第15話 絵しりとり対決

 「さて、お互いのアルバムもほとんど見終わったが次は何するんだ?」

「うーん」


 次やることを考えながら時計を見ると11時48分だった。


 「あ、そろそろ12時だね。ご飯食べよっか」

「それもそうだな。私も手伝うぞ」

「助かるよ」


 「凛音~これ切っといて~」

「私に任せろ」


 凛音が包丁で野菜を切っている。

手際がよく、切る幅も均等になっている。

短期間ですごく成長してる。

やっぱり凛音は何でもできるんだね。





 「いただきまーす」

「いただきます」

「うーん美味しい」

「そうだな」


 「凛音すごい料理上手くなったね」

「ふふん、そうだろ。頑張って練習したんだぞ」

ドヤ顔してる凛音可愛い。

我慢できず、ドヤ顔の凛音の頬をつんつんする。

「なっ! 何するんだ春香」

「ドヤ顔凛音が可愛すぎるのが悪いんだよ」

「?」

「えへへへ」




 「ごちそうさま~」

「ごちそうさまでした」


 食器を片付けた後、2人で会話する。

「これから何するんだ?」

「うーん、そうだなあ……絵しりとりとかやってみる?」


 「絵しりとり? 聞いたことないな」

「紙とかタブレットとかに何の言葉か言わずに絵だけを見てしりとりするんだよ」

「難しそうだな」

「分かるように、あとちゃんと言葉が繋がるように描くのが結構難しいかな」

「ふむふむ」

「まあとりあえずやってみよう」


 紙とペンを用意してまずは凛音から絵を描いていく。

凛音が1つ目の絵を描き終わる。


 凛音が描いたこの絵はニワトリだと断言できる。

でも何というか、めちゃくちゃから○げクン

だ。


 私はニワトリの"り"から始まるものの絵を描かなければならないが、これは簡単だ。

私はりんごを描いた。

凛音は次、何を描くのかな。

「なるほど、私はどうするかな」

「"ご"だけじゃなくて"こ"でもいいよ」

「なら何とかなりそうだ」


 凛音が描いたのはたらこ唇の魚だった。

これは、多分鯉かな。

「凛音の絵、可愛いね」

「そうか?」


 女子力の低い凛音だが、字は丸っこくて筆圧が弱いかなり女の子って感じの字だ。

私はその字が凛音の可愛らしい内面を表しているようで好きだ。

それが凛音の描く絵にも反映されていて、柔らかいタッチの絵になっている。


 次は私が絵を描く番だ。

鯉の"い"から始まるもの……いちご。

「また"こ"か?」

「えへへ、"こ"で攻めちゃおうかな」

「春香、結構容赦ないんだな」

「やっぱり、勝負には勝ちたいじゃん」

「それもそうだな。なら私も本気でいかせてもらうぞ」

「望むところだよ」


 その後、結局凛音にボコボコにされた。


 

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