第19話 凛音の暗い過去
「私はね……確かにクールな凛音は好きだよ。でも時々出てくる素の凛音はもっと大好き。包み隠さない凛音が大好きだよ」
「大……好き……素の私が」
「だからもう演じなくていいよ、クールな自分を」
「ああ、そうか。分かった」
「そういえば、凛音は何で自分がクールキャラだと思ったの? そういうのって自分じゃ気づきにくいと思うんだけど」
「それはな、グループ活動で一緒になった人から言われたんだ」
「学校でのクールは演技じゃないんだね」
「ああ、話しをする相手がいないから自然と口数が少なくなったり、無表情になったりするんだ」
「学校でももっと明るく振る舞った方がいいと思うよ」
「それって結局演技じゃないか?」
「初めのうちはそうかもしれないけど、きっと友達もできるし、そうすれば自然と明るさが演技じゃなくなっていくと思う」
「そうか、2学期からはそうするよ」
「よし、じゃあこの話はここでおしまい」
「次は何の話するんだ?」
「うーん、どうしようかな。凛音は何か話題持ってない?」
「学校での呼び方……とか?」
「呼び方?」
「夏休みに仲良くなったってことで学校でも下の名前で呼び合わないか?」
「確かに、それいいね。もう同じベッドで寝る関係だからね」
「何だかエッチな意味に聞こえるぞ」
「違うの?」
「……まあこれからな」
「あはっ、頬が赤いよ凛音」
「もう包み隠さなくてよくなったからな」
「これまでも隠せてなかったけどね」
「……」
「次は何の話する?」
「さっきはわたしが考えたから次は春香に話題出して欲しい」
「うーん、じゃあもし私が突然いなくなったらどうする?」
「いなくなったらってどういうことだ?」
「ある日突然私がいなくなってもう2度と会えないってなったらってこと」
「春香がいなくなったら……鬱になるかもな。何と言うか……私は人に依存しやすいタイプなんだ」
「へえ~そうなんだ。まあ確かに凛音は1度掴んだ相手は絶対離さないって感じだしね」
「まあ、それでも離れていったんだけどな」
「どういうこと? 詳しく聞きたい。言いたくないなら言わなくていいよ」
「いや、話す。私は中学の時も彼女がいたんだ」
「出会ったあの日、確か恋愛経験無いっていってなかったけっけ」
「それは……元カノのことを思い出したくなかったんだ」
「酷い彼女だったの?」
「ううん、関係はすごく良かった」
「じゃあ何で……」
「事故で死んだんだよ。私の元カノ」
「え……」
「信号無視の車に轢かれた」
「じゃああの時血を吸い慣れてるって言ってたのは……」
「元カノの血を吸ってたんだ」
「そっか……じゃあ、元カノが死んで凛音の心にぽっかり空いた穴も、凛音の依存体質も私が全部受け止める。凛音に絶対辛い思いさせないから」
「春香……」
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