしたドリブル、シュート、パスの一つ一つが思うように行かない。自分のパフォーマンスが落ちているのを肌で感じる。
「全てが上手いかねぇ……」と小さく呟きながら、俺は重いため息をついた。
ふと、ボールを見下ろし、足で蹴るがイライラは募るばかりだ。
あの代表戦以来、俺は全てが終わっていた。
このところ、自分のプレイに納得がいかない日が続いているのは勿論のこと、トレーニングでのミスが多くなり、チームメイトとの連携も上手くいかない。
今日も、監督からは何度も指摘され、その都度、チームメイトの視線が痛かった。
なんでこんなにもうまくいかねぇんだと、自分に問いかけるが、答えは出ない。
俺はもう一度深く息を吸い込み、もう一度ボールを蹴った。ボールがネットを揺らす音がするが、いつもなら心地良く感じるその音も今はただ虚しいだけだ。
そんな時、一人の男が話しかけてきた。
「赤木、お前大丈夫か?」
相手はBチームの斎藤だった。こいつはずっとBチームにいるお陰で、俺とはあまり面識がない。
「別に普通だ」
俺に話しかけるな、Bチームのゴミが。
Bチームってだけで、見下すに値する存在だ。当然下に見ている。
「そうか。なら良いんだが……。何かあったら相談してくれよ」
「うるせぇな……。格下に俺の気持ちは分からねぇ!」
「……っ、そんな言い方ないだろ」
俺の言い草に斎藤は動揺しながらも、その場を去っていった。
それでいい……。
雑魚が俺に話しかけるな。
ハッキリ言って時間の無駄なんだよ。
----。
練習が終わり、ロッカールームに戻ると、いつものようにメンバーの入れ替わりが壁のホワイトボードに記載されていた。ユースチームは定期的にメンバーの入れ替えをする。Aチームは要するに一軍でBチームは二軍だ。天才の俺様はユースチームに所属して以来、ずっとAチームに居た。
俺はいつものように何気なくそのリストを見た。だが、それを見た瞬間、俺の心は凍りついた。
何故なら——。
赤木蓮司、A→Bチームへ降格。
斎藤隆、B→Aチームへ昇格。
と記されていた。
この情報が目に入った瞬間、俺の頭の中が真っ白になった。
周りのメンバーも掲示板を見て、すぐにざわめきが広がった。
「赤木がBに降格したってマジ?」
「斎藤の奴、Aに上がるなんてすげぇな」
チームメイトの声が、まるで遠くから聞こえるようだった。
「俺がBチームに降格だと? ふざけんな!」
怒りに任せて、俺は思わず叫んだ。
その声に部屋の空気が一瞬で凍りつき、全員が俺を見た。
俺の怒りと困惑が混ざった表情に、誰もが言葉を失っているらしい。
だが、怒り散らしても俺の怒りは収まらねぇ……。
「何でだよ……、俺が何をしたっていうんだよ!」
俺はホワイトボードを指差し、さらに声を荒らげた。
「落ち着け、赤木。おい、斎藤も何とか言ってやれ」
俺が斎藤の方を見ると、視線が合った。
奴は冷ややかな笑みを浮かべて立っていた。
「ぶざまだな、赤木」
「……何?」
俺は怒りを露わにしながら声を荒げたが、斎藤はそれに動じることなく、むしろ楽しんでいるようにさえ見えた。
「Aチームに上がるって聞いたとき、正直驚いたぜ。でも、赤木がBチームに落ちるのも、それはそれで納得がいく。俺はずっと努力してきたが、お前は才能に胡坐をかいていた。実際には自業自得ってやつだろ?」
斎藤の言葉は鋭く、俺の心に突き刺さった。
俺はその場で言葉を失った。いつもならすぐに反論しているところだが、今の自分の立場を考えると、何も言えない。AチームからBチームに降格し、さらに元々見下していた奴にこんな事を言われたのだ。お陰で自尊心は地に落ちた。
「どうあがいても今は俺が上だぜ? 今はそれを受け入れて、また一から頑張るしかないんじゃないか? お前は俺を見下していたみたいだが、立場は逆転だなぁ? 赤木ぃ?」
うるせぇ……。黙れ黙れ黙れ……。
結局、斎藤は言いたいことだけ言ってその場を去って行った。
奴の言葉に、何も言い返えなかった自分に腹が立つ。奴が去った後、俺はその場にぽつんと座り込むしかなかった。怒りや不満、そして自分の未熟さに対する悔しさが一気にこみ上げてきた。もしかしたら俺はサッカーの才能が無いのか?
これまでは元々あったフィジカルでどうにかしていただけの早熟だったのかもしれない。
今まで考えもしなかった疑念が脳裏にチラつき始めていた。
————————————————
いよいよ、間男の話もクライマックスに近づいてきました。
この後はデート編が始まりますが、それが終わった後、間男の話が大詰めを迎えそうです。何卒宜しくお願い致します!
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