第22話 2学期になっても

 あれから、結構色々質問攻めされ、かなり疲れた。

今ならマスコミに追われているタレントの気持ちが理解できる気がする。


 今日は始業式で午前中に終わり、午前10時に春香と一緒に帰っている。


 「凛音、手繋ぐの好きなの?」

「好き」

帰りも周りの目など一切意に介さず、春香と手を繋いでいる。

「私の素は受け入れられそうか?」

「もちろん」

「そうか、よかった」


 春香の手は温かくてすごくいい。

このままずっと握っていたいな。


 「何か、歩くの遅くない?」

「そうか? いつもと変わらないと思うが」

「そう、私の気のせいかな」

まあ本当はこの時間をできるだけ引き延ばすためにゆっくり歩いているんだけどな。


 「今日も一緒に遊ぶ?」

「遊ぶ」

「じゃあ、午後にね」

「ああ」


 「今日はたくさん人と話ができたぞ」

「友達はできた?」

「1人」

「良い感じだね」

「後は、同級生に春香と手繋いで歩いてたこと問い詰められた」

「それは大変だったね。こうやって手繋いでるとまた絡まれちゃうかもね」

「私はそんなことよりこうして春香と一緒にいる時間の方が大切だ」

「嬉しいこと言ってくれるね」


 お互い、顔を向けあい笑顔になる。

凛音には笑顔がよく似合っている。






 午後1時30分、インターホンが鳴る。

「おじゃまします」

「いらっしゃい」


 「春香の部屋は6階だからエレベーターを使わないといけないのが面倒だな」

「凛音は使わないの?」

「私は2階に住んでいるからな」

「いいな~」


 「今日はどれやる?」

「スマ○ラがいい」

「OK」


 「どのキャラ使おうかな」

「私はテ○ーにするぞ」

「じゃあ私はマ○オにするね」


 ゲーム音声「3、2、1、GO!」

「とりあえずパワー○ンクだ!」

「凛音はよく開幕○ンクやるからね、対策はばっちりだよ」

「何っ」

「空n空上、メテオー!」

「ずるいぞ、そのコンボ」

「えへへ、これが私の本気」


 その試合は凛音がボコボコにされて終わった。

「全く勝てる気がしなかったぞ」

「次は凛音が私の使うキャラ選んで良いよ」

「うーん、じゃあおまかせで」

「おまかせか~、出るキャラによっては負けるかもね」


 おまかせで出たのはガ○ンドロフだ。

私の得意キャラの1体だ。

「これって、春香が得意なやつじゃないか?」

「うん」

「もしかして私、終わったのか?」


 1分とかからず、試合は終わった。

もちろん私の圧勝で。

「泣いちゃうぞ、私」

「ごめんね」

凛音に涙を流させないために、頬にキスをする。

「キスを免罪符か何かだと思ってないか?」

「違うの?」

「……違わない」









 




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