第37話 体育祭本番
土曜日
今日は体育祭本番。
毎日体操服を使うので、洗濯するのが1番大変な1週間だった。
それも今日で終わり、来週からはいつも通りの学校生活が戻ってくる。
「土曜日に登校するのってなんか新鮮な気持ちになるな」
「私はやだーって気持ちが溢れてるよ」
ちゅっ。
「これで頑張れよ、春香」
「うん、めちゃくちゃ頑張る」
校長のなっがい話が終わり、本番が始まる。
凛音の1つ目の競技、私の競技、凛音の2つ目の競技の順番で私たちは競技に参加することになっている。
他の競技は一生懸命な人には申し訳ないが眼中に無いので、テントの中で横に座っている可憐と雑談して時間を潰していた。
「可憐は体育祭楽しみにしてた?」
「うん、楽しみにしてたよ。こういう大きな行事は皆が盛り上がってて私も楽しい気持ちになれるからね」
「私にはそんな共感能力が欠けてるからそこまで楽しみじゃなかったかな。凛音が居なかったら」
「朝倉先輩の存在大きすぎでしょ」
「当然じゃん。私のたった1人だけの彼女なんだから」
「朝倉先輩って、1学期の頃まではあんなにクールキャラだったのに、今じゃすっかり春香に毒されてザ・女の子って感じのキャラになっちゃったよね」
「毒されたって酷くない!?」
「実際そうじゃん」
「あのクールキャラは凛音が演じてたんだよ」
「あれ全部先輩の演技だったの!?」
「ううん、学校でのクールさは友達が居なかったせいで自然と口数も少なくなって、表情の変化も無くなってったからあんなキャラになっちゃったんだってさ」
「学校ではってことは、他のところではずっとあのキャラを隠して生きてきたってこと?」
「家族の前でどうだったかまでは知らないけど、少なくとも私の前ではクールを演じてた。包み隠していた素の凛音じゃなくて、クールでかっこいい凛音のことを私が好きになってるって勘違いしてたみたいなんだよね」
「そういう健気なところも可愛い先輩だよねー」
「吸血鬼だから人を引き寄せるのか、それとも朝倉凛音だから人を引き寄せるのか。どっちだろうね」
「どっちもだと思う」
「そろそろ凛音が参加する競技始まるかな」
「今やってる競技の次だね」
「リレーだったっけ?」
「そうだね、次はリレー」
「部活に所属してなくても100m12秒で走れる凛音の足の速さが見られると思うと凄く楽しみだよ」
「12秒ってそれほんとなの?」
「凛音が自分でそう言ってた」
「先輩がそんな下らない嘘つくわけないし、それが本当だったら将来オリンピックに出られそうだね」
先程までの競技がようやく終了し、ようやく2年生のリレーが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます