第20話 桐生院グループ


「さぁ、飲んでくれ」

「いや、寝起きの駆けつけ一杯はキツいぞ」

「あはは!そうか!俺はブラボーな気分だ」

「聞いたことない言葉だよ」

「あははは!そうだね!今作った!」

 超ご機嫌だな。

「そんなにイタリアが助かって嬉しいのか?」

「違うさ!友達の秘密が聞けたからさ」

「別に秘密にしてたわけじゃないぞ?」

「それでも俺は嬉しいんだ!この世界中ただ1人、職業を持ってるなんてな」

「いやそれは違う三人だ」

「えっ?」

「まぁ話すかな」


 そしてこれまでのことを桐生院に話した。

「なんてことだ?!異世界!」

「そうなんだよ、だから俺を含めて三人は知っているよ」

「勇者と魔法剣士かい!そうか!あの2人の少年少女か」

「お前はどこまで俺のことを知ってんだよ!」

 俺のプライベートは?

「いや、君は自分が思ってるほど用心してないからね」

「…はぁ、あいつらは巻き込むなよ」

「分かってるさ!君よりも弱いからね」

 そこまで知ってるのか?

「あいつらはそれでも戦ってるんだ、だからだよ」

「そうか、君も心配してるんだね」

「そうだ。だからな」

「分かったさ!彼女達には何もしないと誓おう」

「よろしくな」

「あはは、でも聖剣が無いと勇者のスキルが使えないのは痛いね」

「だろ?それに魔法剣士はお転婆ときてる」

「そうか、だから写真と違ってイケメンになってるんだな」

 と俺の昔の写真を取り出す。太ってて暗い俺の人生の写真だ。

「どこからそれを!って前の会社のか」

「辛い思いをしたんだね」

「まぁ。それだけ強くなれたけどな!」

 と話は尽きないままその日は別れた。



 耳元で声がする。

「ケント。起きてケント」

「ん?おう、オキヌ?どうした?」

「物音がする」

「なに?ほんとだ」

 部屋を出て明かりをつけると、倒れている桐生院がいた!

「ヒール!だれがこんなことを!ヒール」

 服を脱がせると防弾チョッキを着ていたようだ。それを脱がす。

「すごいケント!傷が治ってく」

「しょうがない!俺が倒れたらベッドに寝かせてくれ!」

「分かった!」

 俺の最高の回復魔法だ。

「フルケア」

 そして俺の意識も飛んだ。


 どこだここは?あ、桐生院は大丈夫だったかな?と言うか誰だよあんなことしたのは!

「ふあ!桐生院は!」

「あはは!元気だよー」

「はぁ、お前なぁ」

「さすがに助からないと思って白井の家に来たんだけど」

「なにしてんだよ!死ぬとこだったぞ!」

「悪かった、あんな強硬手段に出て来るとは思わなかったんだ」

「相手は?」

「竹内グループ。ライバル会社だね」

「そこまで分かってるなら」

「そう、これからはやり返すばんだ」

「ボディーガードはいるか?」

「欲しいねぇ!」

 俺たちはスーツに着替えて桐生院グループ本社に向かう。



「見ろ!この眺めを!これが欲しかったんだよ!」

 社長室からの眺めを堪能している太った男。

「社長まだやることが」

 秘書がそういうと、

「そうか記者会見がまだだったな」

「はい!手配はもうしてあります」

「よし向かうぞ」

 意気揚々と記者会見会場に足を運ぶ竹内。


「さぁきますよ」

 信号を受け取った桐生院が言うと、

「いやぁ、またせ、た、え?」

「そうです、私を殺そうとした竹内グループの竹内力氏ご本人の登場です」

 すごい数のシャッターが切られる。

「お、お前は確かに殺したはずじゃ?」

「私は不死身だ!そして竹内グループとも縁を切ることにしました」

「ま、待ってくれ、それは」

「いや、ぶっちゃけ逮捕だから」

 桐生院は一番冷たい口調で一言言った。

 警察が突入してくると竹内は連行されていった。

 そして殺気がまだあるな。


「銃を下ろしてもらおうか?」

「…なぜ?」

「ボディーガードなんでね」

 背後から首にダガーがつけられているので少しでも動けば死ぬ。

「わ、わかっウギャアァァァァァ」

 動こうとしたから足の腱を斬った。

「もういないかな?僕を殺そうとする奴は」

「みたいですね」

 警察に連れて行かれたヒットマンは顔もバレたしもう裏の世界じゃ無理だろ。

「ご苦労様!」

「大したことない」

“パン”と片手を合わせた。


 反桐生院グループは今後肩身の狭い思いをすることだろうな。

 竹内グループはそのまま桐生院グループが買収・吸収した。

 ヒットマンは竹内を狙っていたが桐生院にターゲットを変えたらしい。堀川グループと言う所らしいがそことは縁を切ったそうだ。


「いやぁ、我ながら惚れ惚れするね」

「悪趣味だな、録画しているなんて」

「かっこいいだろ?俺達」

「あはは、殺しても死なないわな」

「死ぬ時は死ぬさ!だから君みたいな友人が必要なんじゃないか!」

「さいですか」

 こいつは死なないなと思うし死なせないかな?

 というか桐生院をガードしていた奴は殺されてしまったらしい。それなのに家まできた桐生院は凄いよ。


 運のいい奴はやっぱり違うな

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