024 ~Itではない者~
Itの姿は落下とともにバラバラになり、無残な姿になってしまった。
もともとくるくる回ったり、tだけ自由に行ったりきたりしているから、
それ自体に大きな問題はない。
気になるのは数だ。
地面に横たわるItをSheが覗き込む。
「なんだか、スペルが多くないかしら。」
「え?」
Sheに続き皆が一つ所に集まろうとした時、再びYouが声を上げた。
「近寄らないで! 何かくる……!」
Youが指を差す暗闇から、何かが姿を現わそうとしている。
Howか?
You以外、そのHowという者を見たことがなかった。
だから想像するしかない。徐々に姿を現わす者の陰に皆がそう思った。
しかしYouの様子が物語っていた。
Youは恐怖していた。あの、Howを想う表情は、もうどこにもなかった。
「そこを動くな。」
闇から現れた者が言った。
「あ、あなたは……。」
Youは後ずさりし、間合いを取った。
しかし、その謎の者はその分間合いを詰めてくる。
ゆたりとした服に、長いひげ、そして髪は後ろで一本にまとめている。
「Howはここにはおらん。」
「な、なぜ、そのことを……。」
Youの変わり果てた様子にIたちも心が騒ぐ。Heはいつしか臨戦態勢に入っていた。
「おい、You。あいつ何もんだ。やっていいのか?」
Heの腕と脚は2倍にも膨れ上がり、今にも飛び跳ねんとするようだった。
「だ、ダメ! あ、あのお方は……。」
その者はYouの言葉を遮るように、ある所を指差した。
その指を差した先に、Itがいる。
そこで何かがうごめき、そしてうごめいた者が、
“Itではない者”が、スーっと浮かび上がった。
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