2学期
第21話 2学期の始まり
あれから特に特別な事は無く、夏休みが終わり2学期が始まった。
今日は始業式だ。
そして、相変わらず凛音と2人で通学路を歩いている。
「今日からまた学校だね~」
「嫌か?」
「嫌っていう方面もあるけど、やっぱり友達と会えるのが嬉しいかな」
「私にもできるかな。友達」
「凛音なら絶対できる」
「春香は優しいな」
そう言うと、凛音が私の手を握ってきた。
「凛音?」
「手、繋いでいかないか? やってみたかったんだ、こういうの」
「いいよ」
「ふふん」
凛音が笑顔になった。
やっぱりありのままの凛音がいいね。
「ちゅっ」
凛音の頬にキスをする。
「なっ! こ、公衆の面前で、だ、ダメだぞっ」
「誰も見てないから大丈夫だよ」
「あ、あれ、周りに誰もいなかったのか」
「恋は盲目ってこういうことなんだね」
「多分違うと思うぞ」
「おお~春香、久しぶり」
「おっ、可憐じゃん。久しぶり」
「朝倉先輩も海に遊びに行った日ぶりですね」
「ああ、久しぶり。可憐ちゃん」
「可憐でいいですよ。後、何か先輩雰囲気変わりましたね」
「キャラ変ってやつだ」
「春香にまた何か吹き込まれたんですか?」
「まあ、そんなところ」
「春香!?」
「いや、凛音って友達全然いないしキャラ変した方が好感持たれやすいかなって……」
「先輩、友達いなかったんですか?」
「結構酷い質問だな。まあいないが」
「友達たくさんできるといいですね」
自分の教室に久しぶりに入ってきた。
さて、春香の言った通りに友達はできるのだろうか。
「朝倉さん、おはよう」
「おはよう」
早速声をかけられた。
これはキャラ変した効果が出ているということなのだろうか。
「朝倉さん、何かキャラ変わった?」
「分かるか? 今日から私は明るく振る舞うように意識することにしたんだ」
「朝倉さんって何というか、高嶺の花って感じだったから皆近づきにくいとい持ってたんだよ」
「そうだったのか。それが私に友達ができない原因なのだろうか」
「多分そうだと思う」
今話しているのは
クラスメイトということ以外、全く繋がりがない。
「朝倉さん、私と友達にならない?」
「南条と? 南条がいいなら別に」
「やったー」
始業式が終わり、休み時間に入る。
南条と会話しに行ってもいいがまだそこまでの関係でもないし別にいいだろう。
何て考えていると、5人ほどの同級生が私の席に押し掛けてきた。
「朝倉さん! 後輩と手繋いで登校してたって本当?」
「どんな子なの? 彼女? 生き別れの姉妹とか?」
謎の噂を耳にして、その真実を知りに来たのだろう。
「朝、手繋いでたのは橘春香。私の彼女だ」
「キャー」
「朝倉さんって彼女いたんだ」
「春香ちゃんが羨ましいな~」
本当にキャラ変の効果が出ているようだ。
しかし私が高嶺の花なんて思われていたとはな。
ただの根暗としか見られていないと思っていただけに驚いた。
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