第19話 イタリア


「やぁ、久しぶりにようやく時間が取れたよ」

「あはは、家族に使ったらどうですか?」

「こんな夜遅い時間は息子も寝ている」

「まぁ、そうでしょうね」

 今はもう22時過ぎだ。

「それで?何か進展はありましたか?」

「アメリカのダンジョンがダンジョンブレイクを起こしたな」

「ダンジョンブレイク?」

「あぁ、ダンジョンからモンスターが出て来る災害と一緒だな」

「まじか!そりゃ大変だ、死者は?」

「六百人は超えるだろうな」

「大災害じゃないですか?」

 ダンジョンブレイクがここで起きたらと思うとゾッとする。


「幸い冒険者がなんとか食い止めてくれてなんとかなったが被害がデカかった」

「予知はできないんですか?」

「ダンジョンの門が赤くなってきたらその前兆らしいな」

「そうですか」

「日本では?」

「今の所ないな」

 ほっとしたが、

「イタリアではその兆候があるそうだ」

「それはどうやって直すのですか?」

「中のモンスターが溢れて出て来るから何よりモンスターを倒すしかないだろうな」


「でだ。イタリアに行ってくれないか?」

「俺がですか?…いいですけど」

「良かったよ、これでイタリアのギルドに応援を送ると言える」

「俺じゃ賄えないかもしれませんよ?」

「それはその時で逃げてくれ。大事な友を無くしたくはない」

「はぁ。わかりましたよ」

「それじゃ早速向かおうか」

「いまから?」

「一刻を争うからな」

「オキヌも行くか?」

「はい!」

「よし2人だな!」


 俺たちはプライベートジェットでイタリアのローマギルドへ到着した。

「本当に赤くなってきているな」

「そうですね」

「よしいくぞ?」

「はい!」

 現地の入場受付を済ませてから入って行くとモンスターが大勢いた。

「よし、さっさといくぞ!」

「はい、火炎坊!」

「火遁の術」


 オキヌは火炎坊という火を吹く大男に化けると火で燃え尽くす。

 俺も負けじと火遁の術を繰り出す。

 忍刀を抜き手当たり次第斬っていく。

 それでもモンスターが減る気配がない!

 どんどん倒しながら進んでいくが奥から奥からと出て来る。


「オキヌ大丈夫か!」

「はい!キリがないですね」

「だがとりあえずやれるとこまでやるぞ」

「はい!」

 オキヌは鉄扇で潰し、斬って倒して行く。俺もデカブツを斬り裂き倒して火炎玉を投げる。

 1時間ほど戦っていると冒険者が1人また1人と増えている。

Non posso lasciare お前たちだけにla decisione solo 任せられないさa voi ragazzi」

「なんていってるかわからんが助かる!」


 ようやく収まってきたのはそれから1時間ほどだった。

「ようやくだな」

「はい!疲れました」

「そうだな」

 1階層はなんとかなったが、まだ這い出て来るモンスターがいるので倒している。

 火事場泥棒のように魔石だけ集めているものもいるが。それらは俺たちのものだから後で分配されるぞ?

Sta arrivando!来るぞ!

「こいつはでかいな」 

 そこに出てきたのはサイクロプスだ、しかもデカい。

 目を狙い忍刀で刺すとうずくまり痛がっている。

Andare!行けー!

「火遁の術」

「風雅!」

 俺の火遁の術をオキヌが風雅で舞い上がらせる。

『ぐおおぉぉぉぉ!』

 と倒れたところを全員で総攻撃すると消えていった。

L'ho fatto!やったぞ!

「よし!」

 後は片付けだけだな!

Ben fatto giapponeseよくやったな日本人

「いぇーい!」

「ははは!」

 どこでも笑い方は一緒なんだな!


 そうして外に出てみるとダンジョンの門は青くなっていた。

「これで大丈夫だろう」

「そうですか。では日本へ」

 プライベートジェットの機長さんだ。 

 待っててくれたみたいだな。

「アァ。頼む」

 肩を叩かれ、

Grazieありがとう

「あはは、どういたしまして」

 握手を交わしプライベートジェットまで車で走る。


 プライベートジェットの中でビールを飲む。オキヌはジュースだ。


「イタリアもダンジョンはあまり変わり映えしなかったな」

「そうですね?それっぽいのが出てきても良かったのですが」

「まぁ、下の階層にいるのかもな」

「でも流石にクタクタだよ」

「そうですね」

“ヴヴッ”

「よくやってくれた」

「はは、なかなか骨が折れたよ」

「みたいだな、でも冒険者が一緒に戦うなんてな」

「それだけ切羽詰まってたんじゃないか?」

「そうかもな、また帰ってきたら夕食でも」

「わかったよ」

「では。ありがとう」

 と切れた。

 まぁ、桐生院だしな。

 

 さてと、日本に着くまで休むか!

 とごろ寝をすると白ギツネに変わったオキヌが近くで丸くなる。撫でているとなんだか眠くなってきてぐっすり寝てしまった。


 ついたら起こされて桐生院が出迎えてくれる。

「やぁ。おはよう。こっちでは夜だよ」

「あはは。すっかり寝てしまっていたよ」

「君らしいよ。私も画像で見たがあれは凄いな!君はなんなんだ?」

「俺は俺だ、まぁ職業が忍者になってるけどな」

「そうか。忍者か」

「ほかにも職業を、もらったやつはいないのか?」

「聞いたことないな」

「そうか」

「凄いな、錬金術も使えて忍者なんて」

「まぁな、そういうスキルが手に入っただけだ。運がいいんだろう」

「そうだな、そういう友達を見つけた俺も強運だ」

「おまえはいつでも強運だよ」

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