021 ~Howたち~
YouはYou。
別名を二人称と名乗り、主語の里の民。代名詞族の属する。
歴史や伝承に精通し、皆の頼れるブレイン的な存在であった。
それだけに、たった一言、恋人と耳にしただけでのぼせてしまうなんて、純粋、
いやいや、Howと呼ばれた者とはそもそもどういった関係なんだろう。
「Youさん、また倒れちゃった。」
「普段からこうなのかしら、まったく。」
心配するIとSheを横目に、Heには少しいたずら心が芽生えていた。
HeはYouの様子をうかがうようにして近寄り、そして耳元で呟いた。
「ハウ。」
その瞬間、Youは飛び起きた。
Heが発した言葉の響きがまだ耳に残っているぐらい、直後のことだった。
飛び起きたYouさながら猫のようで、そしてきょろきょろと辺りを見渡した。
「How様!? ど、どこに!?」
周囲の沈黙に、かえって理解が及ばない。
「なんだ、もう起きられんじゃねぇか。」
「はっ!」
Heのいたずらな顔を見てYouはようやく状況を飲み込み、そして落ち着きを取り戻した。
「ご、ご、ごめんなさい! 私ったら取り乱してしまって……。
決してみなさんを……。」
「Youさん、大丈夫だよ。みんな何も疑ってない。」
Youは下げた頭を上げることなく、身体を直角に曲げている。
「だからYouさん、よければ話、聞かせてくれないかな。」
Iの物腰の柔らかさにみな救われているところがある。
Youもいよいよ本当のことを話そうと決めた。
Youは、身体を起こし、すぅーと息を吸った。
しかしそれは恥じらいによるものではない。
これはIたち全員に関わることを話す、覚悟の話であった。
「How様たちは、きっと私たちの強い味方となります。」
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