第2話 王宮


「こちらが勇者さまですね」

「ではあの人達は?」

「さぁ?巻き込まれてしまったんじゃないですか?」

 巻き込まれてしまいました。

「そんな。悪いことをしてしまったわね」

「姫様が気に止むことはありません」

 大いに気に病んで欲しいところだが、

「おい!」

 爺やが呼ぶと兵士がこちらに来る。ってか聞こえてるからな!

「これをくれてやるからありがたく思えよ」

「は?あーしらを舐めてるのか?おい!」

「俺らは巻き込まれたんだからそれなりの処置はあるんだろ?」

「だからこれだと言ってる、金貨で50枚ある。平凡な暮らしをしてれば三ヶ月は持つだろ」

「っざけんなこの野郎」

 エリナちゃんのパンチが、止められる?

「は?お前死にたいのか?」

 兵士がちょっと怒っている。いやこっちが起こりたいんだが!

「ひ、姫様」

 姫様と言われる人がやって来て頭を下げる。

「間違いとはいえ召喚してしまい申し訳ありません」

「じゃあ、あーしらを返せよ!」

「それもできません、魔王を倒さないことには帰還の魔法陣が手に入らないのです」

「は?じゃあ、あーしらは?」

「誠に申し訳ないですがこちらに滞在してもらうしかありません」

「わかりました、だが金貨50枚なんて端金過ぎないでしょうか?」

「そうですね、まずは王宮にてもう一度謝罪と今後のことを話しましょう」

 物分かりのいいお姫様で良かった。

 兵士も緊張してるし。

 で、その勇者は、イケメンの王子様だなぁ。

「あ、あいつあーし知ってるわ」

「え、なに、知り合い?」

「ゲスで有名なスケコマシ野郎でマサキって言うんだけど」

「えぇー。それが勇者かよ」

「はぁ、でも頼るしかないのかよ」

 ヘラヘラしてる勇者は爺やの肩を叩いている。

「俺が何とかしてやっからさ!」

 いや、俺はお前には無理な気がして来た。

「それでは行きましょう」

 ついて行くしかない俺たちは王宮までついて行った。


「それでは勇者よ、そなたにはこの者たちと一緒に魔王討伐を行なってもらう」

「賢者のアースです」

「魔法使いのメルルです」

「戦士のエドガーだ」

「剣士のアルメダよ」

 普通に賢者なんかいるんだなぁと思いながら見ていると、

「そしてこの鎧と剣を」

 金ピカの勇者って感じの鎧を着させられてる。

「おお、似合うではないか!剣を抜きこちらへ」

「お、おう」

 勇者マサキは王に剣を渡すと騎士の誓いを立てて旅立っていった。


「んで俺らは?」

「巻き込まれた者だな?」

 やっと目が合った。

「あーしらには何をくれるのさ?」

「そうだな、金貨100枚づつ渡そう」

「…半年間か」

 それでどうにかしろと言うことだろう。

「あーしらはまきこまれ!なんだよ」

 俺はエリナの裾を掴むと、

「分かりました、それとこのエリナには剣を私には短剣を2つ頂けないでしょうか?」

「ふん、それくらいならいいだろう!渡してやれ」

「何で止めるんだよ?」

「あれ以上は出さない気だ。だから武器を貰う」

 あの目はそう言う目だった。俺がよく見る目、そう課長の目にそっくりだったのだ。

「それではな」

「はいありがとうございました」

 王宮を出るとマジック財布を見る。

 マジックバッグは貴重だがこのマジック財布というか巾着だな。は割とあるらしく金貨100枚はこの中に入っている。


「てかこれからどうするわけ?」

「それは、冒険者ギルドに行ってみようと思う」

「あーしも?」

「できれば来たほうがいいと思うよ」

「しゃーないか」

 エリナもついて来てくれる様だ。

 冒険者ギルドに行く前に防具を買っておく。

「皮の胸当てでいいか」

「そっちは?」

「あーしもこれでいいかな」

 胸に当て装備をしている。

「とりあえず2人分で」

「金貨7枚になります」

「エリナ、金貨」

「えー!それくらい奢ってくれてもよくない?」

「は?俺も持ち金一緒だろ!」

「ちっ!」

 渋々金貨を出すが金貨3枚しか出さねえし。あとの4枚は俺かよ!

「はぁ、別れて行動してもいいんだぞ?」

「は?ちゃんと後で払うし」

 この後冒険者ギルドに行く。

 おぉ、よく見る光景だと思いながら受付に行き、冒険者になる。

 あれ?テンプレは…起きなかったな。

 普通にカードをもらえて説明を受けると後は宿屋の場所を聞く。

 あっけなく宿屋に着いて泊まることになった。一応一月分で金貨10枚だったのでそれを払った。

「で?あんたこれからどうするわけ?」

「何でここにエリナがいるんだよ?」

 ここは俺の部屋だ。

「しょうがないでしょ!あーしだって来たくて来てないっつーの!」

「これからはレベルを上げるしかないかな?」

「は?あのモンスターみたいなのを倒して?」

「そうだよ、それしか道がないからね」

「…明日は何時?」

「そうだね、朝ごはんたべてから行動しようか」

 エリナも一緒に行動か、

「わかった、あとはい!銀貨50枚」

「おう!返ってこないと思ってたよ」

「なら返せ!」

「やだね!てか俺のだからな!」

「ふん!」

 と言って部屋から出て行った。

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