第3話 彼女がいる日常

 次の日の朝、私は時間に追われることもなく凛音と一緒に学校へ向かっていた。


 「そういえば凛音って本当の趣味何なの?」

「映画鑑賞かな。結構幅広いジャンルの映画見てる。あと音楽鑑賞」

「鑑賞好きだね」

「自分で何かを作るのは苦手だからな」


 「話変わるけど私たちって関係の進展めちゃくちゃ早いね」

「世の中には出会ったその日に結婚する人もいるらしいし別に問題ないと思うぞ」

「へえ~そんな人もいるんだ。長続きしなさそう」

「まあその2人次第だろうな」

「私たちもね」





 2時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。


 今の授業は難しかった。

凛音は頭良いしまた今度教えてもらおうかな。


 「ねえねえ」

話かけてきたのは私の数少ない友達の白雪可憐しらゆきかれんだった。

「最近春香ってずっと楽しそうな顔してるよね。何か良いことでもあったの?」

「えへへ~、内緒」

「えー気になるじゃん」

「今日のお昼に教えてあげる」

「わかった、それまで我慢する」



今日の朝、春香に昼食に誘われた……こんなことは確か初めてだったな。

少しだが緊張してしまうな。






 昼休み、中庭に私、可憐、凛音の3人で集まりお昼ご飯を食べる。

それじゃそろそろ可憐に質問の答えを返すとしますかな。


 「ねえ春香、この人誰?」

「私は2年3組の朝倉凛音だ、そういう君は?」

「私は1年1組の白雪可憐です。よろしくお願いします」


 やばい、一緒に食べるの春香だけじゃなかったのか。

緊張で胸が張り裂けそうだ。

だが絶対にこの気持ちを表に出してはいけない。

春香にとって理想の彼女でいるためにも。


 「私の最近あったいいこと教えちゃおうかな」

「ようやく教えてくれるんだ」

「この人、朝倉凛音が私の彼女になってくれたの」

「……え? ……本当ですか先輩」

「ああ本当だ、私は橘の彼女だ」

「プライベートでは下の名前で呼びあってるんだよ」

「いいなー春香、こんな美人な彼女がいて」

「……」

美人って言われた……もう情緒ぐちゃぐちゃだよ。


 「そろそろ食べよっか」

「そ、そうだな」

「それじゃいただきまーす」

「い、いただきます」

「いただきます」


 私はふと気づいた、凛音がパン1つと水筒しか持っていないことに。

「先輩はそれだけしか食べないの?」

「ん? なにか問題あるか?」

「問題しかないよ、まだ若いんだからもっと食べないと」

「……私は料理ができないんだ」

「よくそれで一人暮らしする気になったね」

「女子高生は活動量が少ない場合でも1400~2000キロカロリーを摂取しないといけないんですよ。それを下回ると太りやすくなりますし低栄養になる可能性もあります」

「そうなんだ、可憐は物知りだね。でも先輩が太っちゃうのはやだなぁ……そうだ今週の休みに私の家来る? 料理の仕方教えるから」

「私のためにすまないな、助かるよ」






 帰り道、凛音と一緒に帰る。

「これから2人でどこかに出掛けたりとかもしたいね」

「そうだな、行きたいとこ行って、美味しいもの食べて、2人で記念写真なんか撮ったりして」

「おお~いいね」


 「それじゃ私こっちだから」

「また明日ね~バイバイ」

「じゃあな」














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