第18話 2人だけの夜
「ごちそうさまでした。春香の手料理は美味しいな」
「そういってもらえて嬉しいよ。やっぱり作った料理の評価が良いと作ってよかった~って思うし」
「私もいつか、春香に自分の料理を食べさせてみたいな」
「私も楽しみにしとくね」
「ご飯食べたしお風呂入ろっか」
「そうだな」
特にラッキースケベなども無く、凛音がパジャマに着替えて出てきた。
「ふ~」
「おかえり」
「ただいま」
「キンキンに冷えた麦茶があるよ」
麦茶の入ったコップを手渡す。
「ありがとう」
凛音が麦茶を一気に飲み干す。
「あー最高」
「それはよかったよ」
「春香、スマホで何見てるんだ?」
「これ? 猫の動画」
「春香は猫派なのか?」
「うん、猫大好きだよ。凛音は?」
「私も猫派だ」
「おお~いいね。一緒に動画見る?」
「見る」
凛音が私の隣に座る。
凛音と私の肩が触れ合っている。
いい、すごくいい、この状況。
「これ、見てみたい」
凛音が1つの動画を指差す。
サムネイルとタイトルからして、子猫2匹がじゃれあっている動画のようだ。
私も興味を持ったので、動画を再生する。
「可愛い~」
「可愛いな」
2人揃って猫の可愛さにやられ、語彙力が低下している。
まあ、私が影響を受けているのは猫の動画だけではないんだけどね。
凛音の表情が動画によってすごく緩んでいる。
凛音はすごく純粋で、最近は小動物的な可愛さを感じるようになった。
この凛音の純粋さはおそらく、私と出会ってからではなく、初めからこんな感じだったのだろう。
凛音が前から頑張って表情を抑えていたのは、私がいつものクールな凛音を好きになっていると思って私の好きな朝倉凛音であろうとしていたのだろう。
そんなことにも気づいてあげられないなんて、私は彼女失格だな。
それからもいくつか動画を一緒に見て、そろそろベッドに入る時間になりそうだ。
「そろそろ寝室行く?」
「もうそんな時間なのか。やはり、楽しい時間はあっという間に過ぎていくな」
「そうだね」
2人でベッドの中に入る。
「それじゃ、いっぱい話しよっか」
「今は夏休みだからな。多少の夜更かしは問題ないだろうし、春香の気が済むまで付き合うぞ」
「いいね、そうこなくっちゃ」
「じゃあ早速1つ目の話題」
「どんな話題だ?」
「凛音、クールキャラ無理して演じてたでしょ」
「ん?」
「ごまかしても無駄だよ」
「そうか……気づかれていんだな」
「私の好きな凛音はクールな凛音だって思ってたんでしょ」
「そうだが……違うのか? あの時の春香はそういう私しか知らなかったはずだが?」
「私はね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます