第40話 両親はどんな人?

 あの後、午前の競技が全て終了し昼休憩の時間となった。

「凛音はすごいねー」

「春香の応援のおかげだぞ」

「私は散々な結果だったけどね」

「でも頑張ったならそれでいいと思うぞ」


「凛音の家族はどこにいるの?」

「向こうの方にいるって言ってたな」

「私の家族も近くにいるから皆で食べない?」

「それいいな」


 2人で手を繋いでテント沿いを歩いていく。

凛音の家族はどんな人なのだろうか。いや、どんな吸血鬼なのだろうか。

ワクワクとドキドキ、両方の気持ちを抱えて歩く。


「あれが私の家族だ」

凛音が指差した方向には2人の男女がシートを敷いて座っていた。

どちらも顔立ちは整っていて、この人たちが凛音の両親なんだなと一目で分かった。


「凛音ー、待ってたぞ」

「おまたせー」

「こんにちは」


「その子が凛ちゃんの彼女?」

「ああ、前から言ってた私の彼女だ」

「1年の橘春香です。初めまして」

「こちらこそ初めまして、私は朝倉初音あさくらはつね。見ての通り凛ちゃんの母親です。よろしくね、春香ちゃん」

「僕は朝倉凛太郎あさくらりんたろう。凛音の父親です。よろしく」


「せっかくだし春香の家族も誘って皆で食べないかって春香と話してたんだけど、どうする?」

「春香ちゃんのご両親がいいって言うならそうしてもいいんじゃないかな?」

「僕たちに反対する理由もないからね」


「それなら春香の両親にあってくることにする」

「うん、いってらっしゃい」


 私の手を握ったまま凛音と一緒に私の家族がいる方へと向かった。

「どの人なんだ?」

「あれが私の家族」

「優しそうな顔してるな」

「優しいからね」


 私の家族がこちらに気づいて手を振っている。

私もそれに反応して手を振り返す。


「なんか……ちょっと緊張してきたな」

「大丈夫。そんなに心配しないで」

凛音の緊張をほぐすために頭を撫でてみる。


「んふ……うぅ」

「変な声出さないでよ~」


「初めまして」

「君は……もしかして春香の彼女の?」

「はい、6月からお付き合いさせていただいている朝倉凛音です」

「美人だね」

「……」

私の父親から発された言葉に反応して顔を赤らめながら下を向いている。可愛いけどちょっと可哀想?


「あんまりからかわないであげてよ~」

「ごめんごめん。春香に恋人ができたのが嬉しくてね。私からも自己紹介させてもらうよ。私は橘遼たちばなりょう、こっちは春香の母親の橘愛依たちばなめい。」


 凛音は少し、いや、かなり緊張しているが、私の父はガタイが良く、身長190にギリギリ届かないくらいの身長だからだろう。父は笑顔で接しているがどうしても体型で威圧感が生まれてしまうようだ。凛音も結構背高いんだけどね。


 一方母は私よりも少し低いくらいの身長なので母は凛音と接する時は多少首が上向きになるかもしれない。


私は自分の両親を歳の差夫婦では無く身長差夫婦だなと思って生きてきたが、おそらく今は凛音もそう感じているのだろう。




 























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憧れの先輩は吸血鬼でした 冷凍ピザ @HyperMissing

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