第20話 夜のベッドで二人きり

 凛音に強く抱き締められる。

ちょっと苦しいけど、凛音の方からハグしてきたのは初めてだから関係の進展が感じられてすごく嬉しい。


 「春香……絶対、私の前からいなくならないでくれよ」

「うん、ずっと一緒だよ」

「好き好き好き、春香大好き。絶対離さない」


 可愛い、可愛すぎる。

私からも抱き締め返し、頭を撫でる。

「ほら、血吸っていいよ」

「いただきます」

いつものように凛音が肩にかぶりついてくる。


 すごく気持ちいい。

前に血を吸われた時の何倍も気持ちよく感じる。

これは体の相性が良いとかそういう話なのだろうか。

「んっ、んあっ」

あまりの気持ちよさに声が漏れ、体がビクンと反応する。

しかし、凛音に強く抱き締められているため、動きはほとんど表に出ることはなかった。


 凛音はおそらく私の体がビクンとなったことに気づいているが、気にせず血を吸い続ける。

「凛……音……はあはあはあ」

体が熱くなり、凛音を思い切り抱き締める。


 惚れ薬飲んだらこんな風になるかなと思いながら自分の欲望に従い、血を吸う凛音の頬にキスをする。

キスされた凛音は驚いた表情で私の首筋から口を離す。

お互い、これまでに無いほど頬が赤く染まっている。

「春香……」

「凛音……私も凛音大好き。絶対離さない」


 抱き合ったまま、お互い眠りにつく。

まるでセックスをしているような感覚だった。

結構……良いかも。

またやりたいな。






 カーテンの隙間から差し込む光に晒され、目を覚ます。

凛音はまだ寝ているようだ。


 しかし、昨日のあの興奮は何だったのだろう。

体の相性がいいとかそんなレベルのものではなかった気がする。


 凛音が起きたらもう帰ってしまう、ここからいなくなってしまう。

でも今は抱き合っている状態だから私が下手に動けば凛音が起きてしまう。

せめて後5分だけでも、この寝顔を見ていたい。


 我慢できず、凛音の頬にキスをしてしまった。

キスを我慢できなかったせいで凛音を起こしてしまった。

「んん~、春香、もう朝か?」

「おはよう凛音、もう朝だよ」

「そうか、じゃあ私はそろそろ帰るとするかな」


 「私は凛音が今から帰ると思うとすごく寂しい」

「私も同じ気持ちだ」

「でも……楽しかったね」

「ああ、楽しかった」

「またこうやって一緒に遊びたいね」

「そのうちな」


 凛音がベッドから出て服を着替え、帰る準備をする。

「ずっと一緒に居られたら良いのにね」

「同棲とかできたら幸せだろうな」


 荷物をまとめた凛音がいよいよ私に別れを告げる。

「じゃあな、春香」

「うん。またね、凛音」











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