第43話 間話

 ケント40歳の誕生日。

「ハッピーバースデー」

「いやありがたいね、こんなにしてもらえて」

 ケーキに料理がずらりと並んでいる。

「この日をどれだけ待ち侘びたか!」

「そうよ!さっさと飲みなさいよ!」

「えー。四十歳の誕生日なんだからあとででいいだろ?」

「まぁそれもそうね!」

「そう言うことならプレゼントっす」

「はい!私からは今流行りの服セット」

「は?似合わないから!今流行りなんて!」

「二十歳になるんだからもらっときなさいよ!」

「あ、あぁ、そうだったな」

 服なんて着れればいいだろ!?

「僕からはこれ!シャドウのパーカーだよ」

「いらねー!」

「な!なんでさ!」

「シャドウって書いてあんじゃん」

「いいだろ!これ特注なんだから」

「一応貰っとくよ、ありがとうクオン」

「ケッ」


「私からは時計です」

「おおっ!かっこいいな!」

「でしょ?すっごい悩んだんです」

 カッコいい多機能腕時計だ。

「うちらからは鉄板焼きですわ!全部持ってるケントはんにあげるものなんてないんで」

「いや気持ちだけで嬉しいよ!」

「俺っちはじゃん!レベルドロップ」

「えー!これ以上はいいよ!」

「もし戻ってレベルまで戻ったら大変だろ?」

「そ、そうか!それは考えてなかった」

「我は何もないがいいか?」

「いいよ、祝ってくれるだけで」

「ありがとう」

「あはは!」

「私は甘いものー」

「オキヌありがとな」

「はい!」

 菓子折りの箱が可愛らしいな。

「みんなありがとな」

「「「「「「おめでとう」」」」」」


「私を忘れてもらっては困るよ」

「桐生院!なんでここに?」

「ヤマトが来たいといってね」

「ケントさんお誕生日おめでとうございます」

「う、あ、ありがとう」

 涙ぐんでしまった。

「あの、これ書いたの」

「これ俺か!すごいじょうずだな!」

「えへへ」

「ありがとな」

「はい!」


「そして俺からは車だ!」

「もしかして」

「魔石エネルギーの車だよ」

「おおっ!」

「もう駐車場に置いてあるから見てくるといい」

「うおー」

 見に行くとSUV車だな!黒でカッコいい!

「ありがとう桐生院!」

「どういたしまして!」


 そしてみんなで飲んで騒いで楽しんだ。

「さあそろそろだな」

「おっ!飲む気になったのか!」

「わくわくするっすね」

「ただ若返るだけだろ?」

「そうだからいいんじゃないですか!」


「じゃあ飲むぞ」

「「「「はい」」」」

 俺は一気に飲んだ。

「プハッ」

「あれ?なにもおおぉぉぉぉ!」

 体が軋み筋肉が破裂するような痛みが続く。

「グアッぅァァァァア」

「どうしましょう!」

「とりあえずベッドに」

「ウガァァァァァァア」

 すごい痛さでのたうち回る。

 そして気を失った。



「ん?ここは俺の部屋か」

「起きたか」

「おう魔王」

「大丈夫か?なかなか壮絶だったぞ?」

「まじか。ってか2度と飲まないわ」

「それよりすごいぞ」

「何が?」

「若返るとそんなに幼いのだな」

「えっ?二十歳だろ?」

「たぶんそうだが」

「起きた!?」

 皆が入ってくる。

「うお。美少年」

「ケント鏡見た?」

「いや?」

「それ本当にケント?」

 なんだよ俺だろ?

 鏡を見ると二十年前の俺がいた。髪は長くなってるけどな。


「おぉ、クオンと競うくらいだな」

「そんなわけないだろ」

「あれだ、無自覚だな」

「そういえばケント最初太ってたからな」

「ああ、そういえばそうだね」

「肌も綺麗」

「あーしと付き合ってください」

「まっ街なさいよ私と付き合ってください」

 エリナと鈴木さんが言ってくるが。

「ごめんなさい、まだ実感がわかなくてな。自分が二十歳になるなんてさ」

「じゃあ友達からだね」

「そ、そうね!


 二十歳になっても変わらないと思うんだがなぁ。

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る