第14話 思い出のアルバム
昨日は凛音と2人だけで花火大会に行った。
そして今日は花火大会に誘った日と同じ日に約束した通り、凛音が私の家に泊まりに来る。
今年の夏休みは私がこれまで過ごしてきた中で一番充実した夏休みだ。
凛音がいるだけで何でもないはずの日常が輝いて見える。
凛音と一緒にいると何もかもが楽しい。
これが恋愛というものなのか。
なんと素晴らしいものなのだろう。
午前10時、インターホンがなる。
「いらっしゃい」
「やっほー春香」
「待ってました」
凛音を部屋に招き入れる。
「今日は何する?」
「今日は私のアルバムを持ってきたぞ」
「凛音のアルバム?」
「ああ」
凛音が持ってきたリュックからアルバムを取り出す。
「これ、見たいか?」
「見たい!」
「ふふふ、仕方ないな」
凛音が手元のアルバムを開いて私の方へ向ける。
「これが産まれたばかりの私だ」
そこに入っていた写真にはおそらく母親の体から出てきたばかりの凛音が写っていた。
「可愛いね、やっぱり見た目は人間と変わらないんだね」
「ああ、もし産まれた時の見た目が人間じゃなかったら病院で産めないからな」
「こっちは1歳の時の私だ」
「小さい凛音可愛い~」
小さい頃の凛音もすごく可愛い。
今の凛音は私より背が高いけどこういう小さい凛音ももっと見てみたいな。
「こっちは運動会の時だ」
「この時から運動はできたの?」
「この頃からよく1位を取っていたぞ」
「凛音はすごいね~」
「私は吸血鬼だからな。身体能力は高いんだぞ」
「頭がいいのも吸血鬼だからなの?」
「それは私がしっかり勉強してるからだ」
「凛音は偉いね~」
凛音の頭を撫でる。
「なっ! 何……を……いや……うん、悪くないな」
いきなりで驚いていたが結構良い反応だ。
「は、春香のアルバムも見てみたいんだが……あと撫でるのやめろ」
「えへへ、嫌だった?」
「……別に」
「それじゃアルバム持ってくるね」
「持ってきたよ~」
「小さい春香も可愛いんだろうな~」
凛音の横に座り、アルバムを開く。
「やっぱり産まれた時の写真は皆ほとんど一緒だな」
「確かにそうだね」
「春香は今も昔も小さくて可愛いな」
「ちょっとそれどういう意味!?」
「そのままの意味だ」
「凛音ひどーい。私怒っちゃうよ」
「ごめんごめん」
「次私のこと小さいって言ったら血吸わせてあげないからね」
「本当に反省してます……」
もちろんそんなことするつもりはないけど
血を吸わせないって脅しにすごく焦る凛音が可愛い。
お前だって今も昔も可愛いままだなっ!
なんてね。
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