第21話 人斬り
「新宿ダンジョンかぁ」
「お若い人が多いですね」
周りを見てオキヌが言う。
「な、死亡率もそれなりらしい、若いのにな」
「それは悲しいですね」
俺たちは今新宿ダンジョンに来ている。
なぜかと言うとなにやらやってる奴がいるようで死亡率が高いからだ。
「さて入ってみよう」
「はい!」
中は普通のダンジョンだ。
1階層がスライムでそのまま上がって行くと14階層で悲鳴が聞こえた。
走って行くと、
「ケヒヒ!おっ!また発見!」
腕から血を流している冒険者とそれを行なったであろう冒険者がいた。
「ヒール!なにしてんだ?」
「おろっ!傷が癒えたか!ならもう一度」
“キンッ”
「だから何してんだって聞いてんだよ!」
「人間を殺してもレベルが上がるの知ってるか?」
壊れっぷりが逆に冷静にさせるな。
「あぁ、だからね」
昔のレベルが上がってるのを不思議に感じたわけだ。
「と言うわけで死ねよ!」
「死ねないねぇ」
「げひっ」
俺はすれ違いざまダガーで斬った。
「おぁあぁぁぁ!いでぇえぇぇ!」
「バカだな!同じことやってたんだろ?」
「もうやらないから許してくれよ」
「まぁ、無理だな」
バカは死んでも治らない。
「ぐっ!、くそ道づれだ!」
とオキヌに向かうが鉄扇で切られて生き絶えた。
「大丈夫だったか?」
「は、はい!あの人は?」
「あぁ。死んだだろうな」
「いいんですか?」
若い冒険者だな、髪は真っ白だ。
「こちとら警察でもないんでね、そこんとこは内緒で頼むわ」
「は、はい!」
逃げるように去って行く冒険者。
そして、
「ケント?!」
「ん?あ?なんだ?」
死んだ冒険者を飲み込むようにして吸収しているダンジョン。
「はぁ、これで死体が残らないわけだ」
「完全犯罪?ですか」
「そうだな」
15階層に行きボスを倒して外に出る。
桐生院に電話して事の事情を話す。
『そうか、それで死亡率が高かったわけだな』
「そうらしい」
『それで始末は』
「したよ、ダンジョンが飲み込むところまで見た」
『ダンジョンが飲み込むのか、それでダンジョンは成長する』
「ゲーム通りで鳥肌が立つ」
『そうだな、今回はありがとう、報酬はまた入れとくよ』
「あぁ」
電話を切るとさっき助けた冒険者が這々の体で帰ってきたが俺の顔を見て青ざめている。
別に何もしないんだがな。
新宿ギルドを後にする。
それにしても人を殺してもレベルが上がるのをどこで知ったんだ?間違えて殺したとか?まぁ、闇のままだな。
葛飾ギルドに戻ってくるとエリナが帰ってきたようだ。
「よ!元気か?」
「ようやく30階層を突破したわよ、何あのスケルトンクラウンだっけ?ほんとしんどかった」
「おぉー!やるねぇ!」
「もう攻略したんでしょ?嫌味にしか聞こえないわよ」
と椅子に座って寛いでいる。
「あはは。でも金は貯まってきたんじゃないか?」
「そうね貯金はそこそこあるし!いい稼ぎよ!」
「まぁ、持って帰れるものが少ないのが難点だな」
「そう、取捨選択しないといけないのが嫌!」
「だよな、マジックバッグがあればいいのにな!」
「あれ高すぎだから!小さいのでも500万リラよ?」
ショップの金がリラなのが悪いな。
金貨の出も悪いしな。
どこか金貨の出がいいダンジョンはないかな?
「お!2人とも何してるの?」
「マサキもダンジョン帰りか?」
「そうだよ。25階層まで行って帰ってきた」
「1階層から?」
「そうだよ、そっちの方が楽だからね」
「まぁそう言うやり方もありだな」
「うーん、そうね、50階層で金貨は?」
「50枚」
「ならマサキのやり方のほうが効率がいいか」
またブツブツ言い出すエリナ。
「剣の調子はどーだ?」
「あぁ。ここらじゃこの剣に勝てる奴はいないんじゃないかな?」
「そうだな、2人ともなんとかやってるみたいで安心したよ」
「その節はどーも」
俺に頭を下げるエリナ。
「いえいえ」
「よしっ!帰ろっと」
「んじゃ一緒に帰ろーぜ」
「えー!あっ!ご飯奢ってよ」
「あー!それいいかも」
「それいいかもじゃないだろ、まぁ飯くらい奢るけど」
「「やったー」」
「って、誰この人」
オキヌを今頃認識したのか?
「オキヌって言って俺と一緒に動いてるんだ」
「へぇ…やるじゃん、しかも可愛いし」
「可愛いねぇ!」
「オキヌです。よろしくお願いします」
「んじゃオキヌちゃんも一緒に焼肉ダァ!」
「えっ!お寿司でしょ?」
「焼き肉!」
「お寿司!」
「どっちでもいいぞ」
「じゃーんけーん…」
「焼き肉だぁ!牛タン、カルビ、ロース!」
「はぁ、焼き肉かぁ、まぁいいけど」
「奢ってもらうのにまぁいいけどはないだろ」
こいつらは本当に、
「ここ!高そうな焼肉屋さん」
マサキが指差す焼肉屋はほんとに高そうだな。
「おおっ!」
「んじゃ入るぞー!」
「はい!」
中に入ると座敷になっていて飲み物を注文して、肉を頼む。
「へぇ!良い店知ってるじゃん!」
「来たいと思ってたんだよね」
「あ、あれがあるぞ?オーク肉」
「げっ!アレ食べるの?」
「えっ!知らねーの?最高級だぜあれ!」
「ウッソだー!」
と言う間に肉が運ばれてきて4人で焼いて食べる。
「うっま!やっぱ肉がいいね」
「美味いわぁ」
「美味しいですね」
「オーク肉も焼くぞ」
「いぇーい!!」
この後、誰よりもオーク肉を食べたのはエリナだった。
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