第7話 プロジェクト
「緊張しているみたいだね」
「そりゃ、こんなことになるなんて夢にも思いませんでしたよ」
「いやぁ、君に出会えてよかったよ、じゃなきゃあの場で死んでたかもしれないからね」
「あはは、あれは」
「私は命を狙われているからよろしく頼むよ」
「は、はい」
この人は一つネジが外れているのかもな。
「それでは出発しよう」
「はい」
「と言っても最近狙われだしたのだがね」
「え?じゃあまだわかってないんですか?」
「それが口を割らないから困ってるんだよ」
さっさとしゃべれっつーの!!
「さて、これから海外に向かう。大丈夫パスポートは取って来てあるからね?」
「え?どこにしまったかわからなくなったパスポートを?」
俺の家勝手に荒らされてる?
「君の家は今日から僕と一緒で無いと思ってくれ」
「ええー!」
「大丈夫。僕も休みを取るからその時は休みだ」
えらいとこに足を踏み込んでしまった!さっさと次の仕事見つけないとな!
自家用ジェットに乗り込んで海外へ。
「さぁ、ここでは寛いでくれたまえ」
「はあ、って寛げないっすよ!」
「おっ!地が出て来たね、いいよ!」
「大きなお世話です」
「あはは、ちゃんと話せてよかったよ」
「本当にもう」
なんだよ、この社長は!
さてとあとはどうやって社長を守るかだなぁ。
「社長は今からどこへ?」
「アメリカだよ」
「銃社会じゃ無いですか!」
「だから君が一番なんだよ」
「はぁ、って言うかこの機体下がってません?」
「そういえば」
前を見ると機長が撃たれていた。
機長を撃ったと思われる相手はすでに自殺していた。
「くっそ!とりあえず陰の術!」
機長の影を動かして上昇させると、機長の影の記憶を頼りにジェットを動かす。
「アンビリーバボーだね!そんなこともできるのかい?」
「死にかけといて何言ってんですか!」
「くっそ、なんとか持ってくれよ!」
俺の魔力との勝負だな。
なんとか空港に着陸することができたが命がいくつあっても足りないじゃ無いか!
「いやぁ。助かったよ!流石だね白井君!」
「本当に危なかったんですからね」
車に乗り込むと今度は運転手かよ。
「死にたくなかったらちゃんと前見て運転しろ」
ダガーを首につけて言う。
「な、何故わかった!くそっ!」
殺気がバリバリに出てんだよ!
「いいね!いいね!すごいよ!」
「うるさいっすよ!こんだけ狙われといて何したんですか?」
「今うちが見つけた物を取りたい奴がいるのさ」
「はぁ、おら!ちゃんと前見てないと斬るぞ」
「はひぃー!」
「ったく!」
着いたビルに入るとまた殺気がするが、来てからでいいだろう。
「これから発表するのは、ダンジョンです!」
「は?」
「うちの国にダンジョンがあり、クリーンなエネルギーを生み出す一大産業として」
やべ!“パァン”
「おや、アリが一匹混ざってましたね、では説明を続けます」
ヤベェヤベェ、聴き入ってて反応が遅かったからうっかり殺しちゃった。まぁ、桐生院が無事ならいいか。
「魔石エネルギーを発表します!」
魔石?まさかダンジョンってあのダンジョンか?異世界の次はダンジョンなんて、
「こちらが魔石になります」
桐生院は小さな魔石をジェラルミンケースから取り出すと機械にセットした。
「こんな小さな魔石でも何の問題もなく動きますし地球に優しいクリーンなエネルギーです」
“パチパチパチパチ”
「そしてダンジョンの見つかってる場所は今の所三箇所あります。日本、イタリア、そしてアメリカです」
“ウオオオオォォォォ!!”
「そしてこれからはギルドで管理し冒険者としてダンジョンに潜る者を募っていきたいと思っています」
画面にはギルドから冒険者に冒険者からギルドへと還元されている図が流れている。
「もちろんダンジョンの中は危険ですので私達が掘り起こしたボードという物に触っていただき特殊な力を得てもらいます。そうして冒険者は魔石と交換に富を手にし、その魔石をエネルギーに換える」
どれくらいの富?それよりそれって搾取?
「共存です」
共存ときたかぁ。
まぁ、そのボードでどんなもんが出るかが変わるよな。
「今も何人かのチームに分かれて私の部下達が魔石を取っているところです。人間離れしたこの力こそ、ボードがもたらすものです」
なーんだ、チームが動いてるなら問題ないな。
画面には巨大な蟻を倒す冒険者?が流れている。
ふーん、これが巨万の富を得る手段かぁ。
「これを世界中でやることこそがこのダンジョンプロジェクトです」
ほーん、ゲームのダンジョンだと若返りの薬やら万能薬やらが出てくるけどな。
「もちろんダンジョンから産出されたものは持ち帰った冒険者に所持権を与えるつもりです。ですがギルドを一度通してもらいます」
つまりは管理されるってことね。
「さぁ、ダンジョンプロジェクトスタートです」
“ワァァァァァァ”
歓声が上がるが結局はダンジョンからとって来たものは冒険者にしてみれば価値が無く、エネルギーとして桐生院が総取りするってことか。
まぁ、もうプロジェクトとしてスタートしてしまった訳だから止めようがないわな。
さぁ、俺の仕事もおしまいかな?
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