040 ~結託~

◆40 ~結託~


Youは不思議でならなかった。


普段から温厚で争いを望まない。

事態を飲み込めているのかいないのか、いつだって自分の世界を持っている。


この世界に一番に現れた存在なのに、何も知らない。

自分の方がよっぽど知恵がある。


しかし、やはりとてもかなわないとYouは思うのであった。


Iはこの深刻な場面をいとも簡単に打ち砕き、そして自分を通している。

ついにBe子を我が物にしてしまった。


この魅力の正体は何だろう。


Youにはとても真似できない。だからこそ、うらやましい。

そしてだからこそ、Iのことが気になって仕方なかった。


「おい。いくらBe子ちゃんが認めたからって俺は……。」


「一緒に行こう!」


Iは一般Beに抱き着き、そして迷いなく言い放った。

Isのことなど見たこともない。だからどれほどの存在かもIにはわからない。


自分でできるとは思ってはいない。

しかしそれ以外に答えが見つからなかった。


「私、ううん。私たちに何ができるかわからないけれど、わからないからできることもあるかもしれない!」


まっすぐな目に見つめられた一般Beは途端にその目のとりこになってしまったようだった。ついさっき会ったばかりのこの小さな者に、一体なんの力がある。わからなかった。


しかし同時に思ってしまった。

この者になら、頼ってもいいのではないか。


「……。お前の名前は何と言ったか。」


「私は、Iだよ。」


「そうか、I………。なに、Iだと!? そうか、その手があったか!」

Iの名前を聞いた一般Beは途端に立ちあがり、そして目を見開いた。


「えっ!? どうしたの!?」


「そうだよ、お前はIだ。なんで今まで気づかなかったろう! お前ならあのIsだって……。」


Isと聞きHeとSheは再びすくみ上った。

できることなら言葉にだって聞きたくはない。

できれば他に言い方はないのだろうか。


「な、なぁ、その名前のことなんだけど……。」


Sheが口を開いた時である。

空気を引き裂く音がどこからともなく響き渡り、

そしてその消失とともに数十歩先の地面で爆発が起きた。

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