第20話 赤い残像

 ゼラに出会ってゲートハントコンテスト途中で僕らはぱっと見、油売ってる形に見えた以上、屋台探索は早々と切り上げるざるおえなかった。

ゼラが立ち去った先を目線で追う形で出口を探してると、出口横のカウンターも持ち帰り注文受付所があった。ここはここから近隣に2時間以内圏に滞在、もしくは航行中の船舶にデリバリーしてくれる。その注文受付や配達のアルバイトの若者やロボットは忙しく動き回っていた。

 実際料理を作っている出店の主人達より忙しくしていて、カウンター前では並びはしなかったものの、なかなか人が捕まらない。捕まらないので注文出来ない。その間もスックがめぼしい料理や目新しいものをチェックしに飛びまわった。注文受付の応対が数分後に自分の番までになる頃、僕らの注文伝票に3品目増えていた。スックの選んだものだ。どんなものだろう?と思いながら伝票データを受付でスキャンしてもらい。僕らの小型外洋船フネ行き先とおおよそのルートのデータも提示した。


 ここは出前もしてくれるシステムがあり、つまりはこの界隈を跳ぶ時は料理を配達してくれる。屋台のウォーキングエリアを退場した後も追加注文した料理でゲートハントコンテスト期間中の食事の半分はこの屋台フードで楽しめるというのを去年僕らは気づいた。コンテスト自体の1年計画で立てるがこの配達システムが木星付近まで今年は拡大したことは先月知って、僕らはテンションが爆上がりだった。


 ただ同じ他の参加者には内緒にしていた。探索ルートがかぶったり、準備段階でコンテスト計画にお互いの干渉を避けたかった。コンテストは個人戦だし、小形外洋船フネを降りての他参加者との接触は極力避けたいからだ。ただここは歴代参加者の探索通過ルートであったことや、もともと僕らの星系の者には憧れの太陽系だ。簡単にいうとハントしつくされた感もあるので、上位入賞を狙っている生徒参加者にはここ最近は不人気ルートである。案の定、学期末になってもコンテスト直前になっても誰の話題にも登らなかった。実際他参加者と鉢合わせしたことは一度もなく、今年も誰にも会わなかった。


 注文受付を済ませお金を前払いし、僕らは小形外洋船フネがあるパーキングエリアと降りていき、当然ながらなぜゼラはここにいるのだろう?と僕はしばし考えをめぐらした。黙ってしばらく歩いていたのでスックが

「ゼラのこと考えているのか? 」と話しかけてきた。

「あ、うん…」と僕が生返事になると、彼は、

「去年だってここに途中寄ったろ?去年の評価だって特に影響なかったぞ。僕らの行動は常にトラックされてるし、今ここを歩いているのだって、学園側には分かる様になってる。ましてや去年より大分早々と切り上げて小形外洋船フネに戻ってるんだぜ。なんの影響もないよ。ゼラだってあの性格だ。審査委員会に報告したりしないよ」


 「もちろん分かってる。けど、何故かひっかかるんだ、太陽系エリアに彼女がいる自体が不思議な印象なんだ。彼女ほどの腕前ならもっと別星系でひっぱりだこだろうに…。と考えてしまうんだ」

 「このコンテストに関係があるかどうかも分からないだろ?今の彼女の案件は。それに俺らコンテストに違反はしてないぜ」帰りの下降エレベーターの扉が開いてパーキングフロアに到着すると指の鍵の反応で自分達のパーキング場所まで誘導灯が点灯し、スックは僕より先に小形外洋船フネの前まで飛んでいった。それでも僕はゆっくりと歩きながら考えてた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る