第4話 クリーン


「あーまじ、やなんだけど!」

「うるさいなぁ!しょうがないだろ!」

 あれから1週間、レベルも上がった俺たちはジャイアンボアを倒しては血抜きをしたので担いでギルドに持ち込むところだ。

「おう、ケント今日はジャイアンボアか」

「あぁ、査定よろしく」

「アァ。汚れた」

 エリナは服が汚れたことが嫌だったらしい。

「金貨6枚だな。それと、クリーン」

 エリナの汚れた服も顔についた泥も綺麗になる。

「えっなにそれ?」

「へ?生活魔法だけど?」

「どこで覚えられるの?」

「普通に魔法屋に売ってるよ?」

 エリナの目つきが変わった。

「いくよケント!」

「はいはい」


 魔法屋に着くとすぐ中に入る。本の匂いだ。本の匂いは好きだな。

「クリーンを使える本ください!」

 魔法屋のお婆さんにくってかかるなよ。

「おや、生活魔法かね。銀貨一枚だよ」

「はい!」

「あ、俺も買う」

「あら、あんたもかね」

「ははは、まだこの世界に馴染んでないので」

「異世界人かい?」

「そうなりますね」

 別に隠すことはない。

「そうかい、じゃあこれなんてどうだい?風の初級魔法さ」

「値段は?」

「銀貨3枚」

「買った!」

 上手く載せられてる様だがエリカも魔法を覚えないとな。

「読んだら消えるけどちゃんと覚えた証だからね」

「はい!」

 ともう読んでるし、

“パァァァァ”と光って覚えたらしい。

そうやって風魔法も覚えたらしいので外で実践だ。

「ウインドカッター」

「おおー!」

 風の刃が草原を駆け抜けて行く。

「やったぜ!」

「おぉ。戦力だな」

 俺も読んでみると何で買いてあるかわからないのに頭の中に入って来る。

 生活魔法は五つ、トーチ、アクア、ホール、ブリーズ、クリーンだ。

 トーチ…火をつける

 アクア…飲み水を出す

 ホール…穴を開ける

 ブリーズ…風を起こす

 クリーン…洗浄する

 これだけだけ覚えててもいいな!

 

 今日は1人金貨3枚の稼ぎだ。

 こうやって地道にやって行くしかないな。

「ケント!悪いけどあーし抜けるから!」

「へ?」

「あーしも、独り立ち?て言うかチームに入れてもらったからさ」

 みると女だらけのチームみたいだな。

「あ、あぁ。わかったよ、がんばれよ!」

「ケントもね!」

 と言うわけで俺1人になってしまった。

 流石に不細工なおっさんを入れてくれるチームもないだろうな。

「しょーがない!1人でレベル上げだな!」


 それから一か月、俺は死に物狂いでレベルを上げていた。

「こっちだ!」

“ガッ”

「ヒヒーン」

 よし、今日は馬肉鍋だな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 白井 健人シロイケント  37歳

 レベル29 職業 忍者

 スキル 火遁の術 中級短剣術 鑑定 罠設置 生活魔法

 ユニーク 奇想天外

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 今取ったのはバイコーンと言う二本の角を持つ馬だ。罠を設置したところに誘導しただけ、トドメを刺して血抜きをする。皮を剥いで内臓はホールで穴を開けて捨てる。

 絶賛山籠り中だが何か?

 金も使わなくていいし、夜寝るとこさえ確保できればなんとかなるもんだ。


「バイコーン美味っ!」

 調味料なんかは街で買って来たのを使ってる。

 腹も膨れたしさぁ寝るかと思ったら殺気が飛んできて木の上に飛び乗るとオークかよ!

 オークが俺の食べ残しを食べているので今のうちに後ろから首を掻っ切る。

「人のメシを食うからだよ!」

 オークも血抜きして皮を剥ぎ肉は美味しくいただく。ほんとここに来てからワイルドになったよ。出っ張ってた腹も引っ込み痩せてきたのもあるが体が軽い。


 おっレベルが三十に上がったな。スキル忍法を覚えた様だな。

 忍法…奇想天外な技や術を使うことができる。

 ってなんだ?なら影潜りの術!

おおっ!影に潜れたのか?少し体を出すと地面だすごいなこれ?それから時間を忘れて忍法を、色々と考えては試した。

 流石に遊び…じゃなくて忍法の使いすぎで今日は街に戻るか。

 いままで狩った毛皮などを持って買取場に向かう。

「これ買い取って欲しいのだが?」

「おう!何枚あるんだ?ってそれよりケントか?」

「そうだけど?」

「あはは!まじかよ!イケメンになるもんだな!」

「冗談はよして買い取ってくれるんだろ?」

「あぁ、これはバイコーンか、こっちはオーク、お前何日外にいたんだ?」

「一ヶ月くらいかな?ほら早く早く」

「わかったよ」

 

 買取金額は金貨56枚になった。まぁまぁだろ。あとは防具屋に行って防具を買い替える。流石にブカブカだからだ。防具屋の親父にも笑われたな。


 そして武器屋、武器の短剣も綺麗に使ってたから買い取ってもらいいい武器に変える。一本で金貨10枚の黒鉄のダガーを二つだ。クロスベルトをつけてもらった。

 服もブカブカなので買い替えると言うかボロボロだしな。

 ほとんど黒系で揃えてしまったが、忍者だからいいだろう。外套もかったので、これで誰かわからないだろうな。

 新品は高いので古着だ。

 最後にクリーンをかける。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る