第5話 デートの誘い

 「……ありがと」

この一言が忘れられない。

普段無表情な凛音が頬を赤くして答えた。

この時私は凛音に可愛らしいと言った。

口調も男っぽいし、女子力が低いと思う、だから可愛いと言われなれていないのではないだろうか。

また凛音にあんな顔させたい、デレさせたい、そんなことを考えながら日曜日の夜、眠りにつくのであった。




 月曜日の朝、凛音と学校へ向かっていた。

今可愛いと言っても反応が薄いかもしれない。

少し凛音の心を揺さぶってから可愛いと言ってみよう。


 「凛音って美人だよね」

「……」

ぐはあぁっっ、前は春香の知り合いだったからまだよかったが春香から美人と言われるのはかなり効く。

平静を保っていられなくなりそうだ。


 凛音が黙り込んだ。

表情には出さないが、確実に響いている……はず。





 今日は可憐から昼休みに誘われなかった。

凛音と2人の時間を楽しめということだろう。


 凛音と2人でご飯を食べる。

「2人だけだね」

「今日は頑張って弁当作ってきたぞ」

凛音がちょっとドヤ顔してる。

ほっぺつんつんしたい。


 「見せて見せて」

そういうと凛音は弁当箱を開ける。

見た目はちょっと微妙、でも土曜日にあれだったからより成長を感じられる。


 もっと上手く作りたかったな。

日曜日も頑張って料理の勉強したんだけどな。

いつかもっと上手く作れるようになって、春香に私があーんしてあげたいな。


 「いただきます」

「いただきます」

「なあ、今週の休みにまた血が吸いたいんだが、いいか?」

「私の言うこと聞いてくれたらね」

「言うこと?」

「まだ内容は考えてない、思い付いたら連絡するね」





 夜、ベッドに入り凛音に何をお願いするか考えている。




 「そうだ、一緒に出掛けたいなぁ。明日の朝凛音に言ってみよ」

どこにいくかは凛音と相談しよう。考えをまとめ、眠りにつく。







 朝、今日も凛音と一緒に学校に向かっている。

「凛音、言うこと聞いてって話だけどさ」

「ああ、なんだ?」

「今週の休みに一緒に出掛けない?」

「それはいい提案だな」

「それでどこに行きたいか凛音の意見が聞きたいんだよね。思いついたら私に言ってね」

「了解」







 夜、凛音からLINEがくる。

―――――――――――――――――――――

東京スカイツリー行ってみたい


何でスカイツリー?


デートスポットといえばって感じだろ?


それは分からなくもない


春香は嫌か?


ううん、私も行ってみたい


じゃあ決まりだな


うん

―――――――――――――――――――――


 凛音は東京スカイツリーに行ってみたいんだ。

何も思いつかないって連絡してきそうなイメージあったから意外だ。











 土曜日、8時のアラームで目が覚める。

凛音と出掛ける日だ。

服を着替え、持ち物を確認する。

よし、忘れ物はないね。

私はよく忘れ物をするからこういう時は特にしっかり確認しておかないと。

今日の目標は凛音をいっぱいデレさせることだ。またあの可愛らしい凛音を拝みたい。



 初めてこ春香と2人っきりでの外出、わくわくしてしまうな。

血も吸わせてくれるし。

今日はとても良い日になりそうだ。




















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