第18話 姿焼き
はっとした瞬間、海鮮焼き、とれたて地球直産(!)焦げた匂いを放つ白い煙が立ち上る煙の中にある看板文字が読めた。
その看板の下ゆっくりと視線をおとして見ると「カニ、ホタテ、いっイカー! 」
「イカ…」
「焼いて、る」
焼いてる屋台のおじさんの手元を凝視しながら近づく僕らは興奮していた。
黒い煙がその姿の間から立ち上がって登る様子は学校の図書室の記録媒体で見たままだった!僕とスックは興奮度MAXで吸い寄せられるように数人並ぶ列の後ろに並んだ.
ジューと焼かれるイカやエビやらから水分が落ちてまた煙が上がる。
その上に茶色い液体を吸った絵筆のようなもので塗り、またくるくると焼いている。
「イカの姿焼き」と僕。
「
「あったんだ!本当に‼目の前で焼かれてるッ‼現実に‼ 」
僕らは興奮気味に顔を見合わて叫びたい気持ちを抑えつつ真っ赤な顔と彼のオレンジな姿で声を抑えて同時に言った。
「スックにそっくり怖い! 」
「俺にそっくり怖い! 」
すぐ目の前のお客さんがおじさんに会計を済ませながら僕らに振り向いた。
僕らは赤い顔のまま苦笑いをし、自分たちの番になったイカ焼き購入に心臓の鼓動がさらに高鳴った。
僕とスックは購入者最前列で直立不動でおじさんの顔を凝視したのち、顔はおじさんの方向、目線は一瞬、まさに今焼かれてるイカへ、そしてまたおじさんを凝視し、
「ィ、イカ焼きひとつ」
顔が真っ赤の直立不動の妙な客に店のおじさんは僕とスックを交互に見て
「あ…」とほほ笑みながら手早く焼きたて(!)のイカを容器に詰めながら僕らに、
「あんたらカイヤナイト星系からだろ? 」と笑顔で手渡してくれた。さらにおじさんが提示したカードに僕らは指にしている指紋指輪認証で会計を済ましてお礼いい。屋台の脇のスペースで僕らは神妙にかつ興奮気味に最初の一口を食べた。
「熱い、辛い、なんだか噛み切れない。でもうまい‼ 」僕は噛み切れない歯ごたえのあるイカを口いっぱいにモグモグしながらスックに姿焼きを差し出した。スックは真っ赤な顔をしてエイッといった感じの最初の一口を食べた。スックの顎は意外に強力な様なので僕よりすんなり最初の一口を噛み切った。姿的には頭の三角の位置部分だ。
「うん。うまいよ。食感はなんだか想像できたんだ。イヤだけど。予想通りだった。でもこのソースがすごくいい。もっとくれ」
僕がイカの姿焼きにささっている棒をそのまま持っていてやると、今度は足の部分にかじりついていた。
「うん。足のほうが柔らかくて食感がいい。これも想像通りでイヤなんだけど」
「やっぱりソースが決めてだな。ところどころ焼きすぎてる場所があっても全体的な食感と味で食べ続けれるね」と僕も足の部分を食べながら答えた。
「この見た目のインパクトで味なんてしないんじゃないかと一瞬思ったけど、全然食べれるね。僕らのメンタルも地球人系よりになってきたね」と僕は続けた。
「この場の雰囲気によるところも大きいと思う」とスック。その後僕らは同時に
「みんなも同じもの食べてる!」と言った。
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