041 ~開戦~
「な、一体何にゃんだな、っと。」
いち早く異変に気付いたYouは皆の前に立ちはだかり、そして両手を空に掲げた。
「I様、私の後ろに! She様! 援護を!」
「えっ!?」
Sheが見上げた先から何やら黒い物体が降ってくるのが見えた。
ものすごい勢いでとてもsheには間に合わない。
その代わりとでも言うように、
一般Beは手慣れた手つきで、
そしてBe子は持ち前の高価そうな扇を取り出して応じた。
見事に弾かれた物体はそれぞれが地面に激突し、
そして広大な砂煙を巻き上げた。
周辺の砂煙が晴れた頃、最初の爆発を起こした辺りの視界が明らかになった。
そこにまず姿を現わしたのは”w”だった。次いで “o”。そして”r”に”k”。
どれもこのイングリッシュ・グラム・マーに伝わる文字のひとかけらだった。
“w”、”o”、”r”、”k”。
一般Beはその文字を組み合わせを見ると、途端に表情を変え悲嘆な大声を上げた。
「わ、ワーーークっ! おいワークだろ! 一体何が!??」
一般Beがそのひとかけらひとかけらを集めて並び直すと同時に、
一般Beと同じような服をした者が文字からすっと姿を現わした。
「び、Be殿……。」
「おい、ワーク! 一体何があったのだ!」
「Be殿、いよいよ衝突は避けられませぬ……。 きっと、きっと一般動詞の名をこの世に……。」
「お、おい! ワーク!」
後ろで見ていたSheは何も言わずにワークの胸に手を置いた。
「大丈夫だ、気絶しているだけ……。」
「くそ! 今すぐにでも乗り込みてぇぐらいだ!」
「ま、まて! 今行っても思うつぼだ。第一、争いったって、どうやって戦えばいいんだ……。」
いくら博識のYouでも、そして魔法に精通したSheでも、
始まったばかりの動詞の争いについてはその手段を心得てはいなかった。
その時に口を開いたのはなんとHeだった。
「なんだShe,知らなかったのか。」
Heはそう言うと、一度握った手を皆の前で開き、そして何かを空に浮かべた。
「魔法ばっかに頼ってちゃ知らねぇのも無理ねぇか。おいBe、お前も知ってんだろ。出せよ。」
Heに促された一般Beは、渋々と同じように手を開いた。
その小さな手の平の中央から、何か黒いものが浮かび上がってくるのを他の者は目の当たりにした。
興味を持ったのはitだ。思わず声を上げ、そしてどこか嬉しそうだった。
「not”ノット”だにゃ、っと!」
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