第43話 帰路
今年は短期間で1位確定ポイントが取れたので前半一週間で僕らはエントリーを切り上げた。
と言っても、今日の今日ポイント検出した残りは全て探査してデータを送って。簡易レポートを送り復路帰還の希望の連絡を本部にした。少なくとも後数日は参加していろと言われるかと思ったが以外にあっさり承諾された。
復路はほぼ同じルートで帰るただ4回生からのメインコンテスト、マリウス渓谷レースがある。
あれこれ考えながら復路の航路設定を始めた。和やかにスックと新学期の事やら残りの夏休みの話しをしたりしていた。
復路航路ではハマヤから誕生日祝いにもらったペンとデザインメモ帳で往路のグルメメモを描いた。デザイン科はその性質状、古典材質の鉛筆と言われるものやペンで線描画の授業があるからアナログ描きに慣れていて。話しのついでにメモとかをアナログ書きしている彼女を見るにつけなんか楽しそうなのが気になっていた。ビエクル科の生徒、特に男子生徒は基本アナログ書きに縁がない生活だ。そんな目線に気づいたハマヤがやってみる?とこれをくれたのだった。最近はグルメメモの横にイラストを描くようになったがこれが思いの外楽しい。いい気分転換にもなり。僕のメモ帳のページがどんどん描画で埋まっていった。
スックは初めてメモ書きをする僕を見て、
「何だそれ? 」という目線だ。
惑星オンブレに残りの夏休みにバケーションに行った。
ここは学園保有管理のコハンという娯楽施設がある。
赤色矮星の潮汐ロックにより、公転周期と自転周期が同じなため娯楽施設があるエリアのみ、一面パープル、ピンク、レッドそれらが全て混ざりゴールドピンクの世界が広がる。
その
ハントコンテストから帰ったら僕とクマデで一人乗りのポッドバイクをオンブレで楽しんだ。
惑星オンブレには3回生の夏休みくらいから出入りが許される謎のルールがある。
実際、上級生と初回生がこの娯楽施設で仲良く…というのは初めて降り立って分かった。
初回生達とはまぁ学園内のバブルハウスで交流を深めるよなと思える納得のエリアだからだ。
ここには人工でない大気と重力が存在し、一見海かと思う大きな湖と、それを覆うような空が広がる。
これらも全てがゴールドピンクに染まっている。
この
「いいものがある」とニヤっと笑うクマデの提案は、イスパハンの屋号が記されてある輸送船にポッドバイクを乗せ、そのままオンブレに入港することだった。
入港して早速ポッドバイクを乗りコハンに到着すると、珍しい外観の開発品のこのバイクはすぐ上級生達の目に止まりあっという間に彼らに囲まれた。
この時、一瞬新参者が生意気にポッドバイク持ち込みやがってな感じになるのかと内心ヒヤリとした。
この手の乗り物に群がるのは当然同じ科の先輩ばかりが多く、落ち着いて彼らを見ると名前は知らないが顔は見覚えがある5、6回生もいた。みんな話しかけてくるトーンが明るく友好的だった。
このバイクにも小さく屋号が記してあったのも良かった。(昨晩急遽、クマデが刻印した。)これが名刺代わりになり、整備科のクマデとその連れのビエクルのシーグラス、3回生組。としてすんなり受け入れられた。
この時期はそれぞれの学年の年末課外授業のコンテストレースや試合後であり、みんなその話題で盛り上がっていて、普段より活気ありみんな陽気でご機嫌だという事を後でメイグリーンから聞いた。
コハンは湖の前に建てられ数種類のウォータースポーツとスカイスポーツが楽しめる。
3塔の建物と後ろに2塔その間に大きな広間みたいな所がある※
僕らは、建物に入らず、まず湖の前にたむろするメイグリーン達を見つけた。
僕は嬉しくなって
「メイ!」と大声で彼の名を呼んだ。
「お!来たな!シー」彼も嬉しそうに答えた。
「紹介するよ。こっちは3回生のシーグラスと整備科のクマデだ」
「天才シーグラスとイスパハンの所のクマデか!」話しは良く聞いてると手を軽くあげた。
天才ってと僕らは顔を見合わせた。
どっちもアルコールでも飲んでるのかと思うほどの赤ら顔で持ってる瓶もそれっぽい。
後で聞いたら赤ら顔は最上級生と5回生のメイは試合直後で紫外線ヤケという事が分かった。特に惑星リトンの海の3大決戦の試合直後の最上級生のキウイはハイになっている。
みんな興奮気味の赤ら顔もこのピンクと金色のような光の中ではあまり目立っていない。これが日中の学園の建物の中だったらもっと日焼けの酷さが分かったと思う。
「シーグラス」と後ろ頭に声をかけられた。振り返るとホワイトモーブで
「今日は色々話しかけられるぞウワサのお前の登場と…アレだ」と親指で差した方向を見ると
僕たちの乗って来たポッドバイクに黒山の人だかりが出来た。よく見るとつなぎを着てない見慣れた顔ばかりで全員私服のビエクルの先輩とブリックベージュの姿もあった。
「アレ!すごいな。後で乗せてくれよ…」と僕たちに話しかけながら、ブリックがこちらに歩いて来た。
「あれ?スックは? 」
「お前の姉さんの所で美白治療してる」とクマデが挨拶しながら答えた。
「ピーコックブルーも後から来るらしい」
「やあメイ」とブリックはメイにも挨拶した。
湖で早速、ポッドバイクを乗りたかったが、クマデの案で
「先に上級生に数時間乗ってもらって、その後、湖仕様のカスタムしてゆっくり乗ろう。どの道、3回生が変わったバイクを最初からここで乗っていたら目を引くし楽しめないよ」
クマデは集まった先輩達の元へ行き、シーグラスにこっちに来るように手招きをした。
2人で最初に座席に座った先輩達に簡単な操作方法と緊急座席ボタンを押したときの対処方法を教えた。
小さいながらも水、陸。地上10メートルほどの高度でも飛べるこの乗り物に
一人10分から20分程交代で乗り、10人くらいの先輩達に3時間つきっきりだった。
ずっとポッドバイクにかかり切りだった僕らに、
「メイ達が呼んでるぞ」と気を効かせてくれた先輩がいた。
その一言をきっかけに、他の先輩達がそれぞれ挨拶をしてみんな各々他の場所へ移動した。
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