第16話 白いコンビニ袋
どんどん近くに夢見てた光景が見えてきて、パーキングエリアまでの列を順に進むと本日の出店の店の位置地図とそれぞれの料理の紹介されたガイドが小型機につぎつぎと送られて来た。どの店も「元祖! 」「名物」などの文字が並んでいる。
これを待っていたスックは僕の小型端末へと転送して、僕らは実際に歩きながら購入するときの参考する。
僕は運転しながらこことこことここはすぐ見て廻りたいよね!
持ち帰りのメニューはこれとこれ。
という順に予め食べたかった料理や、飲み物や、スイーツを入場前から端末注文数にいれておく作業を始めた。
まだ仮の注文なので実際に入場して、本物の料理を目で確認したり味見したりして決定し、帰りにデリバリーの店員さんがいる受付カウンターで注文する。次の木星で補給と情報収集をして移動している間にこれらの食料を僕らの小型機に配達してもらう。
コンテスト最初の年、通りがかりに立ち寄れるのだと分かり、物見遊山で時間いっぱい見て廻って食べて競技に戻った。
屋台デリバリーは金星付近エリアから木星付近エリアまでの無人自動追跡デリバリー機が届ける。この付近を航行している間にこれらの料理を回収できるのでコンテスト期間中の食料にする。
コンテスト中におけるテンション爆アゲ間違いなしの僕たちの企画だ。
今年でここも3度目に訪れるので色々効率よく、「いろんな種類の料理を食べること」に知恵がついてきた!
小型機を階下のパーキングに停めたら。ここからいよいよ徒歩で上の屋台エリアに入場する。
小型機を空きスペースに停め、戸締まりと防犯アラームをセットしてから上階への入り口に僕らは徒歩で移動する。
ほぼ手ぶらで小型機の
「ちやんとEコードセットできてるか?コンテスト中の立ち寄り先で盗難とか紛失があったらシャレになんないぞ」とEコードの設定中の僕の顔を覗く。
「これでよし。ちゃんと設定できてるよ。ちょっと立ち寄りと言っても船を一度降りる訳だから対策計画はバッチリだ」
Eコードセットを完了して僕らは小型機のドアを出た。
入場口方面の区画へ徒歩で向かいながら、僕はパンツのポケットから折りたたんだ地球産プラスチックバックを取り出した。
○
去年これをコンテスト後に登校した教室で見せたらみんなが「スゴイ!同じだ!これがあの地球産フィルムに出てくるプラスチック袋! 」
と盛り上がり、ピーコックブルーとブリックベージュが、
「
「ピポピポピポーン、ありがとうございましたー! 」と声をかけ大笑いして盛り上がった。
学部全体で流行っている、ニホンで作られた映画やアニメ等のフィルム媒体には大体このシーンが出てくるのでクラスのほぼ全員が見ていて知っている。
その場に居合わせたクラスの全員が僕らの廻りに集まって来てプラスチック袋に気付き驚いて歓声を上げピーコック達のマネをしたがった。みんなが交代で袋を持って歩き、見ているその他で「ありがとうございましたー」と声をかけて教室が大盛りした頃、次の授業の学科の先生と騒ぎに反応した保安の見回りカメラロボットが教室に入って来た。
気づかない生徒は非常口の戸の場所でお店の入り口の扉に見立てて演じる生徒が出て来て後に教室全体が講師から説教を受け授業開始は5分遅れた。
当然プラスチック袋は没収され、夕方、寮に帰る前に講師のいる部屋に呼び出しになった。
授業を終えて講師控室に僕は向かった。
「お、来たな。シーグラス、これは返すけど、教室には持ち込み禁止だ。いいね? 」
部屋に入ると待ってましたというトーンで明るく注意を受けた。
「はい」と僕は素直に返事をした。
「で、そのちょっといいかな?これ持ってる姿、1枚」と先生は部屋の壁のそばに立って僕に画像を撮るので今借りるよという意味で先生が部屋に飛んでる保安カメラに手で合図すると手のひらサイズのカメラが先生の姿を撮り、また飛んでいった。
その画像は、先生個人の端末機にすぐ転送されたのだろう、うつむいて画像を確認して微笑んでる先生の一連の動作を見守ってから袋を再び受け取り部屋を出た。
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